183話 第二層・第三層
「お~、凄い」
第二層に降りたレイムは驚く。
その空間は暗色に支配されていた。石材の円盤エレベーターから降りると第一層より殺風景、というより闇に包まれている。
長い柵付き、街灯が一定の間隔で設置された一本道をクロノス先頭に進む。
「ここ、第二層『能力収容・レベルⅡ』――存在ランクS相当の囚人たちが収監されています。肉眼では見えないですが、囚人たちには一つ一つの個室が与えられ、それがこの第二層には積み重なっています」
そして二百メートルほど進むと通路より大きな四角の床があり、中心にパネルがあり、クロノスは人差し指でタップした。
するとパネルの上に半透明のリストが出現した。
「このように囚人リストが映し出され、その人物をここに牢となる部屋を呼び出すことができます」
第二層は暗闇に支配されており、ここは建物というより本当に封印するための場所だとレイムは思う。
最低限の訪れる者が使う道、その道を照らす街灯という建物の内部としては圧倒的に建物と認識できる要素が少なく、それ以外がシステムによって稼働している。
「では、次ですね」
ひとまずは監獄内部の説明であるため、スムーズにクロノスは次を案内する。
次層に続く道は石材の円盤エレベーターであることが共通しているが、エレベーターが下に移動する空間は広く、ゴツゴツとした岩肌が見え、下から魔力を含んだ風が吹き上げている。
そして今回はエレベーターに乗っている時間が長く、誰もがここは違うと察する。
「下降中ですが、ここが第三層『膨張空洞』です。ここが建てられて初期は収容所として使っていましたが、魔力の詰まりが起こり、ここを空けて魔力の通気口とすることでその件は解決したとされています」
「詰まりの原因っていうのは?」
ソージが質問をする。
確かにここは『管理者』という通常存在より上位存在が建造したという所謂、それがこの監獄の信用性の大半を占めているはずだ。
しかしその内部に不具合があったことは気になってしまう。
クロノスは即座に返答する。
「はい。システムの根幹から生じる魔力の詰まりであり、存在ランクSSSに相当する存在まで封印が可能という監獄の性能においては中心星系の中では随一の施設ですが、構造を決め、建てた後にちょっとした不具合が発生したという凡ミスですね」
無論、そこに何も悪い意味なんてない。
ただの凡ミスであり、第三層に牢屋などを撤廃して魔力の通り道にすることで解決したということだ。
「つまり監獄の底にシステムの根幹があると?」
ジュウロウは分かりやすく言葉で状況を明確にするためにクロノスに問う。
「ご名答です。星が生み出す重力と同じく下に行くほど封印する存在ランクが上がり、封印効力が上がります」
単純な構造だが、これは上位存在である『管理者』の手を借りたから実現できたことで仮に通常存在たちでこれほどの施設を建造することは存在ランクSSS相当が複数名いなければ実現は不可能だろう。
それほど上位存在である【宇宙的存在】はあらゆる存在より格が違い、通常存在と上位存在という認識を持っており、出会うことすら不可能に近い、出会う理由は上位存在側からの理由しかない。
「では、次は第四層『白灰遺跡・レベルⅢ』です――」
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