180話 初めての任務
そして数十分後――レイム達に任務が提示された。
「へぇ、監獄?」
「はい。正式名称は邪悪収容機構『奈落監獄』はミレイヴァム様が健在の頃に善なる組織と平和連邦との共同で建造されたもので、SSSランクも収容可能です。なぜ、そう言いきれるかというとミレイヴァム様が直々に建造に携わっているからですね」
「へぇ~、その監獄が?」
「はい。所謂、取り調べを行ってもらいたいのです。我々、善なる組織『無限組織』の任務の大半は【邪悪】の殲滅ですが、悪人を絶対に殺すなんてことはしません。自分の身に危機が生じたならば、致し方ないことですが、対峙した際のマニュアルとして、まずは投降を促して、それで相手に投降の意思がなければ、戦闘に移行するという形です。その結果、捕縛された人物は『奈落監獄』に投獄されます」
これは善を掲げる組織としては重要なことだ。
悪人であろうと怪しい人物であろうとまずは話し合い、敵対存在なのかと判別する。
「その過程がなければ、ただの殺戮だからですね?」
ワーレストが確認を取る。
「はい。そうゆうことです。体裁というか、何というか……善人としてです。まぁ、明らかに悪人の時はそんな余裕はありませんが、その投獄された人物は悪の組織の最高戦力、精鋭部隊に所属する人物も存在します。その人物から必要な情報を聴取をしてもらいます」
「ちょうしゅ?」
「この件に関してはレイム様だから、頼むということもあります。善なる組織の取り調べは常に行われています」
クロノスの説明によると邪悪収容機構『奈落監獄』に収容される人物の中でも善なる組織で重要と言えるのが、悪の組織の最高戦力、精鋭部隊に所属し、善との交戦で敗北して、投獄された人物に定期的に情報を引き出すために事情聴取を行っている。
相変わらずに悪の組織の座標は特定できないが、その他の情報は少なからず囚人から得ている。
そしてクロノスが期待しているのは……
「つまりレイム様のコミュニケーション能力を測るための初任務ということです」
「ふむ。投獄された重要な人物は主に誰がいるのだ?」
ジュウロウがふと質問する。
「精鋭部隊の一員、後は首脳部の人間ですね」
「え、悪の組織の首脳部ですか?」
ワーレストが驚く。
「はい。レイルンと互角の強さではありましたが、投獄し、聴取の際に自分から発現していましたので、信じるならそうなります。ですが、それ以外は何も……知らない、というわけではないようですが」
「解析系の能力を持った人材を用いて聴取は行うのですか?」
「はい。ですが、最初は純粋なコミュケーションのみ、そこから解析系の能力を保持している者によって情報を入手する手順です。しかし無論、それは悪の組織は対策しているようで……しかし、何でも無理だと決定してしまうと何もできなくなりますので――」
何事も諦めないという意思が感じられる。手段を選ばない、という域には出ないが、それに近い方法で悪の組織を模索しているのだ。
いや、それくらいしなければ、敵対する悪の組織である『宇宙の悪』に近づき、対抗するには善が許容できる一線ギリギリまで奮闘する。敵対している悪人でも投獄するのが、その表れだろう。
それは慈悲であり、彼らが実行する『宇宙の善』の在り方なのだ。
まずは手の届くところから、そして少しずつその範囲を広げていく。地道だが、物事はそうゆうものであり、悪の組織とは違い“真善の管理者”が不在である現状はこれが『善』を掲げる者達にとって全身全霊の行いなのだ。
「よし。じゃあ行こう。しっかりと悪の組織の情報を吐き出させるから!!」
溢れるやる気をクロノスに示してレイム、ソージ、ソピア、サリア、ジュウロウのレイムチームは善なる組織の地下へ移動し、転移装置で善なる組織の管轄でありながらも、離れにある邪悪収容機構『奈落監獄』に向かった。
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