179話 隊長会議③
かつて善なる組織『無限組織』を創設した人物であり、【宇宙的存在】の一角にして『管理者』の一人“真善の管理者”ミレイヴァム・レギスレータのそっくり……というより瓜二つの存在が会議室に入室した。
そして、その少女は非常に元気な自己紹介をした。
「あ、はい……そうですね。まずは自己紹介、お疲れ様です。では少し経緯をお話しします」
クロノスは先日、第十部隊がレイム達『無限の星』と接触し、加入する同意を得たことを説明する。
「無論、首脳部から承諾を得ています。レイム様たちの『無限の星』は『実力部隊』とは別の戦力として運用していきます。そのテストとしてこれから任務を熟していきますので、それをこの場で『実力部隊』の隊長の方々にお知らせしておきます」
そのことに誰も反論はしない。
なんせ善なる組織『無限組織』の首脳部『心星円卓』の許可を得ていること……いや、レイム・レギレスという存在に全員が圧巻されているのだ。
「え、本当にミレイヴァム様?」
第三部隊の隊長、ルーシー・ルフィスティアは輝く瞳でレイムを見る。
「えぇ、本当に!! マジで!! 生まれ変わり!!」
第四部隊の隊長、エリュシャ・イユールイは興奮して声を荒げる。
「あの子が……あの存在感」
第五部隊の隊長、サティア・ルヴァンクスはレイムの存在を認識する。
「四つ、いやそれ以上……説得力はあるね」
第六部隊の隊長、スウレン・アスタレウスはしっかりと存在構成を見極める。
「あれが……創設者にして『管理者』」
第七部隊の隊長、テルシャ・オーリウスは絵画に描かれた創設者と瓜二つであることを認識する。
「凄い……本当に――」
第八部隊の隊長、エステル・イレジナスはただただレイムの存在感に圧倒される。
「…………マジかよ」
第九部隊の隊長、アルド・レルブレムは余裕で自分達、隊長を超えている事実に驚愕する。
そこから冷静に話し合いをするためにレイム、ジュウロウ、ワーレストの三人は会議室から退出し、第一部隊の隊長レイルン・レギスレータから詳しい話が各隊長に伝えられた。
「首脳部は承諾した。『管理者』及び【宇宙的存在】として存在する者の『魂』は他とは一線を画し、それぞれが宇宙の運営するシステムの片鱗を行使する権限を持つ。『管理者』は例え存在が滅びたとしても宇宙システムによって記憶を引き継いだ存在が再誕する。だから通常なら、ミレイヴァム様はそのまま再誕するはずだった……でも、そうはならなかった」
その言い伝えは事実として善なる組織の重要な立場にいる者達は知っている。
「“邪悪の管理者”アーヴァル・アルゲージュインに殺されたのが原因か――」
第二部隊の隊長ガローク・ガルベディスは呟く。
「はい。『管理者』が『管理者』を殺したからこそ、システムに不具合が起きた。だからか、ミレイヴァム様以降の“真善の管理者”は現れていない――」
それは誰もが衝撃を受ける出来事と結果――“真善の管理者”ミレイヴァム・レギスレータが“邪悪の管理者”アーヴァル・アルゲージュインに殺されたことで善悪大戦が勃発し、数々の英雄が死亡し、痛み分けとなった。
そして今までレイルンが述べたように『管理者』の特徴である“真善の管理者”の再誕は行われずにいる。
「もしかしたら、どこかにいるのかもしれない……確かめる術はない」
「あぁ、そもそも『管理者』に会うなんて宇宙に進出した文明でも不可能なことだからね」
「その通り、あの様子からして記憶の引継ぎは行われていない。存在値は『管理者』クラスと言っていい、そしてその見た目……私がこの地位にいる理由のように――」
その言葉には明らかな含みがあった。
確かにレイルン・レギスレータはレイム・レギレスと似ている。元々【破壊】と【終焉】を宿していたこと、その外見もレイムを原型に作られたような――
当時『宇宙歴130年』頃に故郷が悪によって滅び、レイルンやクロノス達が善なる組織に保護された。
その当時を知る者はガロークとルーシーのみだが、レイルンの噂は隊長の全員が知っている。
曰く、“真善の管理者”ミレイヴァム・レギスレータの似た存在である。
曰く、能力の範疇から外れた能力を保有している。
曰く、通常の存在でありながら、『管理者』に届きうる力を持つ、と――
その時期はミレイヴァムがアーヴァルに殺され、組織全体が躍起になって悪の組織の居場所を特定しようとしていた時だった。
だからか、ミレイヴァムと似ていたレイルンは良い待遇を得たと彼女自身も理解している。
そして『宇宙歴131年』――善と悪の全面戦争が勃発し、その結果、英雄たちの滅びをこの目で目撃した。
それを見て、彼女は決意した。
自分の存在が不確かであろうと【真善】のためにこの力を使うと、そしてかのレギスレータの姓を受け継いだ。
そして『宇宙歴137年』――己の目の前に『答え』が現れ、彼女は悟った。
レイルンは頭の中を整理する。
その最中、誰も口を開くことはなく、会議室に沈黙が満ちるが、レイルンが再び、口を開く。
「相変わらず不確かなことは多いが、しかしこれだけは断言できる。私の経験から、あのレイム・レギレスも悪の干渉を受け、ここまで来た。これがアーヴァルの意図なのか、分からないが、あのやる気ならこれから信憑性は上がっていくと信じよう。まぁ、疑うことは決してなきように、本人も知らないなら、これから分かっていくだろう。宇宙の悪と戦う最中で――」
その言葉に全員が納得する。
例え、彼女が本物だとしてもレイルン・レギスレータが偽物とはならない。
彼女の組織に貢献し、善を成したか、なぜ、第一部隊の隊長なのか、ここにいる全員が知り、そこを目指している。
彼女はレギスレータの名に恥じない行いをしてきたのだから――と。
「では、まずは『無限の星』を歓迎しよう。しかし我々は変わらず、悪を討つのみ。では、今後について話し合おう。いつも通りに、ね――」




