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174話 無滅の少年

「僕は――生まれた時から自分が特別な存在、『唯一者』なんだってことを知った。その感覚は、自分の本があって、その一番最初にこの人物は数多世界の中でも珍しい『唯一者』であるって言葉を学ぶ前でも特別感があった。ただ優秀だったなら良かったけど、なんだろう、色んな意味で周囲と浮いている、みんなが海の中にいて、僕だけ、海に浮かんでいるような感じで、孤立感があった……」


 その孤立感は子供だったライトには潰れてしまうほどのものだった。同世代の人たちが苦戦する課題を簡単に実行する、それをして自分に向けられたのは憧れ……しかしそれは最初だけ、後から自分を見る目が恐れに変わっていった。


 その経験と勘のようなものから、この天才性は多くの事で発揮されるだろうと子供ながら、そう悟った。

 しかし彼は……いや『唯一者』は人間に分類される存在だ。

 だからこそ、ジュウロウのように気にしない者もいれば、ライトのように気にしてしまう者もいるだろう、それは多くの人のように千差万別なのだ。


「でも、それに父と母は精一杯、寄り添ってくれた」


 自由にやりなさい――と、そんな言葉をかけてくれた。

 しかし同じ人から恐れの目を向けられ、自分が異物なんだと自覚することに耐えかねた少年は自分なりに言動を改善していく。

 多くを学ぶではなく、少なく……そのために固定概念を狭くし、多くの事に興味を示さず、ただ一つか二つに尽力していけば、その道の専門家として生きていけるだろうと子供ながら、そう将来を思い浮かべた。


『唯一者』――正式名称はそれだが、数多世界で天才、万能人、神の子、聖人、聖者、現人神などと名称は変わる。


 そんな存在に相当しながらも、ジュウロウのように無我夢中、自分の才能を磨こうと走り、上り詰めることはせず、ライトは出来る限り、周りの人と同じ位置にいたかった。

 それは凡人、普通の人から見れば、才能を持ちながら発揮しないという無責任、宝の持ち腐れと言われるが、彼は『普通の人』を望んだ。


 幼少期を超えて、周囲の評価は幼少期に神童も話題になっていた、という噂、情報でライト・ロウハートという人物を認知していた。

 影ではただの馬鹿親の馬鹿評価や、すぐに壁にぶち当たった、既に落ちこぼれなど言われたが、彼は気にしない。

 むしろ、良かった。

 自分が普通だと言ってくれて、不愛想ではなく、成績は優秀な生徒としてクラスメイトに接し、平均の域を出ないように調整しながら、学生生活を送っていた。


 しかし十二歳の時、ライトの世界は一変した。

 ライトが住んでいた共和国と敵対する帝国との戦争が激化し、帝国側の大侵攻によって共和国は火の海になった。


 あれは一方的な侵略だった。

 技術発展に重きをおいていた帝国は、あの世界では開発不可能と思えた飛行戦艦、時空移動を用いて一瞬にして共和国は火の海になった。

 異様で不可能と思えた帝国側の技術革命、共和国と帝国の拮抗状況で片方の勢力に干渉して実現不可能な技術力を提供し、争いを勃発させ、悪を広める――そう、ライトは後で情報を告げられた。


 結局、あの世界は共和国、帝国も悪の組織によって滅ぼされた。


「それから僕は、第十部隊に拾われた。この組織の存在を知って、当時、第十部隊の隊長だったファルスさんの言葉で僕は善人としてこの組織に所属すること、この力を善のために使うと決めたんだ。まぁ、経緯はこんな感じかな?」


 こうしてライトは大方、自分の経緯を話し終えた。


「そんな経緯が……」


 内容が内容なだけに空気がしんみりとしてしまうが、隣ではテレビゲームでレイム、エマ、ルエナールは盛り上がっているため、部屋全体の空気がしんみりすることはなかった。


「やっぱり、こうゆう境遇の人が多いのかな?」


 サリアはふと呟く。

 確かに、とソージは納得し、ライトを見る。


「そうだな。僕の他にもいるから、多いと思う。善なる組織は悪の殲滅、悪の干渉を受けた世界を救うのが目的だから、その中で善なる組織と関わって、組織に加入する意思を持つ人が多いのかもしれない」


 正確なことは知らないようでライトは憶測でありながらも、組織の行動からライトのような境遇が多い傾向になるのは普通なことだろう。

 そんな人々が善を掲げて悪に立ち向かう組織を改めてソージは認識する。


「一度、自分の生の底に立ち、全身が苦痛に浸りながらも、悪に抗い、輝く光を見つけて、前へ進むなんて誰もができることじゃない……だから、あぁ……俺は尊敬するよ。この組織に立った人達に――」


 それにサリアとライトは頷く。


「それは、そうだな。自分より前にいた人たちがいたから、自分達がいる……その一つが自分たちを動かす燃料となるんだ。善に希望がある、悪を殲滅することができるって――」


 お互いの意見が合わさり、絆が深まったところで三人は楽しい話題へ移行するのだった。


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