173話 足跡を振りかえる
ボードゲームを初めてあっという間に一時間が過ぎ、身の上話ではなく、ただゲームによって七人は仲を深める。ゲームプレイに感情的なレイム、エマ、ルエナール、冷静なソージ、ソピア、サリア、ライト達は自分の陣営を分析し、現状の手札でプレイを進める。
最終的にレイムの引きの良さによってたった一枚のジョーカー的な立ち位置のカードである自分以外の陣営と世界そのものを時間逆行させ、最初の原初時代にたった一人、未来文明そのままが残るという実質、ゲームセットである“逆行世界・頂上楽園”を引いたことで盤上が傾き、レイムの完封で終わった。
それで納得できる存在はソージ、ソピア、サリア、ライト以外のエマとルエナールは出来ず、今度はテレビゲームで戦いを始める。ソピアは観戦し、サリアは少年二人の会話を聞いている。
一時間でボードゲームが終わったことでソージとライトはリツリの差し入れたジュースを飲みながら、緊張がすっかり解けた状態で話し始めた。
同じ存在からの迫害、それはレイムと共通している点、それでもソージ、ソピア、サリアは悩むより、自分たちが存在する理由、レスティアル家とレヴォルアント家の人間として魔王討伐のために鍛錬に集中する生活を送った。
それは一つの事に集中する『鍛錬』に逃げたと言っても、ソージは否定しない。真っ当な人間であろう彼らでも嫌なことは逃げる、それが『鍛錬』より嫌だったというわけだ。
ただ逃げるだけじゃなく、ソージは『鍛錬』を経て、自分の強さと精神を鍛えた。自分達を迫害し、嫌う存在の外へ向くのではなく、自分の成長という内に集中した。
「あぁ、俺は自分を信じたんだ。勇者として育つ自分を――」
ただそれだけ、あの時――まだ未熟な三人、同じ人間からの迫害という精神的に厳しい状況の中で、それ以上に『勇者』としての自分を信じ、望み、それを達成するために代々伝わってきた流派を会得する『鍛錬』だけを見て……。
それを経て、どのような意図かはわからないが、光の神から『勇者』として破壊神が住まう領域レイズレイドへと向かって、自分達は奇跡に近い出会いをした、と――
実際には少し前のことだろうが、もう何年も経ったような感じを抱きながら、ソージは話し、ライトは大変だっただね、と正直な感想を漏らす。
「君はどうなんだ、ライト?」
「僕は……そうだね――」
ライトは明らかに苦い表情を浮かべた。
そういえば、ソージの境遇に少なからず苦い表情、精神的な痛みを感じながらも共感していることをソージとサリアは理解する。
「――僕が生まれた世界は多分、ソージ達と変わらないくらいの文明だった。小さいこそから遠くの方で戦争があったことは両親の危惧や、周りの大人が話していた。でも、僕が生まれた国は平和だった、その中で育っていったわけだけど……」
また少し苦い表情を浮かべて、言葉の間を開ける。
ジュウロウ・ハリアートと同じく『唯一者』である少年、ライト・ロウハートは自分の過去を語り始めた。
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