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170話 理解の時間③

「はぁ~……疲れた」


 レイムのような超常的な存在ならば、身体的な疲労というものは感じない、存在しないと言い換えてもいいだろう。

 それでも存在の核である『魂』に疲労は溜まり、それを肉体の情報を自由自在に変化できる存在であろうと『能力』の奥に存在する『魂』に疲労が溜まり、それは自然な時間経過のみで改善される。『能力』の奥にある『魂』の異常であるため、『能力』での省略改善は不可能であり、疲労が溜まれば『精神』や『肉体』までもが根源的な疲労に飲まれ、最終的には過労死する。


 どんな存在であろうと『魂』が弱点であることは万物共通であるが、レイムほどの存在の過労死なんてどれだけ連戦すればいいのだろうか。


「ふぅ~」


 今回は一人一つのバスタブで薔薇が浮かべられた湯に身体を沈める。

 リラックスの時間――配下たちはレイムの感情、望むことを悟ることに慣れ、ここにはレイムと使用人代表のリツリしかいない。

 バスタブの横にある蛇口は開けられ、少量のお湯が常に流れる。

 お湯の暖かさ、薔薇の匂い、些細な浮遊感、疲労感からか目を瞑ってしまえば、眠ってしまいそうなフワフワの感じがレイムを包み込んでいる。


「お気持ちはいかがでしょうか、レイム様?」


「うん……いつもながらイイ」


「ありがとうございます」


 まだ幼いレイム・レギレス、破壊神に仕えるために生まれた存在リツリ・リファースト。

 幼い頃から見の周りの世話をして、主と使用人という立場、関係上なら、もう既に手取り足取り分かる域にある。

 だからこそか、配下の中でもジュウロウに次いで相談相手とレイムは認識している。


「宇宙か……本当にレオンも」


 独り言、呟きだが、それに反応した方がいいとリツリは長年の経験から判断する。


「レオン・レギレスに接触した存在が、クロノスの言った、悪の組織なのでしょう。確かに宇宙の広大さから突拍子のないものに聞こえますが、別に悪いことではないのでは?」


「手がかりが見つかったからね。それに……」


 レイムはレイルン・レギスレータの事を思い出す。近況で一番気になる出来事、存在を挙げるなら、数十分前に本気で剣を交じ合ったことだろう。


「レイルン・レギスレータ、という少女ですか?」


「うん。あいつからは確かにレオンと同じ……受け継がれた【破壊】だったはずなのに」


「レイム様の見解は正しいです。ですが、レイム様やレオンのように【破壊】という共通点がありながら、初代破壊神に該当する存在が、それを否定している……その真偽はどうでしたか?」


「ん、あいつは嘘をついていなかったよ。『万象神冠コスモス』がいったから……」


「そうですか。恐らく何かわけ、仕掛け等があるはずですが、あのレイルン・レギスレータちう人物は悪人でないことは確かです」


「うん。それは分かってる」


 悩むが、分からない。

 能力『万象神冠コスモス』の出力を上げれば可能だろうが、やめておく。レイムなりの決まりによって戦い以外で解析することはないし、レイルンはずっと隠すことはないだろうと他者であるレイルンを信じることに決めた。


「善なる組織……まずは仲直りしたいな」


 レイルンの次に考えることはその前に戦った相手、ルエナール・ルクスフォルマーナであるため、ふっと呟いたレイムの言葉をリツリが聞き逃すことはせずに耳に手を当て、他人に意思を送る。


「では、レイム様。少し席を外します」


「うん。分かった」


 別にリツリの行動に不満がないため、軽い返事でレイムは返す。

 その後、リツリは主に対してお辞儀をしてバスルームを後にする。


「はぁ~……」


 本当の一人になって自分以外のものが零れ落ち、本当の意味で肩の荷が落ちた。

 ふと、自分の外見が気になった。

 怒りっぽいと言えば、怒りっぽい。

 自分の底の性格が戦闘狂であることも自覚しているが、他者と接するにはこれではいけないだろう。


「それは自分の領域に、周囲から孤立していたことも原因だね」


 標準サイズであるバスタブは十二歳の体躯であるレイムにはまだ余る、その対面にもう一人の自分、レイネルが現れる。


「たしかにそれはあるね。そうやって今の自分がいることは分かる」


「改善することは大事だけど、良い意味でも悪い意味でも、人の格を変えることって難しい、不可逆って言ってもいいかもね」


 もう一人の自分、レイムの補助装置としての役割としてレイムの許可なく『万象神冠コスモス』を行使できるため、もう一人の自分であるレイネルはレイムが本当に一人になった時の自問自答の際のアドバイザーとしての役割も持つ。


「ふ~ん……」


「初対面が敵に見えただけ、無理なものじゃなく、見方を変える。友達として戦い以外の一面を見れば、印象は変わるはず」


「……見方」


「レイムも戦い以外の一面を見せることで、相手も自然と違う一面を見せるはずです」


 もう一人の自分であるが、他人のような、自分の補助装置は優しく語り掛け、今後の人との関わり方を主体であるレイムに教え、レイムとレイネルは雑談を続けた。


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