167話 レイム VS レイルン
「――『超越神冠』」
そう、レイルン・レギスレータがその名を呼んだ――
それはレイルン自ら、自身の能力を明かしたことで彼女の力が判明する。
その瞬間、ゴッ――と交わる桃色の刃から衝撃波が生じ、レイムの身体は宙に浮き、後方へと吹き飛ばされた。
『能力判明――【超越】、対抗策を模索中』
解析中の『万象神冠』に根幹部分は任せておいてレイム自身も今の違和感を模索する。
……さっきの衝撃波、普通じゃない。
ただの風、強風で今の状態のレイムが吹き飛ばされるわけがない、見た目は風だが、それを構成する力は異常なほどに強力だ。
しかし自分の力と拮抗するなんて、今までにない体験だ。
『能力解説――』
奴の能力【超越】を解析し、対抗策を『万象神冠』は主であるレイムに告げる。
その対抗策は二つであり、レイムはその前者を即座に実行する。
「相手に相応しい――」
レイルン・レギスレータの能力『超越神冠』の本質は“物事を超える”ことにある。
相手の技量から万物に通用し、戦いにおいても例外じゃない。敵が互角なら、確実に相手を上回り、格上であっても互角の戦いに持ち込める。
目に見える火力ではなく、概念の相性関係なく、力の関係性を操作するという能力【超越】は最上位と言っていいだろう。
しかし『万象神冠』によって無敵とも思える【超越】の弱点を看破した。
物事を超える、という本質が作用するのは当たり前だが意識を向けた能力の対象者のみだ。
だからこそ、『今』のレイムは実行する。
超える、という性質から格下や互角な相手ではなく、格上こそに『超越神冠』は真価を発揮するだろう。
しかしそれにも限界はある。
理論上、無限に成長するように見えて、上限は存在すると予想する。『万象神冠』の解析ではレイルン・レギスレータの能力所持数は【超越】の一つのみ。
通常、最上位の能力を一つ所持するだけでSSSランクに相当し、そのようなポテンシャルを持った存在であっても【宇宙的存在】という特別な存在でない限り、一つが限界だ。
まだ確定したことではないが、レイムは懸けに出る。
「神器解放――」
二つの内の一つの対抗策、それは――超える基準である『今』の自分を一瞬にして格上とする出力に上げ、圧倒的な力の一撃で決着をつける。
これに関しては技量の勝負となる。
簡単に言うなら――今の自分を超えたレイルンを超えるという解決策だ。
通常なら無理な話だが、どんな偶然か、制限を設け、解放段階を設定していたレイムは一瞬にして制限を解除する。
「ッ――――」
流石に一瞬にして自分の能力の看破したのが意外だったのか、レイルンの焦り顔が見えた。
これは懸けだ。
レイルンが自分を超えたと認識し、能力の基準となるレイムが格上となった時点で再び、能力を行使することで【超越】の真価が発揮されるだろう。
その前にやる。
一刻の猶予がない状況であるため、レイムは振るう動作を省いてただレイルン・レギスレータに剣先を向けている。
無駄のないもの、時間は一秒、最大の手前の火力を以って答えを待つ。
そして――神器《終焉剣フィーニス》の力は解放され、心の中でその事象の名前を叫ぶ。
――――《彼方へ駆ける漆黒の光は万象閉ざす終の星》、と。
詠唱とはそれの展開や顕現を支える、そして意味を宣言し、その能力の全てを発揮させるために能力の名称を、解放の事象の名を呼ぶ。
しかしそれを何度も行い、卓越した存在は声から魂の声に置き換えようとする。
何が違うと言われたら、意思という精神からか、存在の核、本質である魂からか、という一段階奥からの命令に変わらないが、難易度は完全に魂からの命令となる。
しかしそれに辿り着き、実行した存在でも多用はしない。
なぜか、それは危険を伴うからだ。
魂と能力は隣同士、それでもその外側にある精神の意思によって通常は能力を行使するが、魂はどんな存在であろうと保つこと、操ることが不可能に近い、それは確かに自分自身であるが、それを自由自在に操るということはこの宇宙に存在しない、と卓越した存在なら気付くだろう。
つまり魂の声による能力の真価、その意味を発揮させる手段は『奥の手』ということだ。
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