166話 突然の衝突
その確信はレイム・レギレス自身、感覚で思っている。
しかし自分の中にある【破壊】については同じく【破壊】を継承してきた者たちか、それ以上に【破壊】が歩んできた過去、それを感覚でレイムは理解している。
「それは、おかしい……あなたが所持していた【破壊】は紛れもなく、これだ」
少女の語尾にイラつきが含まれている。
レイムは、その答えに不満を浮かべた。
レイルン・レギスレータは【破壊】を所持してことを認めたはずなのに初代破壊神やレオン・レギレスのことを知らないということはおかしい。
恐らく目の前にいる存在こそが二代目破壊神レオン・レギレスの前任者なのは間違いない。
「それはどうゆうこと? 教えて」
「……すまない。今は言えない」
つまり何かを知っているということ――ならば。
――『万象神冠』
その瞬間、レイムが首から下げている瞳型のペンダントが緑色に光る。
あらゆる能力の中でも解析系に分類されるもの、その中でも最高位の性能を持つ【万象】が主の思念、命令を受けて起動する。
相手を既に捕捉し、物理的な距離など意味を成さない効力によって一秒で相手の情報を知ることができる。
……が。
バチッ――それはレイムの中に起きた小さな火花によって命令という事は成さなかった。
『命令受諾――検索失敗、相手の能力で防がれました』
え……?
それはレイムにとって初めての感覚だった。
『え、【万象】を防いだ?』
『原因検索――同ランク及び価値のある能力を所持しています』
奴は分かっている?
『解答提示――意図的で能力を発動してきました』
突破できる?
『命令受諾――全身全霊で行います』
全能力の中で解析系に分類される【万象】は一秒の間に十回以上、相手に検索をかけ、同時に突破方法を模索する。
それは外界にもバチバチと二人の間の空気が弾かれる。
「力を使っていいって言ったよね?」
「あぁ、でもその方法はなしだ。【破壊】を宿しているなら、分かるだろう。力とは何か――」
レイルン・レギスレータは真っ直ぐした眼でレイムを見た。
レイムはそれを宣戦布告と取った。
その瞬間、レイムは踏み出して剣に手を伸ばす。
その動きを見て、誰もがレイムは戦うつもりだと理解する。
二人の距離は五メートルほど、一度の呼吸で全身に魔力を流し、一歩の踏み出した時点で剣を半分抜き、もう一歩を踏み出して、その名を呼ぶ。
「――『終焉神冠』」
その瞬間、膨大な魔力がレイムから奔流のように溢れ出した。
それを認識したジュウロウはソージ達の前に立ち、レジナインはメンバー全てを空間で囲み、衝撃から守る。
悪く言えば、仲間である他人を考えない行動、良くいくなら一つのことに集中する一点集中特化型な性格。
まだ未熟とも言えるレイムだが、それを理解している人物によって『無限の星』仲間たちは無事であったが、状況は一気に悪い方向へ進む。
そしてガンッと強い衝撃が会議室である空間を振動する。
黒い鞘から抜いた片手剣は瞬時に黒い力によって大剣へと変化したそれをレイムはレイルン・レギスレータに振り下ろした。
「ん?」
それは違和感だ。
「――クロノス、広げろ!!」
その声を上げたレイルンの指示で会議室の空間はレイムとレイルンの地点から空間が瞬時に広がる。
この場のことを考えてだろうが、逆に言うなら奴も本気で戦う気だ。
「やる気か――レイルン!!」
納得がいかない、ならば力で訴える。
「あぁ、仕方ないからな」
「くッ――」
その物言いにレイムはムカついた。
何が、仕方がないのか、そっちから言ってきたんだから――
レイムの黒、暗黒や闇以上に黒く格上の【終焉】が思いっ切りレイルンに叩きつけられる。
しかしそれは雪解けの流水のような流れ、桜色の力によって弾かれた。
最上位の能力である【終焉】――触れた物質、概念を終焉に導くという効果の形なら【無】の効果と対して変わらない。
その出力はレイムの力加減と魔力量で変化するが、その根底にある脅威は変わらない。
だが、そんな【終焉】に対してレイルン・レギスレータは真っ向から撃ち合い、両者の力は今、拮抗している。
「――あり得ない」
これは無論、初めての状況だ。
相手の実力は今の自分と同等なのだろう、とレイムは大雑把に状況を飲み込む。
『対象検索…………』
今もレイムの『万象神冠』はレイルン・レギスレータの能力を解析し続けている。
しかしレイム・レギレスが所持している二つの最上位の能力を相手にして互角という状況――レイルン・レギスレータの実力は今のレイムを上回っているのか。
だが、その答えは近くにあるわけもなく逆に遠くに吹き飛んだ。
「――『超越神冠』」
そう、レイルン・レギスレータがその名を呼んだ――
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