163話 この宇宙の話②
「そもそも、俺達は宿敵であるレオンを追ってきた。奴の行動は一つの世界で片付けるものじゃなかった、実際、俺達の世界を滅ぼしかけた」
ソージは真剣な表情で話し出す。
「そのレオンとの戦いの前、少し奴じゃない別の存在と会話した。その中であったのが、名前、強大な存在、重要な存在、そして運命力――奴は最初、レオン・レギレスと名乗ろうとしたが、言うべきじゃないと止めた。名前は重要な意味を持つからと。そして強大な存在、その中でも他の『重要な存在』を引き寄せたレイムも同じく『重要な存在』であり、彼ら以上の運命力を持つと……」
その話はレオンの戦いの後に『無限の星』に共有されている。
それを今までは確かにレイム・レギレスという存在は偉大なものだが、と過小評価をしていたが、再度、この話を聞いたことでレイムの重要性は高まった。
「他にも何かを言っていたが、今はいいだろう。俺が、何を言いたいかと言うと敵が意味もなく、そんな言葉を言う奴じゃないことは対面してある程度、理解できる。そして今、悪側である敵だけじゃなく、善側であるクロノスさんも言っている時点で、レイムっていう存在の重要性、価値は高いだと思う。だから、顔が似ているってことはそれだけで大きな意味を持つと思うんだ」
そのソージの言葉は間違っていないし、根拠は少ないが、彼が言っていることを嘘だと断言できるものはいない。
謎の存在と対面したのは彼のみであり、疑う者もいない。
だが、まだ完全に納得は出来ないのは確かだ。悪にも善にも言われたことだが、そう簡単に納得できるような内容ではないため、レイム本人ですらまだ信じることは出来ずにいる。
「じゃあ、私とそのミレイヴァムっていう人が顔が一緒だからって何かあるの?」
「そうですね。悪側からしたら、敵の大元、固執するのは当然です。ですが、完全に納得する必要はありません。もしかしたら、前世なんてことはあるかもしれませんが、今回の本題は違います。その前にそのレオン・レギレスについて――」
そしてクロノスによる話の本題が来る。
「なるほど、その超兵器についてですが、こちらの情報にも幾つが心当たりがあります。特徴的な侵略方法、特徴的な兵器……これを実行できるものは限りなく、一つに絞られます」
双方が知っている情報を合わせることで一つの答えが出る。
まず、重要人物であるレイムの力において繋がりを持つ者。
恐らく単独で兵器運用を可能として、それを許可した悪の組織の待遇から優遇されているその扱い。
彼が逃げたことでその間を埋めるように精鋭部隊を送り込んだこと。
そしてその兵器や部隊の情報が、善なる組織に所属するクロノス、ライト達が知っている情報と一致していること――
これは誰もが偶然ではなく、必然的に起こったことだと、どんな馬鹿でもいい加減、気付く。
「即ち、レオン・レギレスは悪の組織に勧誘され、その待遇からもレイム様に対する駒として敵の上層部は使っているでしょう。つまり――我々の敵は一致いるといことです」
また語尾にレイムを含めた『無限の星』が意識を向ける。
「レイム・レギレス様、そして『無限の星』様にお願いがあります。我々、善なる組織に加入していただけませんか? この宇宙で今後、この宇宙を悪で染める行為を止めるために――」
クロノス・アイギスという人物は真っ直ぐとレイムを見て、そう言った。
それは頭を下げる懇願より、ある意味、相手に承諾を得そうなほどに効果はある。
その言葉を、目線を合わせながら、レイムにそう懇願した。
だが――
だが、しかし――レイムは迷うことなんてなかった。
今までの事を思い返し、自分の決断が間違っていないと再度、宣言するように立ち上がった。
「うん。私の理想にぴったりだ――レオンだけじゃなく、この宇宙の生命を脅かす者を倒す。そのために我ら『無限の星』は善なる組織に入ってやろう!!」
なぜか、上から目線。
まぁ、レイムという生まれながらの強者にとっては下からなんて発想はない、ただ自分の理想を叶えるために入るという組織を踏み台にする加入理由だ。
だが、それに嫌味の一切なんてものはない。
彼女は良くも悪くも純粋に物事を考え、いつまでのその視点が失われることはない、純粋こそが彼女の原点とも言える。
そんな純粋な判断によって、主神レイム・レギレスは善なる組織『無限組織・対邪悪殲滅機構』に加入することを宣言した。
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