表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

160/190

159話 善なる使者

 そして『意識』以外の時間が停止した数分後、『意識』以外の時間が動き出す。

 その間に二人ほど、新たな来訪者と接触する。

 一人は時間停止の範囲外、常に氷の大地へと向かったレイム達を観測していた白い女。一人は自身には何事もなく、自分以外が異変に見舞われたことをことを自覚した白い男。

 そうレジナイン・オーディンと、ジュウロウ・ハリアートはこの現象から抜け出した二人、その内の一人であるジュウロウ・ハリアートにそれは接触する。


 それは危機感、刹那の気配を感じたジュウロウの反射神経はビクッと、急に話しかけて驚くような身体の動き、それにて彼の身体に【無浄】は濃く展開された。

 彼は『唯一者』――レイムのように万物に【終焉】を齎すことも、色んなものを【創造】をすることは出来ない。

 しかし彼にとっての専売特許としてあるのはあらゆるものを無に帰す力だ。

 それがジュウロウ・ハリアートという存在に満ちたことで、彼に降りかかる強制力のある法則に捕らわれず、自分のペースを保ち続けたのだ。


「初めまして、自己紹介は、今は省きます。私達は善を掲げる組織の一員、どうやら些細な間違いで戦いが勃発してしまったようですね。とりあえず、この状況を鎮めます。あなたはレイム・レギレス様を説得してください」


 それはちゃんと自身の眼前に姿を現したのは、水色の少し幼さを残した女性。突如として天から舞い降りた、その状況は天使か、神様の登場の仕方だが、実際、存在値はそれほどだった。

 彼女の言動の真偽についてはジュウロウは怪しいと思うところはなく、むしろ信用していい人物のように思えた。


「……なるほど、分かった」


 これが間違った戦いであり、善行をする、というレイムの目的に反すると判断したジュウロウ・ハリアートはこの戦いの仲裁をすぐに承諾した。


「レジナインはサポートしろ――」


『了解ッ』


 白と白、ジュウロウ・ハリアートとレジナイン・オーディン。

 お互いが白という髪色であり、お互いが先天的な天才であり、お互いが重要な立ち位置であるなど、意外と共通点が多い。

 お互いのある程度の強さは世界大戦時に本気の殺し合いをしているため、かつての敵だからの理解度は凄まじいものだ。


 そして今の状況のように主であるレイム、仲間の殆どが察知できない、または察知できても対処できない事柄に関して生き残り、対処するのはこの二人だ。

 レイムや仲間たちでもそう言った状況で生き残るのはと考えたら、自分といいそうな性格なエマでも、この二人を上げるほどに負けること、失敗する姿が思いつかない人種だ。

 天才度は流石に【世界的存在ワールド・クラス】に分類されている通常の生命より一段階、上の存在である『唯一者』には存在スペックで劣っているが、それでもジュウロウに次ぎ、安心感がある。


 軽いレジナインの応答を聞き、ジュウロウは左側に携える刀の柄と鞘の中間を握り、軽く地面を蹴って高台からレイムが戦っている雪原へ降りる。

 その間、ジュウロウは様子を見る。

 彼の性格は思慮深い、だからこそどんな相手であろうと状況を確認し、答えを導き出す。

 相手の持つ武器から戦闘スタイルを、相手から溢れる魔力から属性を、相手の動作から戦闘方法を、相手の目線から初手の攻撃を、相手の感情の強弱から更に正確な初撃を。

 相手の情報を可能な限り、正確に予想する。

 彼が予想する正確さは実際に経験を積んだことの表れ、彼が刀を持ち、田舎である生まれた里を離れ、強さを求め、一応、人間の中では最強と呼ばれた期間で身に着けた技能だが、元々、彼の直感は当たる。


 そして今、まずジュウロウが考えたのは『ジカンテイシ』と言う事象だ。

 あの存在値なら、世界に強制力を発揮できるだろうが、善人ということなら、この世界の動きを乱すことを避けたのだろう。

 しかし【時間】という概念を操ることは難しいことだろう、とジュウロウは直観で感想を述べる。

 能力という力の化身、一つの生命から出力させる力には限界があり、それは対生命なら猶更だ。

 多分だが、あの神様の女性が範囲を絞ったのは世界を停止することは出来るが、それを成すと七割の力を消耗するのだろう。

 広範囲に能力を行使したいなら、世界系の領域環境型が適切だろうが、どんな上位存在であろうと、それを展開する対価は少なくなく、更にそれを保つこと、それはレイムにも課される。


 まぁ、何が言いたいかというと神クラスの能力を所持した生命、その複数に対する強制力、例えば束縛系だ。紐で縛る、時間で縛る、空間で縛る、魔力で縛る。

 それなら、領域内に入り込んだ自分以外の位置を正確に認識でき、射程距離を絞りながら、数を増やすことができる空間支配領域も似たようなものだ。

 まぁ、ジュウロウの特性上、そんなことを注意することはない、縛られた後でも力を入れれば、簡単に無効化できる類なのだから。


「さて、レイム様に長く待たせるわけにはいかないからな――」


 そう呟き、ジュウロウは抜刀と同時にルエナールの空間支配領域に飛び込んだ。


【“面白い”と“先が気になる”と思ったら、『ブックマーク』や『☆☆☆☆☆の評価』や『感想』をしてくれるとモチベーションアップに繋がるので何卒よろしくお願いします!!!】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ