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151話 月海に漂う少女①

 ガンッと大きく大鎌を振るい、対峙したレイムは少し押されたことで距離を取り、冷静に思考を巡らす。

 この状態ではあっちに分がある。

 その原因はもう目の前の存在が証明している。


「出力、か……」


 そう、能力を外界に顕現させるための道、穴、蛇口。

 どんなに膨大な魔力量を持とうと顕現する出力の量によって上手く活用することができない。

 悔しいが、明確に上位互換である【終焉】を獲得した時点で【破壊】は戦闘では用途がなくなったが、レイムの希望、善行をする、という以外の願いに応じて【破壊】の形態、通常状態というものは存在している。


 まぁ、それは置いといて――レイムは真っ直ぐとルエナールを見る。

 エマほどの魔力量、そしてルエナールの出力は高い。それは能力発動と同時に付随する効果で魔力消費が多いであろう広域の空間支配の力を行使した時点でそれを証明している。

 そして今の状態のレイムとルエナールを比較すると魔力量は上回っているが、出力はルエナールに劣っている。

 でも、レイムは笑う。

 悔しいは悔しいが、戦闘によって真価を発揮するのはこれより上の概念なのだから。


「ふふん、おもしろ――」


 これを解放すれば、勝負は決まる。

 それほどの自信がレイムから溢れ、幼い表情は下劣に、冷酷に、余裕に、全てを見下すように表情を変えて剣を高らかに上へ掲げる。


「終焉を、ここに――『終焉神冠ヴィナンド』ッ!!」


 そして究極の黒は――顕現する。

 まず、目に見えるものは出力の変化。元の出力から単純計算で五倍以上の大きさに出力が広がる。


「フィーニス――――」


 主が名を呼ぶとレイムが手に持つ《破壊剣ルークレム》に彼女の内部から溢れた漆黒の物質と力が纏わり、それを芯として長剣だったそれは大きさを変え、レイムの身体ほどの大剣《終焉剣フィーニス》へと変貌を遂げる。


 そして通常状態から不正確であった魔力量が明らかに自身の倍以上である魔力、広がった穴から奔流の如く外界に流れ出し、強風、空間支配をしている領域内でもルエナールが吹き飛ばされるほどの衝撃波が起こる。

 その現象は進化、覚醒と言って差し支えないレベルのもの、レイム本体の性能は通常状態から単純計算で倍以上、倍々以上の性能が明らかになる。


 最初の覚醒の際には肉体、精神、魂が良い状態ではなかったが、時間を置き、スタイルを確立させた。更に見た目が変化する。


 それは能力発動と同時に付随する権能クラスである〈終焉の神装:黒華の君〉――レイムの好みである動きやすさと神々しさを合わせた衣装へと。

 それは何かと言われれば、漆黒のドレスとしか比喩表現が見つからない。

 通常と比べると長い袖はなくなり、肩まで出して服の下部は前後左右の四か所から切って上で繋げたような形となったことで通常よりその奥にある少女の肌が露わとなる。

 その上に黒くて薄く、時に御身の身体が明らかになるほど透き通り、時に御身の身体を黒く覆い隠す布一枚をマントのように羽織った姿となる。


 それはシンプルと言っていい、どこか和洋を混ぜた衣装だ。


「さぁ、やろうか――ルエナール」


 本当の力、奥底にある力を解放したことでレイムの心は高ぶり、大剣を上段で構える。


「もちろん――〈月界操作ムーンドライバー〉ッ!!」


 その権能によってルエナールの身体が銀青色の魔力が纏う。

 あれは、単純な身体強化であるが、それ以外じゃないだろう、とレイムは勘づぎながらも、刀身に魔力を込めてルエナールに振るう。

 それは黒い極光の斬撃となり、ルエナールに迫る。


「ぐあッ、こ、この威力ッ――――」


 それは黒い光、エネルギーの塊、質量を伴うほどに高密度の魔力の斬撃、それに相対したルエナールは苦悩の表情を浮かべながらも、耐え凌ぐ。

 しかし跳ね返すことは出来ない、ならば――と権能を発動させる。


「――〈月界大吞ムーンエクリプス〉」


 その瞬間、空間全体が振動する。

 バキバキと氷が割れる寸前に出すような軋む音が響き、レイムが放った黒い極光の斬撃、魔力を斬撃として飛ばしたそれが、まだ霧散する時間は経っていないのにも関わらず、全方位に漏れ出して斬撃の形が崩れていく。


「……魔力吸収――」


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