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149話 漆黒と白銀

《時空振動の発生時間は約二十秒、穴の大きさは三人が通れる規模だから、人数は少人数だ。地点は時空振動から少し離れたところで方角はそっちだ》


 ホログラムで出現させた矢印で方向を示す。


「分かった。じゃあ、私が先に出る」


「レイム様、大丈夫ですか?」


 ジュウロウは一応の確認を取る。

 それは彼にとって義務であり、鬱陶しいと思われようと必ず一度、確認を取る。なぜかと言われた最破筆頭であるジュウロウ・ハリアートだからであり、ただ彼の心配から来る言葉だからだ。


 それを彼のあるじとしてレイムは彼の感情を理解しているため、いちいちであるが、鬱陶しいとは思ってはいない。


「うん、もし、私一人で対処できないなら、エマと協力するから」


「じゃあ、レイムが見える範囲にいればいいってことでしょ?」


「そう。じゃあ、よろしくね!!」


 そう言い、レイムは裸足で白氷の大地を蹴り、示された方向に跳躍する。まだ仲間以外の魔力は感知されず、『万象神冠コスモス』も反応していない。


《――マスター、その平地で止まってください》


 その指示に従って持ち上がった大地、山脈に囲まれた地帯の真ん中にレイムは降り立つ。マイナス二十度という基本温度という環境でもレイムは魔力を用いた保護によって普通に過ごせている。

 今の天気は無風、険しい山脈に囲まれている未開の地であるため、冷たさと静けさだけが存在している。


 そんな白と銀色の大地で双方は邂逅する。


「――誰?」


《報告――対象の存在ランクはSS以上、段階的覚醒による存在ランクの上昇の可能性あり》


 レイムが首から下げている瞳型のペンダントにして『万象神冠コスモス』が緑色に点滅して光り、レイムの頭の中で説明をする。


「そっちこそ、誰ですか?」


 突如として上空に姿を現したことでレイムは空間制御が得意な奴だと考察する。言葉遣いは丁寧なものだが、その真っ直ぐな瞳と相手の性能からただの言葉で騙す、誤魔化すことは出来ないし、レイムにそのスキルはないし、作ればあるが、そうゆう戦闘スタイルをレイムは好まない。

 そしてレイムは相手が持つ武器、大きな鎌に注目する。

 どんな存在か知らないが、武器を、刃を見せている以上、戦闘する気満々であることは誰がどう見てもあることは間違いない。


マスター――相手の出力、魔力発生を確認――》


 その瞬間、予想が確信に変わった。

 やる気だ――レイムと同じくらいの外見年齢、銀色の長髪のツインテール、青色の瞳をこちらに向けている。

 頭にはウサギの耳、青色を基調とした和服の一つ、巫女服を着用している少女。


「ふぅ~……」


 レイムは息を吐く。

 その黒い瞳に映ったのは相手から湧き出る銀色の魔力に注目する。

 魔力、それは『魂』から溢れ出る生命力と言い換えてもいいもの、その魔力を正確に判断できるものは色の違いも見分けられる。

 レイムは膨大な魔力量をその身に宿し、常時、魔力に晒されているため、肉眼で正確に魔力の色すら判断できてしまう。

 個々人によって魔力の色、操作した際の動きは違いがあり、それが最も謙虚に現れるのが、強大な力である神クラスだろう。

 自分に合う概念、それが神クラスへと昇華された時、その概念を元に権能が生まれ、存在自体も大幅に成長するだろうが、生命としての在り方から浮いている状態であり、全員に共通していることは身体の成長が著しく遅くなり、簡単には死なずなど、これは昇華したことで生命力が増しているという解釈であり、全てに共通していることは力の強大さに比例して生命力が増し、獲得する力も多い。

 この複雑そうな能力と存在の関連性、これを大雑把に理解したレイムが認識していることは単純明快――どちらが強いのかで勝負は決まる、これはどんなに存在の位階を登ったとしても通用する。


 そして相手の魔力は銀色、これは炎を操るエマが赤色で業火に燃える魔力であること、ビーが緑色で荒れ狂う暴風の魔力であることに倣うなら、銀色は単純な炎や風じゃない、さっきの直感で予想した空間干渉に特化しているものだろう。

 それを判断してもレイムに焦りは微塵もない、そもそも負ける場合なんて考えていない。

 それは負けると悟った時に考えればいい。

 悪を倒すことで善行を成す――それを目指し、ついでに戦いも楽しむ。元々の【破壊】のせいか、戦闘を好む性格であるレイムは笑う。


 そして剣を強く握り、口を開いた。


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