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143話 極黒の『神』 VS 極炎の『王』



 それは終わりの象徴――《終焉剣フィーニス》は顕現した。【破壊】の出力機である《破壊剣ルークレム》を芯として構成されたそれは神器のランクの中でも最高位の代物であり、エマの《太陽剣ソルリウス》と同等の性能を誇る。

 それは存在値SSSランクにして惑星級である。Sランク神格級やSSランク世界級より

上の位階に神器という武器が位置している。


 それほどの代物を用いる本体である『神』レイム・レギレスもSSSランク惑星級に匹敵する存在へと今回の昇華で至っている。

 そのためか、『神』であるレイム・レギレスと対峙したエマの緊張感は半端ないほどに溢れ出している。

 そう、双方の実力差は完全に拮抗している。


「暑苦しいな、すぐに消してやろう――」


『神』は《終焉剣フィーニス》を掲げ、そう告げる。


「ふん、舐めているなら、痛い目に見せてやろう――」


『王』は《太陽剣ソルリウス》を構え、そう言い返す。


 黒い極光と赤い太陽が対立する言葉は月夜である領域の風景を完全に消し去っている。


 そして『神』は能力の名を口にした。


「終焉よ、ここに――『終焉神冠ヴィナンド』ッ」


 その瞬間、『神』から流れ出す膨大な魔力が黒へと染まる。

 それこそが昇華の際に新たに獲得した四つの能力の一つ、黒色や【破壊】という能力の方向性、その系統の最上位に位置する正に一つの極点。

 その【終焉】という概念は万物万象に通ずる。故にあらゆる万物にその力の効果は通用する。

 それはエマやリツリ達が成った状況と似ている。そう、それは先祖返り、元の状態への回帰という印象を得た。


 その瞬間――新たにして真なる姿が顕現した。

 ただ『神』から流れる魔力で周囲の基地が押し流され、『神』の地形が魔力の重さで地形が沈んでいく。


「エマ、ヤバいよ。このままだと領域が破壊されてこの領域の大元の世界に『神』が顕現してしまう。今の思想に従うなら、この状況は危機じゃないのか?」


「わかってるよッ!!! なら――〈熱核膨張アトミック・インフレーション〉ッ」 


 一瞬で膨大な己の魔力放出し、身体の超強化を行い、『神』へ超接近した。

 今の状況は領域の土台、床が崩壊することと同義――ならばとエマの判断は床から離れさせればいい、ということだった。

 剣を構えながら姿勢を低くし、権能〈熱核収縮アトミック・デフレーション〉を発動し、自身から放出された魔力や周囲のエネルギーを一瞬で剣に集中させる。


「ふん、単調にも程があるな」


「――〈熱核起爆アトミック・ディゾリューション〉ッ!!!」


 エネルギーを内包して黄金の輝きが増した剣先を『神』に突きつけることで指向性を持たせ、その力を解き放った。

 赤色の炎、それを束ねて至るのは金色の光。

 万物を焼却する炎にして光、その線の束が『神』に炸裂する。


 バチバチバチバチッ――――

 燃える。焼ける。焦げる。剥がれる。乖離する。


 だが、それは表層の事柄であり、真の急所である『魂』や『能力』には届いてはいない。

これほどの威力でも『神』の本体の規模、性能を比較するならば、単調なものであるエマ・ラピリオンを凌駕している。

しかしこれは切り口に過ぎず、そこに次々と攻撃を叩きこまれれば、いくら『神』でも『魂』に到達するだろうが、一撃で突破できるほど甘くはない。


「ッ――――」


 身体の表面が焼けた後に『神』は両手で大剣を振るった。


「ぐッ……」


 重い。左の脇腹に刃が入り、エマは吹っ飛ぶ。


「まずいね……うん、わかったよ、ワーレスト」


 遠くから見ていたレジナインでもこの状況に危惧していたが、ワーレストからの連絡で動くことはせずに傍観に徹する。

 皆の見解として今の『神』というレイムの状況は覚醒によるものであり、一時的な状態であることは確かだろうが、その一時的な時間内で仲間である自分達が全滅しないようにしなければならない。


 それの有効打として青年と少女はもう一度、剣の力を解放する。


「行くよ、お兄ちゃん――」


「あぁ、『神』よ。沈め――」


「「――――《全てに示す、(エクシティウム)黄金の破滅を(・ドラドゥーム)》ッ!!!」」


 遠距離から黄金の光が『神』を襲う。

 あの世界の中で上位の生物、どのような世界観でも竜、ドラゴンという存在は強いものだろう。

 それは光竜の咆哮という暴力的な形だが、かの竜は平和を望みながらも、抗うために自身の強さを示した。

 かの竜の命は尽きたが、二振りの聖剣が生み出され、聖剣が求める者は善人のみ。


 そして二つの聖剣は所有者の想いを汲み取り、光に込める性質を持つ。

 その聖剣を解放した二振りの同時攻撃、『神』を傷つけることはできないが、周囲に存在する魔力をかき消した。


「上出来だ、レスティアルッ!!」


 その隙にエマは入り込み、少しの溜めがいる神器解放ではなく、権能の中で今できる最大火力を『神』の身体に触れて放った。


「――〈超新星爆発スーパー・ノヴァ〉ッ!!!」


 そして星の誕生と終焉を告げる爆発がエマの魔力によって疑似的な再現であるが、『神』は飲み込まれた。




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