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130話 第五位・灼熱地獄⑧



「レジナイン……これは?」


 ワーレストが目の前に浮遊しているものに関して問う。

 存在の核でありながら、知覚することは基本的に出来ない『魂』……それが目の前に顕現していてもただの明かりとしか、認識できないのも当たり前だ。


「エマの『魂』だ」


 やはりレジナインの声は冷たい。


「え……」


 でも、早く助けないと――という言葉が流れで出そうになったが、それはワーレスト本人によって塞き止められた。

 そう、高度技術の結晶体、その一号機であるワーレストにも『魂』から治す、治療するなんて技術は持ち合わせていない。


 だが、レジナインは理解できる。


「そうだ。『肉体』『精神』の上の存在である『魂』が完全に露出してしまえば、問答無用で霧散してしまう。それは大雑把に言うなら、宇宙の法則の一部だ。だからこそ、我々は『魂』を治す術なんて知らない、いや出来ないんだ」


 だから、レジナインは何もしない。

 ただ、どうなるかを見ているだけだ。


「基本的に傷を負った『魂』を治す手段は本人の力以外、ない。『魂』は存在の位階的には『肉体』や『精神』より上だが、それ以上に脆い。傷を負えば、霧散が始まってしまい、維持することは出来ても直す感覚が掴めなければ、自己崩壊する」


「本当に、他者が治すことは……」


「あぁ、無理だ。例え、治療できる能力、レイム様の【再生】でも……『魂』を元の形へと再生することはできない。『魂』を治せるのは例外なく、自分自身……例え、それがどれだけ思っていた相手であっても……他者の意思を意に介さない、それが自分の『魂』だ」


 そう、だからエマが復活することが出来なければ、レジナインはここで看取る覚悟だ。


「まぁ、エマの『魂』に傷はついていないから……最悪な展開ではないさ。さあ、エマは至るのかな?」


 真紅の球体に変化はない、霧散はしていない。

 このまま存在を元に戻すには『魂』から『精神』、そして『肉体』を元の形を意識しながら、形成するしかない。

 他者と意思疎通はできないが、『魂』の状態の感覚をエマ自身が掴むことで事は解決する。


 レジナインとワーレストは黙って真紅の球体を見つめる。


 ここでエマ・ラピリオンが死んでしまうことは誰も望んでいない。


 そこに感覚はなく、光はなく、何もないかもしれない。

 そこにあるのは『炎』……その火力は弱いとも強いとも言えない状態、ただその『炎』の形を保っている。


 そしてその『炎』に意思という燃料をくべた。


「あぁ、余裕だったよ――」


 そう言って“太陽の大魔王”エマ・ラピリオンはレジナインとワーレストの前に元の形で顕現した。


「ふぅ、冷や冷やさせるねぇ」


「戻ってきた……いや、エマさんなら当たり前ですね」


「あぁ、わたしだからなッ!!!」


 それと同時に領域の中心がある方向で光の柱が出現した。

 もう既に戦況は『無限の星』へと傾いており、影の戦争は終盤に差し掛かる。




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