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126話 第五位・灼熱地獄④



 シリウスの世界系〈座標の世界〉は身体強化型であり、文字通り、身体の大幅に強化するタイプの世界系だ。

 そのタイミングを見極めて発動した。


「おい、マジか……」


 自身の世界系を発動して能力の性能が上がり、焼かれた半身を治癒する。

 その最中で外から伝わる力が尋常でないことに気が付く。

 相手であるエマ・ラピリオンは能力の覚醒をさせただけであの火力、更に能力の性能はもちろんのことながら、魔力の総量すら上がっているだろう。

 まだ無理ゲーとまではいかないが、消耗戦などという選択肢はなく、ただ一点に集中するという作戦は変わらない。


 奴の力は炎熱系というどこにでもあるシンプルなものだが、それが正しく『規格外』と言える性能に成り上がっている。

 能力の覚醒という一種の暴走を耐えているため、今のエマ・ラピリオンはやや弱体化しているはずなのだが、その傾向など見せていない。


「まさか、これほどだなんて……いや、これこそが『太陽』なのか――」


 自らが光を発する恒星、近くにいれば万物を燃やし尽くし、丁度良い距離間なら、星の上に存在するあらゆる生命に恵みを与える。

 この【太陽】はあらゆる意味で規格外だ。

 まず『能力』という枠組みの中で【太陽】という惑星と繋がりのある能力は存在するが、神クラスの中でも非常に希少なものだ。

 能力の覚醒から名前を呼ぶことで力を証明した際に発生した余波のような熱波で神クラスを持つシリウスに世界系の切り札を切らせ、タイミングによっては全身を焼かれるほどの火力を余波で実現している。


 なぜ、それほどまでの火力を得るのか……それは宿った能力が【太陽】だから、理由はそれで十分だろう。

 そして少し前に戻るが、惑星と繋がりのある能力を発現する存在は決まっている。

 それは惑星との縁、惑星の核部から生まれた存在なら、今の状況はあり得るだろう。

 元々の起源、己という存在の起源を辿ることで行き着いたゴールにして始まりを思い出したことで能力は覚醒に至った。

 多くの能力の覚醒である『熾帝』から『神冠』へと位階の昇華ではなく、同じ位階である神クラスから更なる強大な力に昇華した。

 その負担はどちらも同じくらいであり、現に権能や世界系など発動する気配はなく、自分が敵であるエマ・ラピリオンを打倒するには良いタイミングだろう。

 勝ち目がないように見えるが、能力的に考えて有利に取れるだろう。

 天体に分類されるが【太陽】はただの炎、発火現象だ。それに比べて自分の【座標】は空間に干渉する能力であるため、比能力の性能ではこちらが上だろう。

 だが、覚醒を成した【太陽】は単なる炎であっても、規格外になっていくだろう。


 でも、攻めるなら今だ――


「ヴェルベ――〈遠座の弾丸〉」


 特定した座標まで絶対に到達する弾丸を連射する。いかなる炎であろうと空間には干渉できるはずがないが、たとえ空間に干渉しようとそれは派生の力であるため、元々空間干渉系である『座標神冠シグディネイト』より空間干渉の性能は劣る。

 それが出来てしまえば、本当に規格外だが……。


「ふん――」


 剣を振るうと炎の斬撃が生じ、弾丸を防ぐが、指定した『座標』であるエマに到達するまで進むため、それでは防ぐことはできない。

 それを再度、確認したことでエマは身体を限界まで強化した。


「ぐッ!!」


 シリウスが放った弾丸を年端もいかない幼女はその小さな身体で受け、血が流れる。指定された自分という『座標』を強化することで直撃はするだろうが、肉体より弱点である魂を防いだのだ。

 ――なるほど、ね。

 シリウスが指定した『座標』は肉体、存在の外側であり、『魂』ではなかった。

 もしかしたら、『魂』を知覚すれば、出来るだろうと思うが、敵にそれを期待するわけがない、肉体なら、今のように強化をすれば、対処は可能だ。

 だが、『座標』という空間を干渉する力に対抗するにはエマが出来るのは火力特化のみだ。


「やっぱ、そうだよねッ!!」


 周辺に魔力が広がり、その全てが発火し、炎球となって大地に落ちる。


「エルテ――〈対座てんざの点解〉」


 落下する炎球を斬撃で消滅させる。

 シリウスは抵抗できている。

 神器の中では二つで一つという珍しいタイプである《座標長剣ヴェルベ》と《座標長銃エルテ》に魔力を込める。


 切り札である神器解放までシリウスは灼熱地獄を耐える。




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