121話 第四位・烈光華戦⑧
「――《月牙翔斬》ッ!!」
その言葉を叫び、純白に輝く少女は《竜星剣ドラドゥーム》を大きく振るい、音速以上のスピードで月輪の形の斬撃が接近する。
「――〈走馬看花〉」
異常事態だからこそ、ミルウェは感情を沈めて冷静に権能を発動する。と、ミルウェに直撃した瞬間、無数の花弁となり、散っていった。
「ッ……あれは?」
さっきまでそこにいたはずだが、いつの間にか気配と魔力感知も阻害されている。
これは領域環境型の世界系、その真骨頂とも言える特性である範囲内なら、己の能力で環境を有利に書き換えることができる。
それによって例え、同じく世界系を展開したソピアでも領域環境型でなければ、身体能力の面で有利に立てたとしても環境の面で圧倒的劣勢となる。同じ領域環境型なら、あり得たかもしれないが、領域環境型の強みは覆せない。
ソピアが勝利するには領域環境型の致命的な弱点である世界の中心であるミルウェを範囲外に出すことでその効果を解除する。
流石に再度の展開は範囲内に満ちる魔力と本体の負担の限界によるが、無理な可能性の方が高い。
そもそも世界系を展開する際に事前に自分の魔力を周囲に満ちさせていたのだから、元々の魔力量では世界系を展開するのは不十分なのだろう。
正直、助かった――とソピアは心の中で安堵する。
今現在、二人の実力は拮抗している。
最初は『神冠』と『熾帝』という階位が一段階離れていたが、ソピアが能力の昇華、覚醒を果たしたことで同じレベルに至り、ミルウェの世界系に対抗するためにソピアも同じく世界系を展開した。負担としてはソピアが上だろうが、お互いが切り札である世界系を展開し、これを破られれば、お互いが終わる。
正確には差があるが、ソピアとミルウェの二人は殆ど同じ状況であり、拮抗している。
「――《落花狼籍》ッ!!」
花の権能なのか、色とりどりの花々が折り重なっている風景の中から突如としてミルウェは出現し、刺突攻撃を放つ。
「――《月影遊夜》」
魔力感知はできないが、近接戦闘において気配を察することは慣れており、即座に剣技を展開し、刃を交える。刺突攻撃を剣の腹で受け止め、それを弾き、ミルウェを追い詰めるための連撃を放つ。
月の影を刀身に帯びているため、連撃の軌跡が二人の間に記されていき、ミルウェの視界が影で狂う。
このままでは相手の攻撃に対処できないため、地面を蹴り、飛び上がる。
「――《天花乱墜》ッ!!」
上段から細剣を振り下ろすが、ソピアは上段で剣を横に構えて受け止め、更に剣技を発動する。
「――《星命・流星残喰》」
受け止めた瞬間に発動したこの剣技は刀身から光の粒子を放出し、対象に侵食し、文字通り食らう。
鍔迫り合い、刀身をぶつけ合えば、相手に光の粒子を付着させて相手を食らわす。
白兵戦においてこれ以上、有利なものはないだろう。侵食速度は早く、魔力放出やらの手段で取り除かなければいけない。
下手をすれば、細剣から侵食していき、腕まで達せば、その部分を切り落とさないといけなくなる。
油断などできやしない。
「ぐッ――」
その危険性を感じ取り、素早く後方に飛び、距離を開ける。花々が魔力を発生しているおかげか、すぐに光の粒子を取り除くが、無傷では済まない。
「厄介だけど、それなら一撃で――」
ミルウェは細剣型の神器《薔薇剣ロサリス》の剣先をソピアに向ける。その眼は本気も本気の強さを放ち、咄嗟にソピアも剣を構えた。
「――《百花斉放》ッ!!」
「――《天火閃光》ッ!!」
そして二人の少女は同時に踏み出し、自分が生み出せる神速を用いて敵に斬り込んだ。
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