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115話 第八位・血潮拡散⑥



「はッ――嘘!?」


「この威力……攻撃特化型」


 お互いの攻撃の威力が見当違いであり、ラウラは驚愕し、リールはラウラの世界系の型を見抜く。

 だが、ラウラは冷や汗をかく。

 世界系を展開した自分の攻撃を相殺するほどの力を世界系を展開していないリールが放ったことで一つの仮説が横切る。


「同じ性質を持つなら、世界系を展開した者の意思で領域環境型の恩恵を得られる可能性……いや、不可能なことはないか」


 だが、そのような使い方は攻撃特化型や身体強化型では不可能な芸当であり、つまり条件は存在するが、領域環境型の特徴の一つと言える。


「だけど……やっぱり負担は多いみたいね?」


 ラウラがシールの方に目線を向けると彼女も自分とは違う理由で汗をかいている。領域環境型は文字通り、領域を展開し、その場を自身に有利な環境へと変える。時間経過で性能の向上と範囲の拡大が行われる。

 最大な特性は魔力量次第で性能や範囲は理論上、際限なく向上していく。範囲内なら身体能力、能力性能が向上するため、オールラウンダーのように思えるが、弱点としては展開直後の性能さだろう。

 攻撃特化型が相手なら、上手く回避するかで対策するしかない。


「どの型の世界系にも言えることは本体を叩けば、世界系は保てなくなる――」


 だが、領域の中では展開した者の力が優先される。だが、その効力が一番弱い展開した直後である今、叩くことで勝利を掴む。

 だからラウラは視線をずらす。

 相手を同じく世界系を展開した自分には後がなく、時間も限られていたが、焦りなど微塵も感じていなかった。後がない、袋小路だからこそ、冷静に己の勝利を掴むためにシールへと走り出す。


「――〈拡散火花ファイアーワークス〉」


 視線はシールに向いているが、リールの方へと《拡散銃スプレッド》をぶっ放す。連携は取れているが、二人分の恩恵を肩代わりしたことで〈鮮血の世界〉を保つ時間など自分より短いだろう。


 その時間を待てばいいと思うが、そんなことができる状況ではない。追い詰めて完全な勝利を手に入れる。

 リールは〈拡散火花ファイアーワークス〉を諸に食らったが、血を流しながら、こちらに向かう。


 もう、問答無用なのだろう。避けることをせずにただ突っ走る。姉であるシールの〈鮮血の世界〉の恩恵で傷は瞬く間に回復がかかる。


「ッ――」


 だが、自分の世界系〈拡散の世界〉は攻撃特化型であるため、通常攻撃でさえ比にならない火力を誇るというのに半身が吹っ飛んだだけで済んでいるなんてあり得ない。

 そこでラウラは気付く。リールは姉の〈鮮血の世界〉で有利になっているというのに【鮮血】を多用していない。

 さっきの方に〈鮮血爆発せんけつばくはつ〉で相殺することもしていない。

 油断したか、何か作戦があるのか。

 いや、それよりまずは世界系の展開している姉から殺す。


「――〈拡散地オリジンポッ」


 正直、突発的なものであり、予想以上に負担が大きい。だからこそリールのサポートに回る。

 そしてシールは確実に効果を発揮する性能は向上を待ち、『鮮血神冠ラディアス』の中でも最大の威力を誇る権能を発動する。


「――〈鮮血新星せんけつしんせい〉」


 その瞬間、〈鮮血爆発せんけつばくはつ〉の倍以上の威力が屋上で火山の如く噴き出す。地面に満ちていた血だまりが刃となり、ラウラの身体の前面を強く叩く。屋上やその数回下の階までが崩壊し、鮮血が大量に流れ出す。

 だが、さっきの権能で多少は相殺され、瞬時に屋上から吹っ飛ばされる。


「あがッ……」


 一瞬、意識が飛んでいたが、気が付いた時には自分の身体は宙を浮いていた。ラウラは状況を整理しようとするが、それも束の間、自分の視界にあるものが飛び込んできた。

 それは〈鮮血触手せんけつしょくしゅ〉を足場にして〈鮮血新星せんけつしんせい〉で吹っ飛ばされたラウラに食らいつくように迫る。


「ぐッ――」


 瞬く間にリールに距離を詰められたが、まだ銃を構える猶予がある。更にさっきの攻撃でシールは動けることは出来ないだろうし、一対一なら、近距離でも勝機はある。


「舐めるなよ。吸血鬼ッ!!」


「こっちこそ――『死滅神冠モルマクス』ッ!!」


「二種持ち!?」


 一つの存在が能力を複数持っていることは非常に珍しいことだ。理由としては大いなる存在との繋がり、眷属関係ならあり得るが、それでも悪の組織でも自然となったものは限られている。


 ぶっちゃけると一つの方が使い勝手が良い。

 そのため例え、複数持ちだとしても二つの能力を統合することが出来れば、所謂、コンパクトになり、使いやすくなる。

 複数持ちの不利とまではいかないが、二つの能力を併用した場合、お互いの出力、魂の容量が半々になり、一つに専念している能力に劣ってしまうのだ。複数持ちだとしても能力同士は別個として存在しているため、片方を容量一杯、最大出力で行使する事は出来ても二つ同時には無理は話しなのだ。


 そのため二つ持ちの使い方として一方を始めに見せ、見破られた場合、相手にとって初見であるもう一方の能力で仕留めるなどで使い分けている。


 そして今、その術中にラウラは嵌ってしまった。


「ぐッ――――」


 自分は空を飛ぶ手段を持っていないし、地形操作にしても上手く行えない。敵は目の前、リールがもう一つの能力を発動した瞬間、全身から血の気が引く感覚に陥る。

 あれはヤバいと本能が訴えている。

 もう一つの能力に専念しているため、『鮮血神冠ラディアス』は使用しないか、使うとしても出力は半分に落ちるため、使わないだろう。


「ふッ――」


 そしてリールは一端の短剣をラウラに投擲する。下にいるラウラに向かってリールの筋力と重力で瞬く間に迫る。


「させねぇよッ!!!」


 銃口を向けて〈拡散花火ファイアーワークス〉を放ち、短剣を弾き、それは二人の中間にまでしか弾かれない。


「え――??」


 自分の『拡散神冠ディフュージョン』の効果が弱い。指向性を設けることで拡散という名の砲撃を行え、更に世界系にして攻撃特化型である〈拡散の世界〉を展開しているというのに威力が削がれている。

 奴のもう一つの能力の性質かと悟ったが、それでも世界系に対抗するには同じく世界系を展開しなければ、その出力差は二割くらいだろうか。

 もしも、一の存在に対して千の存在なら、一の存在が世界系を発動したとしても千の存在なら、余裕で勝利できるだろうが、魔力量や存在の感覚からそんなに実力差が開いているわけでもない。


「わたしの能力は【死滅】――攻撃特化型だとしても一撃を全力でやれば、光の一つくらいは半分くらい削ぐことくらいできるッ!!」


 空中でありながら、投擲した一端の短剣を引き戻すように鎖を引っ張るが、一端の短剣は弾かれた地点で固定され、本体であるリールが逆に引っ張られて一気に距離を詰める。


「神器の特性、でも近づいたなら――」


 相手は短剣を自分に刺そうと距離を詰めてくるが、そのくらいの距離なら当たり前だが、お互いの攻撃は絶対に当たる。

 その場合、遠距離攻撃手段を持つ自分の方が絶対に有利だ。

 さっきは鎖が邪魔になっていたが、本体であるリールが追い越したため、対象であるリールが露わになった隙に《拡散銃スプレッド》を構え、引き金を引く。


「甘いわッバァァァカ――!!!」


 ラウラは〈拡散地点オリジンポイント〉を撃ち、リールは右腕を庇い、左腕を撃たれた。

 そしてそこから【拡散】が働き、更に世界系の恩恵によって頭部、胸部、右腕を除く少女の身体が爆ぜた。


「ふふッ!!」


 それは確実な勝利の兆し、それを悟ってラウラは嫌な微笑みを浮かべながら、敵の鮮血に降り注がれる。




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