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セカンドワールド!  作者: こ~りん
五章:旧き血を受け継ぐ者よ
87/115

87.リクエストボックス

 □【地平線の騎士団】クランハウス・ロザリー


 ログインしました。

 今日は先日参加したイベントの報酬として手に入れた【リクエストボックス】を使ってみようと思います。


 この【リクエストボックス】は名前の通り、欲しいものをリクエストすると確率で入手できるアイテムです。

 変なものさえ頼まなければ、大体は要望通りの品が入手出来ると掲示板に書いてありました。例えば特典装備とかネームド素材とかですね。これらを頼むとゴミが返ってくるそうです。

 あと経験値を要望したバk――頭の悪い人もいたみたいですが、そちらも同じくゴミだったそうですよ。


 無難なものを頼めばその通りのものが返ってくるので、変なものに該当しない範囲で好きなものを要望すればいい、と結論が出ています。

 実は何を頼むのかはもう決まっているんですよね。


====================

【リクエストボックス】

 『今の私と釣り合う衣服系の装備(上半身・下半身)を要望します。可能であれば耐久値が高い、もしくは修復が可能なものをお願いします』

 これでリクエストしますか?

[YES/NO]

====================


 私が装備しているのはシルビアさんの店で購入した、紳士でかなり丈夫な衣服。

 性能は悪くありませんが、他の装備品と比べるとかなり劣っています。ベルトポーチはインベントリのショートカットなのでそれ以上は求めませんし、ベルトも壊れなければそれでいいので、次に更新するとしたら衣服なんですよ。


 頭は『業物:脱兎フード』がありますし、腕は【彷徨の竜鱗腕鎧】がありますし、足は【呪骸纏帯び ヴルヘイム】があります。


 YESと押して送信っと。何が返ってくるのか楽しみですね。


「――あ、ロザっち」


 シュンッ、とユキがログインしてきました。

 そう言えば前にログアウトしたのこの部屋でしたね。


「何してたの?」

「【リクエストボックス】使ってた」

「あー、あったねそう言えば。私も使おーっと」


 ユキはベッドに座ってUIを操作し、うぬぬと悩み始めました。


「……うーん、ロザっちは何にしたの?」

「装備だよ。ほら、衣服」

「……んん? …………あっ、確かに性能低いもんね」


 【鑑定眼】でも使ったのでしょう。

 ユキの言う通り、この装備はレベル50台であればそこそこいい装備なのですが、70後半となった今では性能の低い装備なのです。


 更新しようにも、シルビアさんに『レベル50台はまだ量産品で何とかなるわ……。でも、今の貴女のレベルだとオーダーメイドしないと無理よ……』と言われてしまったので、どうしようかと悩んでいました。


 そこにこの【リクエストボックス】ですよ。そりゃあ、新しい装備を要望するでしょう。


「あれ? そういえばこれ、どうやって届くんだろうね」

「どうやってって、システム経由で……」


 冷静に考えると、ゲームシステムを利用している異人はともかく、住人はそのまま物理的に持って移動します。基本、彼らにアイテムや装備をデータ化させる手段は無いのです。

 だからこそ私達は効率的に稼げるのですが……


「――カアアッ! アケロー!」

「「!?」」


 その時、窓に大きなナニカがぶつかりました。ドンッ! と大きな音がして、バッサバッサと慌てて羽ばたく音も聞こえてきます。

 謎の声の通りに窓を開けると、空いた隙間から黒い物体が飛び込んできました。


「……(カラス)?」

「否! ワレハ偉大ナル冥府神ノ遣イ! 冥府神カラノ褒美ダ! 受ケ取レ!」


 そう言って烏は両足で掴んでいた木箱を寄越してきました。烏が掴めるように専用の取ってが付いた木箱です。

 開封してみると、綺麗に折り畳まれた洋服に、一通の手紙が添えられていました。


「木箱ハ再利用スルカラナ! 持ッテイクゾ!」


 烏は空き箱になった木箱を掴み、去って行きました。


「とりあえず手紙読んでみようよ」

「……そうだね」


 添えられていた手紙は一目で高級品と分かる綺麗な紙が使われています。ご丁寧に便箋に入れられていたので、開封して中の手紙に目を通します。


『拝啓 来訪者ロザリー様


 先日の箱庭では見事なご活躍でした。冥府神も大層満足されたので、特別に宝物殿からご要望に合う装備を見繕いました。以前お会いした際の服装から女性物のスカートは苦手かと思い、男性物の中から私のお気に入りの衣服を選んでいます。

 素材は主に冥府産の金属繊維を使用しています。少し重たいですが、その分性能は確かなはずですよ。それに、冥府が抱える腕利きの職人達が手掛けた最高品質の戦闘服ですので、並大抵のことでは傷つきませんし、自動修繕を付与してあるのでどれだけ激しい戦闘の後でも元通りになります。

 喜んでいただけたでしょうか?


 他の来訪者様方が身勝手な要望を送る中、簡潔で分かりやすい要望を送ってくださったこと感謝します。またお会いできた日にはお茶会などどうでしょう? また会える時を楽しみにしています。


 敬具 ツェツェーリア・デュ・ヴォルフガング』


「……どうしよう」

「どうしようって、返事出せば――出せないね」

「ツェツェーリアさんが誰なのか分からないけど、特別待遇みたいだし返事出さないと……」


 手紙を読む限り、かなり高性能な装備を送ってくれたようですから。

 ただ、どうやって返事を出しましょうか……。一応、【冥府からの招待状】はあるので城に向かうことは出来ます。

 ――あ。


「……ユキ、もう要望送った?」

「まだだけど」

「それ手紙代わりにできない?」

「んー、文字数制限なさそうだから多分いける? 内容はどうする?」

「口頭で言うからその通りに書いて」

「おっけー」


 入力が終わったらミスが無いか確認して、それから送ってもらいます。これで届けばいいのですが……

 さて、装備の詳細でも確認して――


「カアアッ! マタカ! アケロー!」

「「あっ」」

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