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セカンドワールド!  作者: こ~りん
四章:変幻自在のベトゥリューガー
79/115

79.変幻自在の―― その五

日付は変わってないからセーフ理論。代わりに文字数が減りましたとさ。

 決着が着いたといっても、これでイベントが終了するわけではない。イベント中にまた遭遇すれば戦うし、そもそもイベント後半戦はバトロワである。

 ディルックとの戦いを制したロザリーは再び遺跡群を駆け回り、災害の如くマンハントを再開した。


 ♢


 一方その頃、白雪御前もまた因縁のある敵と相対していた。

 ロスト・ヘブン時代から何度も刃を交え、そして斃されてきた相手。


 ちなみに、彼女が使用する刀という武器種は、攻撃力とクリティカル威力に補正が入る代わりに、耐久値が他の武器種より低くなっている。

 きちんと扱わないとすぐに壊れてしまうのだ。


「アハハッ!」


 ――遺跡群の中でも一際巨大な祭壇の頂上で、刀と刀が交差する。


「もっともっと! もっと攻めてきて!」

「っ、ほんと厄介!」

「ありがとう! これはお礼よ!」


 一人はもちろん白雪御前。その手で振るわれるのはアンチマジックウェポンである『霊刀:銀世界』。


 もう一人の名はルクス・ルクス・ルクス。かつてロスト・ヘブンで一位の座に輝いていた拷問姫。コミュニケーションが通じない戦闘狂である。

 彼女が振るうのはどこにでもある刀だが、その技量は達人すら凌駕するレベル。


「アハハハハッ!」


 現に、ルクス・ルクス・ルクスのレベルは20を超えたばかりだと言うのに、押されているのは白雪御前の方だ。

 白雪御前の攻撃はすれすれで躱され、隙とも呼べない僅かな合間に差し込まれる牽制によって、思うように身動きが取れないでいる。


「もっと死合いましょう! もっともっと! わたしとアナタで!」

「嫌に決まってるでしょ!」

「ほんと!? じゃあ戦いましょ!」


 キャッチボールが通用しない会話は不毛だ。

 ルクス・ルクス・ルクスは自分の意思を投げつけるだけで相手の言葉を聞こうとしない。いいや、彼女には他人の言葉を聞くなんて常識的な機能、備わっていないのだ。


「(こんなやつさっさと斃してしまいたいけど、実力だけはあるしなぁ……どうしよっか)」


 ゲーム的なレベルで言えば白雪御前の方に軍配が上がるものの、彼女は器用なだけで戦いが上手いわけではない。

 呼吸をするように武器を使い熟す人種ではないのだ。


 目の前の怪物は間違いなく天才の部類。ロザリーすら上回る才能の持ち主。


「ほらほら、勿体ぶってないで早く!」


 やけにキラキラした瞳で迫ってくる怪物の攻撃をいなしながら、白雪御前はどうするべきか考える。

 逃げるのは論外だ。執拗に追ってくるだろう。


 ではやはり戦うしか選択肢はない。

 そう結論を出した白雪御前は納刀して姿勢を整えた。


「――《抜刀》ッ!」


 選択したのは《スラッシュ》の刀版だが、刀ならではの特徴が一つある。それは、威力が器用に依存していること。

 それを、これまでクリティカル攻撃ばかりしてきた白雪御前が使った場合、並大抵のアーツでは比べものにならない補正となる。

 数字に換算して約五〇〇%。それだけの威力で以て放たれた攻撃を、ルクス・ルクス・ルクスは刀で防いだ。


 さすがに耐えきれないと判断したのだろう。刀を傾け、側面を滑らせるようにしている。

 それでもピシッ! と音は鳴り、よくみれば罅が入ってる。武器の性能差によるものだ。


 そもそも刀は流通量が少ない。普通なら売れないようなボロでも、刀なら買い手が付くぐらい稀少なのだ。

 ルクス・ルクス・ルクスが持っていたのはそんなボロの刀だった。


「…………飽きた。刀壊れたしいいや」

「……へっ?」

「だから、飽きたって。新しい刀入手してくるから待っててね」


 罅が入った刀を投げ捨てたルクス・ルクス・ルクスは、電池が切れたように足を止めると、溜息をついてそれを放り投げた。

 実際、電池が切れたようなものだ。武器を持っていない時の彼女は()()常識的である。


「はあ~~~~~~」


 UIを操作してイベントフィールドから退場したのを確認して、白雪御前はその場に座り込んだ。


「第二陣として参入してるとか聞いてないって!」


 そして、彼女は思いきり叫んだ。

 誰でもいいから首輪を付けて檻に閉じ込めておいて欲しい……。そんな願いもあって、彼女は天を仰いだ。


 現在の彼女のランキング位置は圏外。不運に不運が続いてスコアが稼げていないため、なんとか挽回したいところである。

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