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セカンドワールド!  作者: こ~りん
四章:変幻自在のベトゥリューガー
67/115

67.廃墟を舞う その一

 日曜日のお昼になりました。

 イベントフィールドにはどのポータルからでも転移できるようなので、今現在滞在しているこの街、アッシュ丘陵を挟んで王都の北にある城塞都市リベリスから向かいます。


 転移先一覧に、イベントフィールドが追加されているのでそれを選択します。すると、鬼側か隠れる側かを選択する画面が表示されました。

 私はとうぜん鬼を選びます。


 選択を終えると改めて転移先一覧が表示されたので、私はイベントフィールドに転移します。転移した先は廃墟のような街の中心部であり、崩れかけの塔の頂上でした。


 周囲を見渡すと床に円形のラインが敷かれているのが分かります。

 どうやらこの線を越えると、一時間限定でイベントフィールド内を動き回れるようです。つまり待機所と言うことです。

 鬼がスタートすると同時に他の人も活動が可能になるようなので、人数制限のある周回系イベントなのでしょう。


 さて早速外に……と思ったのですが、どうやら一〇〇人揃っていないようなので待機となりました。マッチング中ですね。


「……そう言えば、鬼は一人だけなのかな」


 街は巨大な壁に囲われているので、イベントフィールドの範囲は限られています。一つのフィールドにつき鬼は一人なのか、それとも複数人いるのか分かりません。

 私一人で一〇〇人を相手にするのだとしたら……まず探しきれるかどうかが心配ですね。


《――マッチング完了》

《――ラインを踏み越えて開始してください》

《――1/3》


 おや、マッチングが終わったようです。そして鬼は三人配置されるようですね。

 ラインを踏み越えると視界の端に残り時間が表示されるようになりました。時間を無駄には出来ないので早速街中へ繰り出しましょうか。


「ベレス、索敵」

「mya!」


 まずは安定のベレス索敵からです。【影同化】は本当に便利なので索敵はベレスに任せっぱなしです。

 そのあいだ私は、【呪骸纏帯】の武器スキルである【自在帯】を利用して街中を高速移動します。


「――うおっ!?」

「いきなりですが経験値になってください」

「やっべ防げ!」


 建物を超えて少し細い通りに降りると二人組の異人に遭遇しました。片方はタンクでもう片方はアタッカーですか。

 とりあえず【自在帯】でタンクを妨害してアタッカーを……おや? 【自在帯】でHPを三割ほど削れましたね。と言うか他の人のHPが見えるんですねここ。


 じゃあ……殺しましょうか。


「はあ!? 攻撃力ヤバ過ぎんだろ!」


 はい、というわけで一〇秒かからずにキルできました。限定バフ強すぎでは?


 もちろん攻撃を受ければ私のHPが削れるので見敵必殺で大丈夫なのですが――っと、もう一人発見です。

 こちらに気付かず移動しているようなので、このまま奇襲してしまいましょう。


 【奇襲戦士】、【ハルバードⅡ】、【襲撃Ⅱ】、【斬撃Ⅱ】の四つのスキルが乗った一撃は、バフの効果もあって即死に至りました。

 頭部を粉砕したので間違いなく即死です。


「――こっちにいたぞ!」

「やれやれ! 倒せば経験値ゲットだぜ?!」

「ロザリー覚悟ー!」


 どうやら私が鬼として参加していることは周知されているようで、やる気に溢れたパーティーが物怖じせずに向かってきました。


「倒せばオレも有名人に!」

「トップ勢覚悟ー」

「――じゃあまずは呪いをガードしてくださいね」


 しかし残念ながら、私にはカースドウェポンと【呪詛支配】があるので呪い対策が無いと、正面から向かってきても一網打尽になるだけなんですよ。

 私が装備している『呪装:骸の祈り』には【呪怨強化】があるので尚更です。


「グワーッ!」

「サヨナラー!」

「いや対策してないのかよ!?」

「貴方はちゃんと対策してたんですね……」


 一人だけ聖水を服用して耐えたアタッカーは、即席らしいパーティーメンバーにツッコミながら向かってきます。可哀想に。

 まあ殺るんですけどね。


 ですが、呪い対策を講じていただけあって、まずまずの実力があります。真化したカースドウェポンの一撃を防げるとは思いませんでした。


「っし、この盾なら耐えれる……! 食らえ、《ブレイズラッシュ》!」

「……四、いえ六連撃ですか」


 早いとは言い難いですが、炎を纏った斬撃は少し面倒ですね。打ち合ってもいいのですが、あまり距離が近いとダメージを受けそうです。

 ならば……


「くそっ詰めれねぇ……」

「残念でしたね!」


 数歩後退して全部弾きました。この六連撃らしい《ブレイズラッシュ》は、放ち終えた際に僅かな硬直があったので、すかさず首を斬り裂いて私の勝利です。


 それにしても、初めて見るアーツでした。カスタムしてあったのでしょう。ちょっと格好良かったので私もあんなアーツを作りたいですね。


「さてと……」


 怒濤の勢いで九人倒したわけですが、まだ九一人残っているんですよね。他の鬼の人がどれだけ倒しているか分かりませんが、相手にするべき異人はまだまだいると言うことです。


 と言うか、かくれんぼなのになぜ向かってきたのでしょう……? 大人しく隠れていれば良かったと思うのですが。


「ベレスの索敵はまだ終わってないから、そっちの方に向かうべきかな」


 この廃墟の街、イベントフィールドだけあって壁から反対側の壁まで視界は通るのですが、中々に距離があるんですよね。

 そして、イベント名にラビリンスと書かれているとおり、迷路に近い構造となっています。屋根を伝っての移動には何の問題もありませんが、地上だと行き止まりが幾つもあるので注意が必要です。


 私自身は中心部から北西に移動し、ベレスの索敵は北東方向で行っています。ベレスにも単独で戦える地力はありますから、可能な限り範囲を広げた形です。


 残り時間はまだまだあります。全滅目指して頑張りましょう。

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