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セカンドワールド!  作者: こ~りん
二章:地平線の騎士団
27/115

27.あ、野生のチンピラが現れた!

 □始まりの街・ロザリー


 ログインしました。一日と一二時間ぶりぐらいですね。

 面倒なパーティーへの出席と大学の講義で時間が潰れたので、ネームドの報酬はまだ確認していません。

 ……ああ、防具も幾つか壊れていますね。耐久値も大幅に減っていますし買い換えないと。


 それと、ベレスはすでに復活しているようです。絆アクセサリーから出していつも通り影と同化させます。


====================

【呪骸纏帯 ヴルヘイム】

 装備可能箇所:全て(複数箇所同時装備は不可)

 ・ただ一つの目的のために生み出され、ただ一つの障害すら乗り越えられなかった骸の怨念が形を為したもの。帯となった骸はただ一人の所有者に使われる時を待ち続ける。

 装備スキル:【怨念解放】【自在帯】

====================


 さて、報酬として手に入れた特典装備の性能はこんな感じです。

 恐らく第二形態の時の【ヴルヘイム】が手足に纏っていた黒布がベースとなっているのでしょう。

 装備スキルはアクティブとパッシブの二つ。アクティブの方は【呪詛支配】があることを前提としていますが、パッシブは悪用できそうな内容のスキルです。


 【怨念解放】の効果は周囲一帯への無差別な呪い。私の場合は【呪詛支配】を併用しての自バフとリジェネ目的でしか使わないでしょう。

 【自在帯】の効果は形状の変化。高速で自由自在に伸び縮みするだけですが、移動にも妨害にも使えるスキルです。


 装備部位は……足にしましょうか。腕は咄嗟の防御に使うことがあるので金属製にしておきたいんですよね。上半身と下半身は【自在帯】が使いにくそうですし、腰はインベントリのショートカットにしているポーチがあるので外せません。

 やはり足ですね。素足の上におどろおどろしい布を巻いた感じですが、足裏が痛む様子も無いのでこれで決定でしょう。


 となると、次は壊れた防具を買わないといけませんね。

 しかし、今の私の所持金は雀の涙ほどしかなく……。冒険者組合でクエストを受けますか。


「……なんかもう懐かしく感じるな」


 無人島の調査と【ヴルヘイム】との激闘に、リアルでの立食パーティーが重なって、まるで久しぶりに訪れたような感覚になりました。


 中に入ってクエストの一覧に目を通します。

 ランクアップしているので銀行と倉庫は解放していますが、受けられるクエストは最初の頃と同じか少し増えた程度です。

 東の森のゴブリン討伐や暗殺桃の採取、脱兎素材の納品に雑用エトセトラ……今となってはしょぼいものばかりです。


 そうやってしばらく眺めていると、周囲の視線が私に集まり始めましたね。

 視線の殆どは異人のものですが、噂でも聞いたのか住人の視線も中にはあります。その視線は私の足に向けられ、その次は顔へ向けられます。

 特典装備の持ち主が珍しいのでしょう。しかも異人ですから、実力も住人の上級冒険者には及ばないと思われているはずです。


 それに、私が眺めているのは初心者でも受けられるクエストの載った依頼板。

 客観視すれば実力と行動が合っていないように感じるでしょう。実際は私のランクが足りてないだけなのですが。


「――おい、そこの」


 少しして、一人の男性が私に話しかけてきました。

 見た感じだとそれなりに経験のある住人……と言ったところでしょう。


「なんですか?」

「その足に着けているのは特典装備か?」

「……ええ」


 人にものを尋ねるような態度ではありませんが、私に事を荒立てる気は無いので事実を答えます。


「……はっ、レベルも高くない女がMVPになるとか、異人ってのは大したことないんだな。それともなんだ? 体を使って優秀な男にでもサポートさせ――たげぇぶぅぅ!?」


 訂正、腹が立ったのでぶっ飛ばします。

 顎が砕けたかもしれませんが、自業自得ということで。


「…………これを」

「……はい、受理しました」


 回し蹴りだけで数メートルは吹っ飛んだ威力に引いたのか、それとも呆れているのか少し引き攣った笑顔で受付嬢さんがクエストを受理してくれました。

 特典装備のステータス補正ってかなり高いんですよね……一撃で大男をノックダウンさせられるぐらいには。


「アレは正当防衛として処理しておきますが、組合内であまり暴力は使わないようお願いします」

「組合外でならいいんですね?」

「…………せめて人目に付かない場所にしてください」


 同じ女性として思うところがあったらしく、今回の過剰防衛は正当防衛として処理してくれるそうです。


 さて、依頼板から剥がして受けたクエストはロックゴーレムの討伐。ロックゴーレムは始まりの街から鉱山の街の間に出現する魔物で、岩で出来た巨大な体が特徴です。

 防御力が高いため、打撃属性の武器での討伐が推奨されていますが、コアの破壊さえ出来れば武器種は何でもいいらしいんですよね。


 この前のレイドで活躍していた殴り魔の人――グレイテスト・レガシーと言うそうです――のように拳で粉砕する人もいるそうです。

 つまり、十分な攻撃力さえあれば倒せる魔物と言うことです。

 今の私のレベルと侵呪のハルバードがあれば、おそらく数分で倒せると思います。


 組合を出て北の門へ向かいます。

 途中で露天によって食べ物とポーションを幾つか買ったら、その足でフィールドへ出ます。


 ロックゴーレムですが、出現する場所は一キロ以上先です。道中は西と同じ狼系の魔物やリザード系の魔物が出現します。

 それらの魔物の討伐クエストも同時に受けてきたので、見掛けた魔物は全部倒しながら進みます。

 いやあ、雑に振るった攻撃で倒せるのって無双ゲーみたいで楽しいですね。無双ゲーやったことありませんけど。


「っと、いたね。時間的にお昼だし、倒したら少し休憩しよっか」


 数十メートル先に佇む二体のロックゴーレムを視認した私は、それが動き始める前に速攻で攻撃を仕掛けました。

 私に近い位置にいる個体の足をまず潰し、【呪骸纏帯】で雁字搦めにします。

 そして、倒れ始めたらその勢いに私自身のステータスと【自在帯】のスキルを併せて振り回し、もう一体のロックゴーレムに激突させます。


「ふっ! はあっ!」


 同じ強度の物体が勢いを付けて衝突すれば、当然罅が入るわけで……


「――ロックゴーレムはコア、もしくは大部分を破壊することで倒せる。事前情報って大事だよね」


 生じた罅にハルバードの斧頭を叩き込むことで容赦なく破壊すると、二体のロックゴーレムは何もしないうちに倒れてポリゴンとなりました。

 一体だけなら時間が掛かったかもしれませんが、悪用できるスキル持った状態で複数体と会敵したなら利用しますよね。


 【呪骸纏帯】の装備スキル【自在帯】は、その名の通り自由自在に帯を操るスキルです。そして、このスキルは帯そのものを操るので、帯で掴んだり絡めたりした物体の重量を無視できる利点があります。

 起点となる私自身は動かせませんが、力点は文字通り自由自在です。ほんと、特典装備に相応しい性能ですよね。


 ドロップ品は破損した岩巨人のコアですか……売却ですね。

 こういったドロップ品は、生産職の方々が買い取ったりしているそうですが、私には伝手がありませんので冒険者組合に売却します。

 異人同士の取引だと相場より高く買い取ってくれるそうですが……


「まあいいか。質より量とも言うし、もっと倒して稼ぐぞー」

「mya!」


 それからベレスと一緒に連携して倒したり、【自在帯】の活用法を模索してみたり、単純にぶった斬ってみたりと、単調な作業にならないよう色々な方法でロックゴーレムを討伐しました。

 このまま鉱山の街に到達したら、今度は採掘でもしようと思います。

 その前に防具を買いますが。

作中ではシステム上表示されない【呪骸纏帯】のステータス補正

・筋力(STR)に+五〇%

・敏捷(AGI)に+五〇%

・器用(DEX)及び命中率(TEC)に+三〇〇


これが元々のロザリーのステータスに加わると、

筋力:五七〇

敏捷:六一五

器用:五六〇

命中率:一一七二

となります。

一人前として扱われるレベル50の住人のステータスと拮抗するほど。


それと【自在帯】ですが、なぜパッシブなのかと言うと常に発動しているからです。MP消費も無いうえに常に自由自在に操れます。特典装備じゃなかったらMPの最大値が削れてもおかしくない性能です。

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