第98話 パーティーはユーリ不在。え?領主様との会談じゃないの!異議あり!弁護士を呼んで下さい!!
『奴隷解放と任務完了の、次の日の昼パーティー中』
「うまうま、まさか、こぉんな、ご馳走が食べられるなんて思いませんでしたねぇ! ねぇ、フェンリ!」
「はい! エクリアさん。じゅるじゅる! よだれが湧き出る、濃厚な肉汁、歯を近づけるだけで、切れる柔らかな肉!! これは絶品ですよ! イフリータさん!」
「ふふん、モンスターを1匹も町に近づけてないんだから、当然ね。お酒も最高だわ! ぐびぐび! ぶはぁ! あら? ヴィルディースどうしたのキョロキョロして」
「あの、皆様の主人様。ユーリ様は、パーティーに参加しないのだろうか? 奴隷だった我らを自由にしてもらったお礼を、改めてしたかったのだが」
「ご主人様? さっきまで、扉の外に居たみたいだけど、今は、離れてるわね」
「あぁ、それはユーリ様の温かな魔力の香りで、わかっていた。だから入ってくると思い、待っていたのだが。部屋には入らず、どこかに行かれたみたいなのでな」
「ふぅむ、ユーリですかぁ。町に新しい女の子でも、探しに行ったんじゃないですか」
「ありえるわね! 私だけで、何が不満なのかしら!」
「そりゃイフリータさん……」
「なに! 私の体を見つめてんのよ! エクリア!」
「はは、冗談ですよぉ」
「ふむ、そうか。やはり主人様にする、お礼は。そういった者が宜しいのか」
「当たり前ですよ! ヴィルディース! ユーリですからね!」
「タヌヌも、ご主人様が喜んでくれるなら、協力しますよ! ヴィルディースさん!」
「ありがとう、タヌヌ」
コツコツ。ボヨヨン!!
「そうねぇ。旦那様に感謝してるなら、みんなに呼びかけて、望む子を旦那様に捧げたら?」
「ふむ、なるほど。我らを解放してくださった、主人様に捧げる者ならば、望む者も多いだろう」
「ふふ、ヴィルディース。あなたも美しいから候補に入れた方がいいわよ」
「な! わたしは、そんな役は似合わない」
「あら、そんな事ないわよ。銀髪でキラキラした髪に、とがった耳、雪の様な白い肌、わたしが食べたい程、力強いブルーの瞳」
「あ、あのクイーン殿。ち、ちかいのだが」
ダァン!! イフリータがテーブルを叩き立ち上がった。
「って! 普通に会話に参加してるけど、この女なによ!!」
「私はクイーン。旦那様、ユーリ様の奴隷よ。イフリータ」
「ご主人様の、どれいぃ? そんな話聞いてないわよ! ね! エクリア!」
「いえ、私は聞いてますよ」
「は?」
「昨日、イフリータさんが酔い潰れた後に、ユーリから聞きましたから。まぁ、私の立場からして、奴隷とかあり得ないので、腹パンしておきましたがね。タヌヌも聞いてますよね」
「はい! タヌヌは、ふかふかで、ぐっすりでした」
「ふかふか? 意味がわからないわ。通訳エクリア!」
「タヌヌは、あの巨大なカボチャ胸を枕にして寝てましたから。その事かと」
「な! カボチャまくら……」ボヨヨン!「む……」チラッ。チェリーまくら!「やっぱり胸なわけ!」
「あの胸ですからねぇ。タヌヌも陥落しましたよ。フェンリも、すぐに懐いてましたよね」
「そうですねぇ。クイーンさんからは、何やらユーリさんの魔力の香りがするんですよ? 不思議ですよねぇ」
「当然だが、僕も聞いている。君が寝ていただけだよ。イフリータ」
「ぐ、フェンリにエクスまで……ふんだ、ぐびぐび、ぷはぁ」
コツコツコツコツ、とぼとぼとぼ。
はぁ、のんきな連中だったな。女狼族の皆に感謝されたが。
奴隷解放は、できてないからなぁ。女郎族のリーダー、ヴィルディースは、凛々《りり》しい瞳に、涙まで溜めて感謝してたし。
はぁ、領主様、誘拐したのに、どうやって奴隷解放の許可まで貰えばいいんだ。はぁ、吐きそうだ。
パーティーを満喫している奴らを、のぞいた時の事を思い出しながら歩き、たどり着いたのは。
2人の警備が立つ、巨大な木の扉だった。
コンコン!
「ユーリ殿が参られまいた」
「中に入れよ」「はっ!」
ギィィ、ズガガガガガ、ガゴォン……。
歯が痛くなる様な、甲高い音を立てて、扉が開き中に入ると。
重力が、100倍になった様な、重苦しい感覚に襲われた。
俺だけ呼び出された部屋には、貴族らしき服装の奴らが集まり、俺を見下ろしていた。
そこはまるで、裁判をする部屋の様だった。
あ、あれ、領主様と話して、なんとしても、和解せねばと思ったのに、もしかして……いきなり裁判ですか!!!!
異議あり!! 弁護士を呼んでください!! それまで黙秘しますから!!…………。
当然だが、俺の心の声は、誰にも聴こる事はなかった。
ギィィバタン!!
ダァンダァン!!
「これより、領主様、誘拐、並びに奴隷解放の首謀者ユーリ・ディザアの裁判を行う」
裁判って、領主様、見当たらないんだけど。これじゃあ和解できないぞ……どうしよぉ…………
来週は、月曜日予定です。
今回文字数少ないです、すみません。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。




