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第91話 力のコントロールは難しい。誤解は貴族を泣かせます。

 ポーションの素材ブルーフラワーを手に入れる為、洞窟に入ったが中にはモンスターのホネが無数に転がっていた。


「確かに、モンスターの骨は予定とは違うけどさ、死んでるんだから大丈夫だよ」


「はは、そうですね。エルザお嬢様……」


 貴族連中は、エルザの問いに戸惑ってるな。当然だよな、戦うとは思ってなかっただろうから。


「まぁ、怖いならリディアがいた場所まで戻ってもいいよ。あっちも戦ってるみたいだけど、安全だと思うから」


 エルザの言う通り、洞窟入り口からも、微かに爆発音が聞こえてる。


 そこまで激しい音じゃ無いから、少数のモンスターと交戦しているようだ。



「どうするんだ、お前ら、エルザお嬢様は行く気だぞ。当然俺は残る」


 やはり男貴族リーダーゼクスは、残る様だ。


 他の連中もゼクスの態度を見て、意志は決まったようだな。


 まぁ、一本道だったとはいえ、この暗い洞窟を明かり魔法1つで帰るのは怖いから、残るしかなさそうだがな。


「おい、ユーリ。お前は、最後尾をやれ」


 お、最後尾か。まぁずっと最後尾だがな……ん? あれ、生意気なゼクスが俺の名前を覚えてた。


「強いんだろ。なら問題はないよな」


 ちゃんと戦った事、殆ど無いから不安だが、本気の目で言われたら仕方ないな。


「任せて下さいよ! ゼクス様」


「ふっ、期待はしないさ。俺が先頭だ」


「ゼクス、わたしはどこだ!」


「エルザお嬢様は、真ん中で、明かり魔法をお願いします」


「まかせとけ! って! なんでだよ! わたしもたたかうぞ!」


「分かっています。前後どちらかが、苦戦した時は、そちらを援護して下さい」


「おぉ、遊撃担当だな任せとけ」


「他の連中は、援護と支援魔法だ。狙われたら耐えろ。間に合えば助けてやる」



「たのむぜ……ゼクス」


「ひっく、家の為に、ぼくはやるんだ。みていて母さん」


 予想はしていたが、残るとはいえ、貴族連中は戦えそうにないな。



 はぁ、それにしても、洞窟のカビの臭いだと思ってたが、ウルフの骨を見て分かった。この臭いは、モンスターの腐敗臭だ。


 真夏のゴミ捨て場みたいに、生暖かい風に乗って、モンスターの血肉の腐った匂いが、洞窟の奥から吹き抜けてくる。


 戦うにしても、臭いをどうにかしないと、倒れそうだ。



「じゃあ先ずは、戦いの邪魔になる、匂いを消さないとな!」


 お! そんな魔法もあるのか!


「頼みます。エルザお嬢様」


「まかせろ! 我らを包む邪悪なる匂いを消し去り、草原の風よ吹き荒れろアロマエアー」


 おぉ、風が吹いたと思ったら、花の香りで満たされたぞ。貴族も少し元気になったな。


「助かりました。エルザお嬢様」


「はぁはぁ、香りが違うだけでも、落ち着くものですね。ありがとうございます。エルザお嬢様」



「気にしないで、私も臭いが辛かったから。自分の為にしたのよ」



 これで貴族も冷静になったし、少しは役に立つかな。それにしても、この香りは素晴らしいな。


 まるで花畑で、ねっころがってるみたいな、自然の香りで洞窟が満たされてる。


 ズボボボボボ!!!


【なんだこの音!】


「みんな! 足元を見て!」


「エルザお嬢様? これは!! なんだ、この花は……ありえん。お前達何かしたか」


 ゼクスが他の貴族や俺を見て、唖然とした表情で問いかけてきたが、全員知らないと答えていた。



 だが、俺は嘘をついていた。何故ならこの花畑は俺のイメージした花畑だったからだ。


 どうやら願望スキルが発動した様だ。花畑を想像しただけなんだが。まさかこれほどとはな……。



 ゼクスが花をつんだ。ぶちっ!


「本物の花で間違いねぇ。誰も知らないなら、この花は……モンスターの魔法か」


「まさかモンスターに、先手を打たれるなんて、リディアが聞いたら呆れるわね」




「そんな、エルザお嬢様や、ゼクスでも、築かないなんて、そんなやばいモンスターが、町のそばに、いたのか」


「勇者が死んだんだし、山からモンスターが降りてきても、おかしくないよ」


「そうだよね。近くの町はゴブリンの大群に襲われたらしいし」


「そんなぁ。うっうっ、かぁさまぁ……」



 クソ! 貴族連中がせっかく落ち着いたのに、花畑見て怯え出したじゃねぇか!


 違うんだよ皆! この花畑は、俺の願望スキルが原因だから、モンスターは関係ないんだ!……はぁ説明もできんな。


 まぁ地面は骨だらけだし、何かいるのは間違いないから、油断するのも良くないんだが。


 けど何がいるんだ。洞窟で、これだけ騒いでるのに、物音一つしないんだよな。


 明かり魔法だけだと、周囲3メートルしか見えないから、先の方は、暗くて見えないからなぁ。


 お? エルザの明かり魔法ライティルが輝いてる。


 ピカァァァ!!!


「こんどはなに! 私のライティルが! 巨大化してく!」


「エルザお嬢様これは」


「私にもわからないよ、ゼクス。突然魔法が操作できなくなって、勝手に動き出したんだ!」


「そんな事が……これもモンスターのしわざか」




 いや、多分これも俺のせいです。


 はぁ。俺の力がどんどん発動してるなぁ。脅かしてごめんよ。みんな……。


 だから泣くな! 貴族ども!


「うっうぅ、もう帰りたいよぉ」


「うわぁぁぁん。死にたくないよぉ、かあさまぁ!」



「くっなさけねぇ。お嬢様の前で」


「仕方ないよゼクス。キミと違って、他の貴族は町から殆ど出ないんだから」


「そうですね。今は状況を整理しましょう」


「そうですよ。ゼクス様」


「ん、ホークアイ」


「エルザお嬢様の明かり魔法が暴走した理由は、わかりませんが。おかげで洞窟が明るくなりました。見て下さい」


「ん? これは!」


「キレイ! まるで花畑ね。目的のブルーフラワーも見つけた」


 明るく照らし出された地面には、青い花が無数に咲いていた。これがブルーフラワーだろう。


 だが、それよりも気になるのは、部屋の1番奥には、人を丸呑みできるほど、巨大で真っ赤な花のツボミがあった事だ。

次は月曜日、更新予定です。


まだまだ多忙な日々が続いてますので、3月も週1予定です。


ペースが遅いですが、よければまた読みにきて下さい。


最後まで読んでくれて、ありがとうございました。

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