第90話 下民は見た!貴族だって辛い社会です。接待、忖度、ごますりです。僕のあだ名は下民です下民です下民です……
貴族達の準備ができるまで、リディアさんに連れられて、任務に同行するエルザお嬢様、警護部隊の人達に会っていた。
やはり、お嬢様の警護部隊だけあって、女性ばかりではないか! まさに姫騎士の集落に迷い込んだ様だ!
「みんな紹介しよう。彼が任務に同行してくれる、冒険者の1人だ」
は! 見とれてる場合じゃないな。挨拶をしなくては。
「ユーリ・ディザアと言います。新人冒険者ですが、よろしくお願いします」
「あ! あの子だよあの子!」
お? オレンジ髪のツインテールの子が、俺を指さして騒いでるぞ?
「リディア隊長を木の棒1つで裸にしちゃって、足腰立てなくしたんだよ」
「えぇ、あのこがぁ。まだ子供じゃないかぁ」
「隊長は、油断するクセがあるけど、だからって子供に裸にされるかなぁ?」
「ほんとだもん! 訓練サボって覗きに行ったんだから間違いないよ!」
リディア隊長との戦いが、変な噂になってると思ったら、覗いてた奴がいたのか。
まぁ訓練サボってたから、リディア様がお怒りの様だがな。
「きさま! また訓練を抜け出していたのか!」
ゴン!「きゃぶ! 頭打たないでくださいよ! リディア隊長。素肌綺麗でしたよ」
「ほう。まだ、ぶたれたいようだな」
「なんでですかぁ!」
あの子はバカなようだ。
「へぇ、今の話からして、大体は本当みたいだね」
「信じられませんね。こんな子供が、我らの隊長を裸にしてしまうとは」
「おねぇさん達も裸にしてみる? ぼうや」
「いやいや、子供相手に何言ってるんだよ」
「えぇ、リディア隊長より、わたし若いわよ」
「あんたも打たれるわよ」
「ギャブ! また打たれましたぁ。あぁ! 打たれて思い出しました。私も聞きたい事あるですよ! リディア隊長を裸にした技に、名前とかあるんですか?」
うを! 気がついたら、胸に囲まれてる! 天国だ!
「ユーリさんは、みんなと仲良くできそうですね。リディアさん」
「わたしの裸で盛り上がられても困るがな! ホークアイ!」
「はは、ですねぇ」
この後、貴族の準備が終わるまで、美少女たちに質問攻めにされた。
貴族達の準備が終わり、ポーションの素材ブルーフラワーを採取に向かった。
周囲には、エルザお嬢様の警護部隊が馬車、馬に乗り並走しているが。貴族連中は、まさかの歩きだ。
理由は簡単、領主様の娘、エルザお嬢様が歩いているからだ。
「さぁ! 目的地まで、あと少しだよ! 町の人達のために、やるぞみんな!」
「がはぁ、はい! エルザお嬢様! はぁはぁ。町の人達のため頑張ります。ゲホゲホ」
「はぁはぁ、がんばりましょう。ゲガァハァ……」
貴族の社会でも、ごますり、忖度は必要なのだろう。俺も、ごますりとかしたなぁ。わかるぞ、その辛さ!!
がんばれよ。男貴族達よ。お、なんだ貴族の1人が近づいてきたぞ?
「おい、下民は1番後ろを歩けよ」
「はい! 貴族様」俺のあだ名は、下民になったようだ。
くっエルザお嬢様との関係を、応援してやったのに、これか! まぁそもそも声に出して、応援はしてないし、俺も貴族様の名前覚えてないがな。
「最低ランク冒険者でも、モンスターが現れて、悲鳴で囮くらいにはなるからな。くく」
クズ貴族が! 魔王の娘と婚約して、魔王様に娘さんを下さいって言って、ケルベロスのエサにでも、されちまえ!!!
「はは、わかっておりますよ。貴族様」
「さすが下民だ、話が早いじゃないか」
当然だが、エルザお嬢様には、聞こえないように言ってくる。
めんどくさいだけだろ! お嬢様のご機嫌取りでもしてろ!
そして俺をこんな任務に連れてきた、ホークアイさんのあだ名は、なぜだか。
「おい、チキン前方の警戒しろよ」
「はい? 前方だけですか?」
「話聞いてなかったのか! 後ろは下民が担当だ。チキン、てめぇは、後ろからお嬢様の周りだけ見てりゃいいんだよ」
チキンこと、ホークアイさんは、俺をチラッと不安そうに見てきたので、笑顔でうなずいた。
「はい! わかっております。ゼクス様」
「それでいいんだよ」
満足そうに、お嬢様の方に向かったな、忙しい奴だな。
ただ他の男貴族と違って鍛えてるのか、疲れてはないようだ。
それにしてもホークアイさんは、なぜにチキンと呼ばれているのか。
見た目的には、気品あふれる、金髪秘書って感じなんだが。
それに噂で聞いた英雄の1人が確か、チキン英雄だったはずだ、ホークアイさんの事だろうか?
変な英雄名だし、みんなの前では、聞きにくいな。後で聞くとするか。
はぁ、それと、覚えたくなかったが、貴族の男連中の中でリーダーぽいのは、貴族野郎ゼクスと言うようだ。
1番偉そうにしてるから、貴族でも、それなりの身分なんだろうな『親が』ここ重要!
おや、ホークアイさんが俺に熱い視線を送ってるぞ! まさか!
「ごめんなさい。ユーリさん」
なんだ、あやまられた? ゼクスの野郎に、モンスターの囮に選ばれた事かな?
「大丈夫だよ。ホークアイさん、周りには、エルザお嬢様の警護部隊が展開してるからモンスターなんて、そんなに襲ってこないから」
「あ、それも何ですが。貴族の態度とかで、迷惑をかけてしまっているので、私も一応は貴族なので……」
「それも心配ないよ。同じ身分でも、人によって天使にも悪魔にもなるのは、見た事あるからね」
「同じ貴族でも、天使にも悪魔にもですか。ユーリさんは、年齢よりも、大人びていますね」
「まぁ色々と経験したから……」
実際2度目の13歳だし、天使のはずの奴には殺されたからな。
「ユーリさんの経験は気になりますが、目的地に到着したみたいですね」
地面が、でべその様に盛り上がった場所で、みんなの動きが止まった。
「闇夜に飲み込まれる世界を明るく照らせ、ライティル!」
おぉ、みんなで明かり魔法を使ったのか、これなら暗い洞窟でも、モンスターの不意打ちの心配はないな。
「エルザお嬢様、邪魔なモンスターは我らが倒しますので、目的地にお進みください」
「わかってるわ。リディア! みんな任せたよ! ブルーフラワー回収部隊は集まって」
「あれ? ホークアイさん」
「なに? ユーリくん」
「エルザお嬢様が手上げて叫んでるんだけど、警護部隊は別行動なの?」
「目的の場所は目の前なんだけど、洞窟が狭いんですよ」
「あの盛り上がった穴ですよね」
「そうなんです。だから全員で洞窟に入ってしまうと、入り口からモンスターが入ってきた時に、仲間が邪魔で対応できないのです」
「そうか。だから洞窟に入らないで、入り口からモンスターが入らないようにするんですね」
「はい、そうです。幸いにも、洞窟は狭いですから、洞窟内部にモンスターは少ないとの報告もあります」
「そうですか。説明ありがとうございます。ホークアイさん」
「いえ、聞いた話をしただけですから」
エルザお嬢様を先頭に、洞窟内部に入ったが、足場が悪いだけで、狭い通路の様だった。
10分程歩くと、広い空間に辿り着いた。
「よし! 到着だぞ! 仲間達よ!」
「がはぁがはぁ、あとは花を集めて、はぁはぁ、おわりですね。お嬢様」
「ひっ!」
「どうしたのですか? おびえて?」
「チッ、話と違うじゃねぇか。情報屋のやろう」
なんか貴族が騒いでるな。最後尾だから見えずらいな。
「ユーリさん、あれですよ」
「あれ? な! ほね」
灯りが照らされた広い空間には、モンスターのホネが無数に転がっていた。
あれはウルフの頭蓋骨みたいだな。
はぁ、簡単な任務だと思ったんだが、変なモンスターでも、すみついてるみたいだな。
次は、火曜日予定です。
評価ありがとうございます。
最近は低評価連発だったので『ハンギャァァァ』と思いながら書いてましたが。
久しぶりの評価で『むふぅーん』って感じになりやる気が湧いております。
まぁやる気が湧いたところで、多忙は変わらないので、しばらくは、週1になります。申し訳ありません。
あらすじは、なるべく書きますので、今後ともよろしくお願いします。
読んでくれて、ありがとうございました。




