第85話 最初の町イスティリアからの旅立ち。
誰かと思えば、ハムース族のロッティさんか、小さくて見えなかった。だから誰もいない机に、料理が並べてあったのか。
ロッティは、クレアに机の上に乗せてもらった。
「ほらよ、普段はダメだが、これじゃ話せないからな、机の上で話しな」
「ありがとうございます、クレアさん。コホン。さっきの続きだけど、お困りなら私が力を貸すよ、助けてもらったお礼もしたいからね」
「私の馬車だけだと、重量がきつかったので助かります。えと、ハムース族の方」
「私はロッティよろしくね」
「はい、こちらこそ、よろしくお願いします。私はホークアイといいます」
確かロッティさんは、一攫千金を狙って、有金で資材を買いあさって、この町に来たは、いいものの。
俺の活躍で、ほぼ無傷の町と、モンスターの襲撃で半壊した町を間違えて、資材が高値で売れないと落ち込んでいたはずだが、やけに元気だな?
気になるし確認しとくか。
「馬車を出してくれるのはいいんだけど。ロッティさんは、資材の転売に失敗して、石化してたはずだが、やたらと元気だな」
「よくぞ効いてくれました! ユーリくん!」
ご飯食べて風船みたいにパンパンにふくらんだ、お腹を突き出して、エッヘンポーズをしたぞ。
「実はさ、ユーリくんと別れた後、落ち込んでる私に、騎士団が他の町で使えるからって、資材全部を半額で買い取ってくれたんだぁ。まさに金色の女神様に見えたよ」
金の女神様か、たぶん金髪のことだな。この町の騎士団で、そんな権限あるのはライザ団長、辺りだろうな。
「他の町に行く金もなかったし、建物が壊れてないこんな町じゃ、資材なんて殆ど売れなかっただろうから、ほんとぉに! 助かったよ!」
「なるほど、それで、ご馳走を食べて、お腹がまんまるに、ふくらんだのか」
「はは、ちょっと食べすぎちゃったかな。げふぅ」
テーブルに並んだ料理は、この小さい体の何処に消えたのやら。
「それで、ユーリ様、すぐに出発なされるのですか?」
「そうですね。リーシェさんの人避け魔法の効果が残ってる方が、静かに出発できますし、今から出発する方がいいですね」
「そうですか。では、町の出口まで、ついて行きましょう」
「助かります。リーシェさん」
「決まりだね! なら私とロッティさんは、馬車の準備をして待ってますね! 行きましょうロッティさん」
がし! ひょい!
「ちょ! いくのは構わないんだけど、私を子供みたいに、抱きかかえるのは、違うんじゃないかな!」
「この方が早いですから、気にしないでください」
「気になるんだけど!」
ガチャ、カランカラン、バタン。
酒を飲むエクリアに話しかけた。
「お前達、準備しろ。すぐに出発するぞ」
「騒がなくても、わかってますよ、ユーリ。今ちょび髭マスターに、旅のお供を準備してもらってるんですから」
「なんだ、気がきくじゃないか。エクリア」
「そうでしょう。ユーリ! わたしはあなたに尽くしているのですよ!」
最初とは違って、ダメ天使もマシになったな。
「いや、マスター……」
「なんだ。エクス? そのダメ人間を見る顔は?」
ゴトゴトゴト、ごとん!
「これは、さけ……」
「ふっ、旅なら酒の補充ができないですからねぇ。ですよね! イフリータさん!」
「当たり前よ! エクリア。旅に出るのに酒がないなんて、ありえないわ!」
くっ、俺の感動を返しやがれ、エクリア。
「あとこちらは、サービスです。非常食と水筒人数分ありますので、お持ちください。ユーリ殿」
ちょび髭マスター! なぜお前が仲間じゃないんだ!
ちょび髭マスターから、酒、鬼殺し、竜殺し、魔神殺し、魔王殺し、神殺しを買い。水筒、非常食などを受け取った。
なんだこの、酒殺しシリーズは、悪趣味にも程があるだろ。
てか、神を殺してどうすんだよ。
とグチグチ、考えながら馬車に向かい乗り込んだ。
リーシェさん、クレアさん、ちょび髭マスターに、見送られて、最初の町を出発した。
「行ってしまいましたね。英雄様」
「ユーリ達なら上手くやるだろ。な! マスター」
「そうですな。ユーリ殿からは、計り知れぬほど強大な力を感じましたからな。無事ならば、噂を聞くことになるでしょう」
「私もそう思いますが。マスターさんは、思ったより話すのですね」
「……」テレ、ピン!
「なんで、そこで照れてヒゲ触るんだよ! マスター」
「コホン。人避けも無くなりましたし、酒場に戻って仕事をしますかな」
「無視すんじゃねぇよ! ヒゲ! おいヒィゲ!」
(馬車は、もう見えなくなってしまいましたか。どうかご無事で、英雄ユーリ様)
馬車の向かった方角に、リーシェがお辞儀をし、手を挙げ合図をすると、町の門は閉まった。
ギィィ、ガゴン!!
ガラガラガラ。
「なぜでしょうか? 来る時はウルフに狙われて、逃げていたんですが。1匹もいないですね? ご飯の時間でしょうか?」
そりゃぁ、最強召喚獣イフリータ様が片っ端から倒してるみたいだからな。
「ヒック! ボンボン、ビックボム!」
「ほぉ、花火ですかねぇ! あちこちで、爆発が起きてますよ」
「タヌゥゥゥ。本当ですね、エクリアさん。綺麗ですよ」
「ふっ、私を吐かせようなんて、生意気なモンスター達ね」
「はかせる? 何の話だ。イフリータ?」
「馬車が揺れると吐きそうなのよね。ご主人様」
「あぁ……」
酒瓶抱えて、言うセリフじゃないだろ。
どうやらモンスターに狙われると、ウマが暴れてしまい、馬車が揺れて気持ち悪くなるから、モンスターを全部倒してるみたいだな。
確かに、馬車の中でリバースされても困るからな。
まぁ、理由はどうであれ、道中モンスターの心配はなさそうだな。
次は土曜日予定です。
馬車は2台ですが。ハムース族のロッティは、あとで出番があるので、今回連れて行ってるだけなので、馬車の移動の話は、これでほぼ終わりで、目的地にはすぐ到着します。
最後まで読んでくれて、ありがとうございました。




