第79話 フェンリ、擬《ぎ》ウルフ発動!変身フェンリル
「いやいや無理ですってユーリさん。じょうだんキツイですよぉ」
「え、じょうだん? ほんきだが」
「いや、だってですよ。あの、骨にしゃぶりついてるゴブリンなんて、私の100倍、いえいえ、100万倍は強いじゃないですか! そんなの無理ですよ!」
「100万倍って、おおげさだな。この前は大活躍だったじゃないかフェンリ」
「この前のは、布切れ。生き物なんて、ここでも臭いがゲキヤバなんですよ! 内臓とか体についたら、やばいじゃないですか! 力使ってる時の私の嗅覚、尋常じゃないんですから!」
「確かに生ゴミでも倒れてたしな。仕方ないか」
「ふぅ」
「あ、なら腕力あるんだから、ゴブリン狙って石投げてみたらどうだ?」
「それなら息を止めてれば、できそうですね。やってみましょう!」
フェンリは、手頃な石を拾い。ゴブリンに狙いを定め構えた。
おぉ、完璧なピッチャーの構えだ。これは期待できるぞ。
「ユーリさん、見ててくださいよ。これが私の実力です!」
バシュン! ドゴォォゴォォ! ズガガガガガ……。
打ち上げロケットが発射したような、風圧が辺りの木々を揺らし、直後には建物が爆散したかのような、激しい破壊音がした。
ゴブ? ゴブ?
「あ、あれ? おかしいなぁ。自信あったんだけどなぁ」
「あら? フェンリ、ずいぶん外れたわね」
「本当ですね。イフリータさん。投げた石が、ゴブリンの上を飛んでいきましたよ」
「タヌゥゥ。山が粉々に粉砕されましたよ。エクスさん」
「無意味に自然を破壊するのは良くないが。今のは事故だし仕方ないな」
どんだけノーコンだよ! 直線上のゴブリン狙うだけだろうが。
まぁ山が消し飛んだし、ゴブリンに命中してても、地面が消し飛んでただろうから、結果的にはよかったのかな?
けど、消し飛んだ山に人住んでたりしないよな……山はモンスターだらけだろうし、普通は人なんていないと思うんだが。
「とりあえず、今後フェンリは物投げるな、どこに飛んでくかわからないからな」
「はは、ですね。了解です」
はぁ、フェンリは使えると思ったんだが、強くても臭いに弱いんじゃ仕方ないよな。
あとはタヌヌとエクスだな。
「ゴブ! ゴブ! ゴブブ!」
「さすがにゴブリンにバレたか。仕方ない、とりあえず倒すか」
「ご主人様! タヌヌがやりますよ」
「大丈夫か。タヌヌ?」
「任せてください。ご主人様。タヌ! 葉っぱにおまかせポンポコポン!」
タヌヌが無数の葉っぱを空に投げた。
風に舞う花びらのように、ヒラヒラとゴブリンに近づいてる。
「ぽんぽこ!」
ボンボンボンボン!!
「おぉ! 葉っぱが巨大化して、タヌキの絵柄付き巨大ハンマーに変化したぞ!」
ぽんゴブぽんゴブ、ぽんぽんゴブゴブぽんゴブゥゥ……。
「変な効果音は付いてたが、ゴブリンがモグラ叩きみたいに、ぽんぽこハンマーに潰されて死んだぞ! すごいぞタヌヌ!」
「やりますね。タヌヌ」
「なかなかやるじゃない」
「匂いは辛いけど、すごいよ! タヌヌ」
「タヌ、照れますね」
ラストはエクスだな。今は人だが、元は聖剣だからな、強いだろうな。
「じゃあ他のモンスター探して、最後はエクスだな」
「む、マスター悪いが僕は戦わないぞ」
「なに! なぜだ! エクス!」
「僕は、見た目は人だけど、心は聖剣なんだ、だから無駄な殺生はできない」
「そうか。やりたくないなら構わないよ」
「すまない。マスター」
「気にするな。エクス」
まぁ、理由を聞く限り、戦えるだろうから、困ったらエクスは戦ってくれるだろ。
結局戦ったのは、イフリータとタヌヌだけか。
魔王配下マジェスティの時もだが、タヌヌは強いんだよな。
けどタヌヌは、元は置物だが。見た目子供だし、強くてもあまり戦わせたくないよな。
イフリータは強いが、酔っ払ったら何するかわからんし。
エクス、エクリアは、宗教上の理由みたいに戦えないし、エクリアは戦えても弱いだろうがな。
そしてフェンリは、力使うと鼻がよくなるから戦えない……。
鼻つまんでたら戦えるかもしれんが、体に血がつくだろうから可哀想だよな。
使える奴がいない。結局俺がやるしかないか。
「やりたい事は終わったし帰るか」
「あ! ユーリさん。戦いでは役に立てなかったんで、私が運びますよ」
「フェンリ運ぶって、肩車でもするのか? 確かに俺が走るよりは、速いだろうが」
あんな速いと、俺の内臓が潰れるんじゃないか。
「違いますって。まぁ見ててくださいよ」
なんだ? 変身ポーズしてるぞ。
「私はフェンリル、偽りの衣に身をまとえば、世界なんて私の庭でしかない! へんしん! 擬ウルフ!」
「へんしんだと!」てか、ぎウルフって、フェンリル何だし、犬の姿が本体だろうが!
「タヌ! フェンリさんの体が青い犬になったと思ったら、今度はデカくなっていきますよ! エクリアさん」
「ほう、こんな事ができたとは、フェンリを怒らせると潰されてしまいますね。ほほう、まるで青い山ですね。はて? 何処かで似た話を聞きましたね」
「私が教えた、究極召喚よ」
「あぁ、イフリータさんが、巨大化したら、下からパンツが丸見えになった奴ですね」
「エクリアそれは、あんたの妄想でしょうが!」
「はは、そうでした」
究極召喚、確か今は禁忌になっている。人を生贄にすると、山のように巨大な召喚獣を召喚できるんだったな。
「けど、イフリータ。これが究極召喚なら生贄が必要なんだろ? 俺は生贄召喚なんてしてないぞ」
「魔力を増幅するのに生贄が必要だったのよ」
「じゃあ、体内に賢者の石があって、魔力無限の俺の召喚は」
「全部究極召喚になるわね」
究極召喚、この世界の禁忌を犯しているが……生贄はしてないから問題ないんだろうか?
「おや? それでは、イフリータさんも巨大化できるんですよね?」
「できるけど、それがどうかしたのかしら! エクリア!」
「いえ、私の妄想通り、パンツ丸見えだったんだなぁと、思っただけですよ。巨大化してみませんか? イフリータさん」
「しないわよ!」
「残念ですね。おや? ユーリどうしました? 体を震わせて?」
「いやいやいや! フェンリの奴いつまでデカくなる気だ! 頭が雲より上なんだが! まずいだろ!」
「そうね。町の方角から、足音が無数に近づいてきてるわね」
「イフリータさん。耳いいですね」
「言ってる場合か! フェンリ! フェンリ! もういいから、小さくなれ!」
とりあえず足しか触れないから、足を叩いて教えるしかない!
もふもふ。
「おぉ、フェンリの足もふもふで、気持ちいいな……じゃなぁい! フェンリ! フェンリ! 小さくなれ小さくなれ小さくなれって、ちぃさくなってくれよぉ〜!」
もふもふ、もふもふ、もふもふ。
次は月曜日予定、もしかしたら火曜日になるかも知れません。
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