第76話 町を見下ろす者 天使エクリアの苦悩と決意? 復興2日目夕方〜3日目夕方
ん? 国境の砦で寝たはずだが……太陽を見た限り、夕方の町を見下ろしてるな。
丘の上にある屋敷を見るに、これは俺がいた町……。
前にも魔王を見下ろしたから、同じで過去の町を見てるみたいだな。
お! のんきに歩いてるのはエクリアだな。
「ユーリ、ユーリ、ユーリは死んだ。なぜ死んだ!……私が殺したんですよぉ……」
こいつ、1人の時こんな歌うたってたのか……
「はぁ……実感ないですねぇ。気づいたら死んでたのに、つぐないをといわれましてもぉ。何をどうすれば」
……。
「いつも通りふるまい、ユーリに気を使わせない! 私の償いでしたが! なぜでしょう……」
あの態度が、償いの態度だったのか。
まぁ最初のお子ちゃま天使から、従順のメイドみたいになられても、確かに気持ち悪いが。
「むぅ、それなのに、それなのにですよ! 純白の羽が黒くなっていました。まさか、純白の羽に隠れる様に巧妙に、漆黒の羽が隠されていようとは! なんと、こしゃくな手を、風呂で羽を洗うまで気がつきませんでしたよ!」
落ち込んで歩いてると思ったら、羽の心配か。
「ユーリに聞いたら、俺をイフリータと踏んだ時と、顔変えた時、神様の悪口、豪華宝箱をモンスターだと教えてやったのに、知らないと言ったりしたから、羽黒くなったんだろと言われました」
まぁ、他にも原因はあるだろうがな。
「何か良い行いをしなくてはいけませんが、肝心のユーリはいませんし。む! おや! 屋台がありますねぇ。困ってる人がいないか、聞き込みをしますか」
ききこみ……。
「コカトリスの串焼きですか。一本ください!」
「はいよ」
「はむ……はむ、ぐっ、グギギィィ硬いですね」
「嬢ちゃん、やっぱりおいしくないかい」
「え、は! いえ、これはこれで、噛めば噛むほど、ゴムのような弾力がクセになりますよ!」
……ウソで、よいおこないのつもりか。エクリア。
「いや、いいんだ、お嬢ちゃん。無理しなくても。金はいらないから」
「どういうことですか? タダなのは嬉しいですが」
「この串焼きは、コカトリスの肉が材料なんだが。コカトリスは、目を見ると石化しちまうんだ」
「目を見るだけで、ですか、それは凶暴ですね」
「あぁ凶暴なんだが。今まではコカトリスが逃げてたから簡単に倒せたんだ。けど勇者様が死に、勇者一族のスキルの恩恵がなくなっちまって、魔物が攻撃してくる様になっちまってな」
「ほう」
「上級冒険者しかコカトリスを倒せなくなったらしくて。コカトリスの肉が品薄になっちまってな、質のいい肉が手に入らないんだよ」
「そうでしたか。確かユーリも似た話をしてましたねぇ。魔物が人を攻撃する様になって」
『盾役が、あつぎになって目の保養ができねぇぞ! 魔物ども根絶やしにして! 軽装復活だぁ! あ! でも魔物が絶滅したら私服しかなくなるのか……姫騎士薄着さまぁぁぐぉぉどうすればぁ!』
「でしたかねぇ?」
確かに、そんなこと考えたが、エクリアには言った覚えがないぞ……。
こいつ妄想で俺の考えを予想してやがるな。まぁ間違ってないが。
「面白い人だな。気持ちは少しわかるがな」
「ふっ、男なんて皆同じですからね」
「ちげぇねぇ。ガハハハハハ」
俺に反論はできんな……
「あ、そうですよ。おじさん。この町で困ってる人を知りませんか? 戦闘はナシですよ」
「困ってる人かい、戦闘なしだと、あっちの仮設の避難所にいるんじゃねぇか。近くの町から逃げてきた奴らがいるらしいからな」
「行ってみますよ。ありがとう。おじさん」
「おうよ。またな」
近くの町からの避難所か、空き地に白いテントが複数あるから、あれだな。
「ここですか、ケガ人もいますが、手当は受けてるみたいですし、普通に生活してますかね」
幸いこの町は、被害少ないから、人手不足にもなってないみたいだからな。
「おや、これは……寄付箱ですか。むぅ…………………………………………」
………………すごぉん。
エクリアは、大聖金貨《1000万》を寄付した。
「ふんふんふぅん。神の頼みですし、ユーリにも優しくしてやりますかね」
そりゃどうも。確かに良い行いだが。天使が金で解決か。
まぁ、強欲天使が金を手放しただけでも、頑張ってるのかな。
「ユーリ! 前世の女なんか忘れて、私とそいとげましょうよ! これでイチコロですね!」
変な事大声で叫ぶんじゃねぇよ! 勘違いされるだろうが!
お? 視界がぼやける。場所が変わるのか? これは酒場か。
「飲み過ぎだよ。イフリータ」
「ほっといてくれるかしらエクス」
なんだ? イフリータが荒れてるな。
「だって、だってよ。ご主人様ったら、私の顔を見るなり、何も言わずにドアを閉めたのよ! 頼りなさいよ!」
あぁ、フェンリが出した足跡を追跡する時に、酒場をのぞいた時か。
「それは、イフリータ。キミがあまりにも、泥酔していたからだろ」
「そんなの関係にゃいわ! ザコモンスターなんて! いちころなんだから!」
「マスターは、それも嫌なんじゃないか」
「なんでよ。邪魔な奴らなんて、ボンで消し炭にしちゃえばいいでしょ!!」
イフリータは、連れてこなくて正解だったな。
「さぁ、イフリータ。水でも飲んで宿に帰ろう」
「まだよ、まだなんだから! おかわり!」
「まだ飲むつもりなのかい!」
「おかわり持ってきましたよ。タァヌ」
コンッ。チャプ……。
「ありがとう。タヌヌ」
イフリータの奴、酒飲みに、なってるが大丈夫だよな……。
俺は、みんなの夢を見て、眠りから目覚め。
国境砦を朝出発し、夕方町に到着した。
ライザ団長や、団員達とは町に到着し別れた。
「ユーリ! 待っていましたよぉ! 神の教えに従い、私の愛を受け取り! 幸せになりましょう!」
「変な物でも食べたのか? エクリア」
「いえ、ちょっとイメージチェンジですよ」
あの夢は、現実の話で間違いなさそうだな。
だがこいつ、極端にも程があるな。まぁ、気持ちを入れ替えたのなら、それはそれでいいのか?
バカな天使がいなくなるのは、少し寂しい気持ちに。ん?
「おや、こんな所に、銀貨が……チッ、ただのゴミですか」
まぁ、そんな簡単に、あの天使は変わらないよな。
「タヌ! お帰りなさいです。ご主人様、フェンリさん」
「マスター、フェンリ、無事で何よりだ」
「ただいま、みんな」
「ただいま戻りました!」
ん? イフリータがトボトボ歩いてる。
「あら帰ったのね。うぷ。ご主人様、私抜きでも、無事で何よりだわ」
「あぁ、フェンリのおかげで、なんとかな」
「いやぁ、お役に立てたようで、よかったですよ。ユーリさん!」
「よかったわね。ふん!」
すたれてるなぁ。イフリータ。まぁ、酔っ払いは連れてけないし仕方なかったよな。
「さて、夕方だし、ご飯にでもするか」
【はい】
これで3章は終わります。
次からは4章で、町を出る予定です。
長い物語を読んでくれてありがとうございます。
4章は、土曜日、更新予定です。
よければまた、読みに来てください。
評価、ブックマークありがとうございます。




