第69話 酔っ払いメイド参上! 焦ると大損します 全員集合
フェンリル召喚するために、人がいない場所を探してたんだが、なぜか町の出口には人が集まっていた。
なんか騒がしいな?
「はやくもっと速く! いそいでよ! お馬さん!」
「だめです! 馬車にゴブリンライダーが近く、魔法も、魔導力砲紅蓮も使えません! このままでは、馬車にとりつかれます!」
「ゴブリンライダー! バイクがあるのか!」
「タヌ! ご主人様! 馬車が、ウルフとゴブリンに追われてますよ!」
「ほんとだ! ウルフにゴブリンが、またがって乗ってやがる。なるほどだからゴブリンライダーか?」
なんか違う気もするが、答えてくれる人もいないし、いいか。
「やぁぁぁ! だかれかぁ! たすけてくださいよぉ! やばいよ! やばいんじゃないかな!! マジにやばいですよ! どうしたらぁ」
なんか可愛らしい黒髪の子供が、一人で馬車に乗ってる。
前、見た馬車は護衛が10人はいたはずだが?
「仕方ねぇ!! 救助に向かうぞ!! みんな覚悟を決めろよ!!」
ん? 覚悟? あれ? よく見たら、騎士団の人じゃない。
「リンス隊長。私達やれますかね」
「ライザ団長の騎士団は、もうすぐ王都に帰るんだ!! この町は、町に住む者が、守る必要があるんだよ! やれるかじゃない! やるんだよ!」
【はい! リンス隊長!】
どうやら騎士団は、王都に帰るまでに、町の警備を、徐々に町の住民に、変えてるみたいだな。
けど、間に合いそうにないな。
「リンス隊長! 馬車にゴブリンが! 手をかけました!」
「クソ! 間に合わない!」
「やぁぁぁ、こないで! わたしガリガリで小さいから!! 食べても美味しくないよ! そうだ! 私なんかより! うまさんを!」
ブヒィヒィ! ブルルル! ドガドガドガン!
「やぁ! 暴れないで! 落ちちゃう、おちちゃうよ!」
ウマが怒った! 人の言葉がわかるのか?
「リンス隊長! ウマが暴れたおかげで、ゴブリンが馬車から離れています!」
「今がチャンスだ!! 一気にいくぞ!!」
ゴゴゴゴゴォォォ!!
ゴブ……キャン!
「リンスたいちょう……これは」
「なんだ、この火柱は……赤きりゅうの魔法」
「わちゃわちゃ! 火の粉が! けど! ウマさん! わたしたち助かるよ!!」
「ブヒィヒィン!」
リンス隊長達は、魔法を使った様子じゃないが、誰がやったんだ? かなり強力な紅蓮竜の火柱だったが……ぐれんのりゅう……まさか……
周りの人達も、誰がやったか騒いでるな。
「すげぇ、ゴブリンライダーを一瞬で灰にしやがった。いったい誰がやったんだ!」
「あの子よ! あの可愛い、赤いメイド服の子! 魔法を使うのを見たわ!」
かわいい……メイド……嫌な予感しかしないんだが……
「情けないわね。人間は、酔い覚ましに、けちらしてあげりゅわ! ひっく! たちのぼれ、紅蓮のヤリ! 槍竜紅蓮」
なにしてんの! うちのダメイドは! めだってんじゃねぇよ! 俺は英雄になったから! 人のこと言えねぇけどな!
ゴゴゴゴゴ!
ゴブ! キャン! ゴブ! キャン!
「リンス隊長、これは夢でしょうか。10体はいたゴブリンライダーが、一瞬で跡形もなく消え去りました」
「夢なもんか、あそこに、おられるおかたは! 出回っている! 似顔絵と瓜二つの! 英雄様だ」
【英雄様!】
くっ、ジルの描いた似顔絵のせいで、イフリータから距離をとっていたのに、名指しされたぞ!
俺は何もしてないんだが!! 見るな! やじうまどもが!
「ほんとだ! 英雄様だ! じゃああのメイドの子は英雄様の仲間か!」
「驚いちゃったけど、英雄様のお仲間なら、なっとくね。やっぱり英雄様は仲間も強いのよ!」
まぁ、イフリータと俺が、一緒にいたのを見た人も多いだろうから、今更他人のフリしても、そのうちバレてたか。
仕方ない、営業スマイルで手でも振っとくか。
「どうも」にか!
【えいゆうユーリさまぁ!】
「タヌ! ユーリ様!」
はぁ、どんどんめだってるなぁ、もうどうとでもなれぇ……
ガラガラザザザァァァ……「ヒヒィィィィン!」
「さっきは危ないところを、ありがとうございました。えとメイドさん? と?」
「イフリータよ」
「俺はユーリ、この子はタヌヌだ」
「タヌ!」
「私は、ハムース族のロッティと言います」
む? ハムースぞく?! あれは! 小さくてわからなかったが!
頭からぴょこんと、飛び出した丸い耳は! ハムスターか! 確かに小柄だし、何処となくハムスターらしさを感じるな。
「それにしても、あんたバカじゃないの!!」
「ぴぃ!」
竜に睨まれたハムスターみたいに、怯えてるな。ロッティ。
まぁイフリータの言いたいこともわかるが。
「こんな魔物だらけの中、護衛も無しとか自殺したいだけでしょ!」
「そ、そうなんだけど、冒険者が少ないから、護衛をやれるランクの高い冒険者は、領主様や大手の商業ギルドに殆ど契約されちゃってるだよ!」
「ふぅん、それじゃあ仕方ないわね。悪かったわね。怒鳴ったりして」
「私のために、言ってくれたんでしょ。ありがとうだよ。イフリータさん」
「わかればいいのよ」
「それでロッティさんは、護衛もなしで、命がけで、何を運んできたんだ?」
「ふふ、よくぞ聞いてくれました! ユーリさん!」
なんだ立ち上がったぞ?
「今なら、木材すら通常の10倍! うぅん! もっとたかい値段で売れると思って! 全財産はたいて!! 買い集めた! 資材の山! みてよ! これ!」
「なるほどね。だから馬車が遅かったわけね」
「タヌ! 荷台に箱がいっぱいですね。ご主人様」
「確かに、山のようだな」
やっぱりマジックバッグには制限があるのか、入りきらないみたいだな。
「でも! その甲斐あって! あれ? 変じゃないかな?」
「どうしたのよ、ロッティ?」
「町の建物、ほとんど、こわれてないんじゃ?」
「たしかに、町は、ほぼ壊れてないが? どうかしたのか? ロッティさん」
「え? ユーリさん? あれ? 私の情報だと? あれれ?」
お? あれはリンス隊長。
「ロッティとやら、君は大きな間違いを犯している」
「へ? 間違い? あなたは隊長さん?」
「私は、この出入り口を任されている。リンスと言う者だ」
「えと、それで、リンス隊長さん。私の間違いって。まさか……」
「ロッティくんの言っている。資材が10倍の町は、丁度君がきた道を逆走した地点にある、フォレスティの町だろう。町が半壊したとの話だからな」
はんかい!! やっぱり他の町もモンスターが襲撃したのか。
「まぁフォレスティの町にも騎士団がいたから半壊ですんだようだ」
騎士団がいても、半壊か、色々な町で被害がありそうだな。
「さいわいこの町には、英雄白銀様、ライザ団長、騎士団のおかげで、町は少し建物が壊れた程度ですんでいる! そして! ここにいる、英雄ユーリ様のおかげで! 町の魔導力にも困ってはいない! む?」
「わたしの、いのちをかけた、しょうばいが……はひゃはひゃ……ひゃひゃ」
「リンス隊長、ロッティさんは、放心状態で何も聞こえてないみたいですよ」
まぁ、あぁなるわな。
「ドジ。どころじゃないわね」
「タヌゥゥ。かわいそうですね」
「まぁいいでしょう。それでは、英雄ユーリ様に挨拶をしておきますか」
警備の隊長達からも、お礼を言われ、自己紹介をしてから話をした。
何かと思って、警戒していたが、みんなから握手を求められた……
「ユーリ様、それにイフリータ様、我々は、まだ実戦訓練中の身。助けがなければ、どうなっていたか……」
まぁ、最近まで魔物は逃げてただけだったからな。
けど今回、俺は何もしてないんだが。まぁ話を合わせとくか。
「あの場合は、仕方ないですよ。本来は魔導力砲紅蓮で倒すのが基本でしょうから」たぶんだが。
「そうですね。今回馬車が重く、想定よりもゴブリンライダーが馬車に接近していましたから。今後は馬車が遅い時は、馬車の荷台を壊し、馬車の速度を上げるやり方にしてみます!」
「そのいきです! リンス隊長。それに、みなさんも、頑張って下さいね」
【はい! ユーリ様! ありがとうございます!】
道の真ん中で邪魔になっている、放心状態のロッティの馬車を移動させながら、手を振りリンス隊長達は、警備に戻った。
はぁ、英雄モード疲れるな。ニコニコした表情で、顔の筋肉が固まりそうだ。
「きめいですねユーリ。何ですか、その愚民をダマス、悪族皇帝の顔は!」
「どんな例えだよエクリア」
こいつもきたか。天使エクリア。気を使ったのか知らんが、周りの人に聞こえないように、小声で話してる……ならツッコミ入れるなよ!
「はぁはぁ、まってくれ! 僕はまだ走りなれてないんだぞ!」
聖剣のエクス1人で、ダメやろう2人の面倒は無理だったか。
「はぁはぁ、マスターすまない。外の空気を吸いたいと言うから、外に出たんだが。歩いていたのに、気がついたら騒ぎになっていた」
「丁度用事があったから問題はない。気にするなエクス」
「それはよかった。はぁはぁ」
どんな状況かサッパリわからんが、この2人だしな。
まぁイフリータのおかげで人は助かったんだし結果オーライだ。
それに、フェンリル呼ぶなら気配を消す魔法が使えるイフリータがいた方が楽そうだ。
「あれが、英雄ユーリ様のパーティーか」
「女、子供ばかりだな……」
「けど、強かったし、見た目じゃわからないわよ!」
「ユーリ様が、私に手を振ったわ!」
「何してるんですか? ユーリ?」
「いや、美女にサービスをだな」
「用事があるなら、はやくすませてくださいよ!」
……エクリアは、必要ないんだが。まぁ仲間が増えるんだし、連れてくか。
「なんですか! ユーリ人の顔をジロジロと?」
「いや、なんでもない。行くぞ」
フェンリルを呼ぶため、広い空き地に移動する事にした。
ネコババの魔法が変化して召喚した、召喚獣ケットシーをのぞくと、フェンリルが2体目の召喚獣になります。
次は、土曜日予定です。
更新遅くすみません、よければまた、読みにきてください。
ありがとうございました。




