第68話 復興2日目昼 力の無駄使いジル
ライザ団長、光の化身ランファと別れ、俺とタヌヌは昼ご飯を食べに、酒場×冒険者ギルドの中に到着していた。
ガヤガヤ……
「タヌ! いっぱいですね。ご主人様」
「そうだな。仕方ない、席が空くのを待つか」
昼だからなぁ。
「あぁ! ユーリさまじゃんかぁ!」
(む、このかんだかく、のんきな声は! ジル! に! 漆黒の天使シルヴィさん!)
「こっちこっち! 席空いてるよ!」
あの感じからして、白銀の正体には、気がついてないみたいだな。
実際、席は空いてないわけだし、むやみに断るのも怪しまれるか。
2人にタヌヌの紹介をして、席に座った。
ギィィ、ガタ……
「で、ジル。今のユーリさまってなんだ、さまって!」
「いやぁ、だってさぁ。英雄様に、呼び捨てはないかなってぇ。なっ! シルヴィ!」
「へ! えと、どうかなぁ」
シルヴィさんが! なやましい表情で俺を見つめている! かわいい。
「大丈夫ですよ。シルヴィさん、今まで通りで」
「ですよね! ユーリさん」
「えぇ、せっかく英雄ユーリ様の為に、こんな物まで夜なべして作ったのに」
ペラ
「な!!!」
似顔絵、うめぇじゃねぇか! ほとんど写真だろ!!
「タヌ! ご主人様そっくりです!」
だから俺の顔知ってる奴が、町中にあふれてたのか。
白銀の時にも思ったが。ジルは、いろいろと厄介な存在だな。
「けど、町中でも紙持ってる奴らが、俺のこと見ながら、紙と見比べてたから変だとは思ってたんだが、もしかしなくても……」
「もちろん! わたくしジルが! 英雄ユーリ様の為に! 町中に配りまくったからだよ! 疲れたんだから! 感謝してよ!」
「そうか。おつかれさま。ジル」
「むふぅ」
だれがするか! おかげで、3倍速で有名人になったわ!
「で、似顔絵かなりの数町中に、ばらまいたみたいだが、全部手書きしたのか?」
「そんな面倒なことしいよ」」
だろうな「じゃぁどうやったんだ?」
「ふふ! さぁみなさん! ごらんあれ!」
「な、なんだ?」
「私の力作! 似顔絵の描かれた紙を、何も描かれてない、白い紙の上に置きます!」
ダァン!
なんか手品が始まった……
「タヌタヌ! なにがおこるんですか!」
ジルは、呪文を詠唱した。
「私の自信作よ!! 量産され! 世界にとどろけ!! ちちんぷいぷい! スキル発動! 効果付属転写!『ペイントボールズ!!』」
ぽわん、ぽわん、ぽわん。
「タヌ! きれいな水玉が、沢山空中に出てきましたよ! ご主人様!」
ぽつ、ぽつ、ぽつ。
「カラーボールから色付きの液体が落ちて、紙に染み込んでく」
ペラ
「ジャジャじゃーん!」
【ぉぉぉ。すげぇ】パチパチパチパチ。
なんか酒場の客まで見てるし、俺の宣伝になってるじゃねぇか!
「タヌ! 白紙だった紙に、ご主人様の似顔絵が描かれてますよ!」
「はぁい、これはタヌヌちゃんにあげる」
「タヌ! ありがとうございます。ジルさん」
力の無駄使いしてんじゃねぇ! 確かに効果付属は便利だから俺も多用させてもらってるが!!
「ジル、あんたほんと、凄い力なのに、使い方独特よね」
「ははぁ、それほどでも」
「別にほめてないわよ。ジル」
はぁ、ジルに警戒は必要だが。考えても仕方ないし、飯を頼むか。
パカ。
「あれ? 昨日よりメニューが少ない?」
コツコツ……ぷるん!
「わりぃな、英雄様。最近のゴタゴタで、ゴミの回収がまだされてねぇんだよ」
やはり! 冒険者ギルド受付嬢クレアさん! 胸を強調した、メイド姿はたまりませんなぁ! たんのうしたいが……気になる発言が……
「あの、クレアさん。英雄様は、やめてくれませんか」
「なんだ、男の子なら英雄って呼ばれたら、喜ぶと思ってたんだがな。昨日も、酒場で盛り上がってただろ」
「それはそうなんですが。有名になりすぎても、みんなに気を使わせてるのが気になってしまって……」
「そんなもんか。わかったよ。ユーリ」
はぁ。これから大変そうだな。
「それで、クレアさん。メニューが少ないのは、ゴミの回収が、まだだからなんですか?」
「そうなんだよ。だからメニューを減らして、ゴミの出す量を減らすようにしてるんだ」
「それって、いつからのゴミが残ってるんですか?」
「勇者の終焉の日だな。ちょうどゴミ回収日だったんだよ。で、それがどうかしたか?」
「いえ、気になっただけです。ありがとうございます」
「そうか? 変な奴だな。で何にするんだ?」
みんなで、柑橘風味の黄金うどんを注文した。
俺は食事をしながら、考え事をしていた。
クレアさんの話では、勇者の終焉の日から、酒場のゴミは回収されていない。
ならば、騎士団の団員が眠らされた時のゴミも、酒場のゴミ置き場に残ったままの可能性が高い。
ゴミをあさるのはいいが。素人が探しても何も見つからないだろうし。
やっぱり怪しいもの探すなら、犬族だよな。けど、奴隷にされてるなら、町中から協力してくれる犬族を探すのは難しいだろうし。
時間がかかると、ゴミも回収されてしまう。時間がないし決まりだな。
何を呼ぶか迷ってたが、今後も役に立ちそうだし、犬族のフェンリルにするか!
食事を終えた。
「はぁ、たべたたべた」
「ジル。あんた小さいのに、よく食べるわね」
「いやぁ、ユーリの似顔絵コピーしてたからお腹空いてたんだよ」
は! にがおえ! 忘れるところだった。
「ジル!」
「ん? なんだ。ユーリ?」
「似顔絵は、もう増やすなよ!」
「しかたないな。英雄様に、嫌われるわけにいかないからな」
ジルが、素直すぎて、あやしいんだが……
「安心して下さい、ユーリさん。私がさせませんから!」
「ありがとう! シルヴィさん」
やはりシルヴィさんは、天使だ!
「な! なんだよ! 私を、うたがってるのか! ふたりとも!」
「あたりまえでしょ、ジル!」
「タヌヌも、うたがってますよ。ジルさん」
「なに! タヌヌもか! なめるなよ! 貴様ら! 私は絶対に似顔絵作らないからな!」
「そんな気合い入れることじゃないでしょ。ジル」
「ジルさんは、面白い人タヌ」
あそこまで、言ってるなら大丈夫か。まぁすでに、かなりの人が似顔絵を持ってるみたいだがな。はぁ。
「あの人が英雄様! マジ子供じゃん!」
「この似顔絵、そのまま!」
話を終えると、ジル、シルヴィさんと別れ、フェンリル召喚をするため、人の少ない場所を探していると、町の出口に人が集まっていた。
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