第65話 英雄白銀になりすまし英雄回避したのに!神手の英雄ユーリになりました!
「そういえば、自己紹介がまだだったな。私はノワール騎士団団長。ノワール・ルクレインだ。それで、君の名前は」
「えと、ユーリ・ディザアと言います。この2人はタヌヌとエクスと言います。」
2人が挨拶をすると、俺は気になることを聞いた。
「ノワール団長の騎士団は、ノワール団長の名前が、そのまま騎士団の名前なんですね?」
「あぁ、騎士団の名前は、団長が自由に決めれるんだ。初代団長が決めた名前を、ずっと使う騎士団もあるぞ」
「そうだったんですね。教えてくれて、ありがとうございます」
なるほど、ライザ団長の騎士団の名前がライザ騎士団じゃなかったのは、自由に決められるからか。
「ところでユーリくんは、騎士団、ギルド、どこにも所属していないと言っていたな」
「はい。それがどうかしましたか?」
「でわ、わがノワール騎士団、専属の見習い技術者にならないか」
「俺が! 騎士団の見習い技術者!」
「あぁ、見習いと言っても、国の取り決めが原因でな。どんなに実力があっても試験をしないと見習いだ」
「そうなんですね」
「だが形式だけで待遇は、私と同等の団長クラスで迎え入れよう」
「な! おれが! 団長クラス!」
「実績を考えれば当然だ。周りの声を聞けばわかるだろう」
「すげぇ! 新人冒険者が騎士団に入るなんて、しかも団長クラスだってよ」
「当たり前でしょ! 私達の町を救った英雄様なんだから!」
「けど、あいつ。昨日、ライザ団長の騎士団に助けてもらって、噂になってた奴だろ?」
「そんなの関係あるかよ。目の前で起きた事が重要だろ!」
「まぁそれもそうだな」
すげぇ騒いでるな。美味しい話だが、異世界のこと何も知らないまま、騎士団に入るのは怖いよなぁ。
さっきも、錬金術師登録せずに加工して、極刑になりかけたわけだし、当たり障りなく断るか。
「はは、みんな大げさですね」
「なんだユーリくん。断るつもりか」
「へ! なんのことですか!」やべ、態度でバレたか!
「それじゃあ。条件を追加するとしよう」
「じょうけんついか? ですか?」
なんだ、ノワール団長が、自分の胸に手を近づけて! つかんだ! なんだ!
「団員になるなら好きなだけ、さわることも許してやるぞ。気に入ったのだろう、これが!」
もにゅもにゅ。
なんと色っぽい表情で……舌まで出して誘うとは本気だな! ノワール団長!
「タヌ! たゆんたゆんですね!」
「なんてふけつな、だが僕のマスターが、これ程までに評価されるのは、悪くないな」
2人が盛り上がってるな。
確かに騎士団に入れば! 両手で強調された! この胸が俺だけの物にできる! ゴクリッ……
いや、だが騎士団に入れば、素性がバレるんじゃ……ぐぅおしいが……
「ノワール団長。ありがたく、とても魅力的なお話ですが。自分は、世界を旅したいので、騎士団のお話は、お断りします」
「そうか……」
周りが騒いでるな当たり前か。
「おいおい、まじかよ。英雄様が、騎士団の話断ったぞ!」
「きっと英雄らしく、素敵な夢があるのよ」
「ありえん! あんな色っぽいノワール様見たことなかったのに!」
「あの色仕掛けに落ちんとは! 信じられん!」
ノワール団長には、変なファンも多いみたいだな。
「少年の夢を邪魔するわけには、いかないな」
「ありがとうございます。ノワール団長」
「ユーリくん。気がわかったら、いつでも言ってくれ」
「はい!」
はぁ、普通に断れてよかった。
「あぁ、そうだ。この国は今、魔族から人々を守るのに忙しくてな、国王に変わり。私が、ユーリくんに町を救ってくれたお礼をしよう」
「え! おれいなんて、ぐうぜんですし」
おぉ! 町を救ったお礼だと! 秘宝とか武器に金か! 何が貰えるんだ!! おたから! む?
ぎゅ……ブン!
な? なんだ? ノワール団長が俺の手を掴んで上げたぞ?
「あの? ノワール団長? これは」
「ふふ」
む? なんかノワール団長の顔が一瞬、イタズラを楽しむ女王様みたいに笑ったような?
「本来、国王が宣言をいたしますが。緊急時のため、ノワール騎士団団長! ノワールが代理とし」
な! なんだ! なんか、いきなりノワール団長が演説始めたぞ!
「この者ユーリ・ディザアを! 町を救った英雄とし! 英雄名ゴッドハンドマイスターの名を授けます」
え? え! えいゆうめいぃぃ! いらねぇぇぞ! そんな目立つ称号! 騒ぐなぐみんども! は!
「気に入ってくれたかな。神手の英雄ユーリ様」
ノワール団長の顔が! イジメて楽しんでる顔に! みんなの前で、色仕掛けまでした騎士団の勧誘、断ったこと相当恨んでやがるな! クソ!
「……ありがとうございます。ノワール団長。すごくいい名前ですね」
「喜んでもらえてよかった。みんなも英雄の誕生に喜んでいるぞ」
「タヌ! 神手の英雄ユーリさま! ご主人様は凄いタヌ!」
「僕のマスターに、また1つ新たな功績が増えたわけだ。うん! 悪くないな」
くっ! 無知の2人が普通に喜んでやがる。
「英雄が誕生する瞬間を見るなんて、私初めてだわ」
「おれもだ! しかも神の手とはまた、凄い名前の英雄様じゃないか!」
「そりゃあ、手に持っただけでアイテムを加工しちまったんだからな!」
俺が町の人達の拍手と歓声に包まれて、手を振り、ひきつった笑顔をふりまいていると。
冒険者ギルドの中から、ノワール騎士団の団員が「魔力結晶、設置の準備ができました」とノワール団長を呼びに来た。
俺達も、見学させてもらえることになった。
冒険者ギルドの内部には、昨日はなかった台座が部屋の中央に設置されていた。
「ノワール団長。あの台座はなんですか?」
「これは、君の作り出した魔力結晶を使うための装置だ」
「へぇこれがですか? 赤いですが普通の台座に見えますね」
「ふふ、置いてみればわかるよ」
ゴト……ジジ……ビュン!
「タヌ! ご主人様! 紫の胸が浮いてますよ!」
「おぉ、なんて神秘的だ!」
「それは、魔力結晶のモデルにされた、私に喧嘩を売っているのか? ユーリくん?」
「いえ! そんなことは決してありません! ノワール団長!」
けど、この感じは、まつられてるな……観光客も増えそうだ。
「ノワール団長? これで町の魔動力は数十年問題ないんですか?」
「あぁ、大丈夫だ」
思ったより簡単なんだな。電池交換に近い感覚だ。
冒険者ギルドの外に出ると、魔力結晶の完成に気が付いたのか、騒がしくなっていた。
うわ、町が! ゆれてるみたいに感じる。そこらじゅうで、よろこんでるのかな?
「ノワール団長! 準備できました!」
ん? ノワール騎士団が馬車を大量に準備してる?
「あの? もう行かれるんですか? ノワール団長」
「我が騎士団は他の街でも、魔力結晶を作るため移動しないといけないのでな、お別れだ。ユーリくん」
「そうなんですね」
「まぁ、ユーリくんがいなければ紫結晶、以外の魔力結晶で、町の魔動力を集める情けない状態になっていたがな」
「えと……」
「気にしないでくれ、少し弱音を言っただけだ。さらばだ! ユーリ、タヌヌ、エクス」
「ありがとうございました、ノワール団長」
「タヌ! またなのです!」
「お気をつけて、ノワール団長」
「あぁ、そうだ。ユーリくん。君の名は、他の騎士たちにも伝えておこう。ゴッドハンドマイスターユーリ!」
「なんすかそれ! そんな異名広めないで!」
「ふふ、でわな。神手の英雄ユーリよ。いくぞ」
「は!」
ガラガラガラガラ……
いったか。英雄かぁ、神手の英雄なら、ひびきは悪くないかな……って! よろこんでどうすんだ! はぁ。大丈夫かなぁ。
最低ランクのFランク冒険者、神手の英雄ユーリの噂は、間違いなく町中に広まるだろうな。
そして、ノワール団長が言いふらすので、他の街、騎士団、国にも知れ渡る……
「はぁ」さいあくだ……
「なに落ち込んでんだよ英雄様! ノワール団長との別れが辛いのかい?」
「あれ? あなたは、たしか……昨日、冒険者ギルドにいた、酔っ払いさん?」
「いやぁ、昨日は悪かったな。冒険者登録のじゃましちまって」
「いえ別に気にしてないですよ」まぁ殴りたいとか思ったがな。
「そうか、ならよかった。英雄になった人に、酔ってからんだなんて、かぁちゃんに知られたら、一生禁酒にされるとこだ」
「はは、そりゃ大変ですね」
「それでなんだが。昨日のお詫びと、英雄誕生のお祝い、それに魔力結晶のお礼をさせてくれ!」
「え! そんな悪いですよ」
「何言ってんだよ。英雄ユーリ様! みんな、そのつもりで待ってるですよ!」
む! たしかに人が増えてきたし、みんな俺を見てるな。まぁ、今更慌てても仕方ないよな。
おごってもらえるなら、もらっとくか。
「はは、そうですね。ならお願いします」
有名になることを想像し落ち込んでいた俺に。町の人達が、魔力結晶のお礼にと、酒場で町の平和を祝うことになった。
最初に、みんなでノワール団長の魔力結晶胸に、おがんでから、お祭り気分で騒ぎ出した。
騒ぎを聞きつけ、イフリータ、エクリアも合流し夜まで騒ぎ、宿に戻り眠りについた。
次は月曜日予定です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。




