第54話 服なんていりません! 武器にして裸になりましょう!
白銀は、聖剣に光を取り戻し、聖剣で魔王配下マジェスティにトドメを刺した。
ふぅ。なんとか倒せたが……
まさか安全バケツの下から覗かれて、正体がバレていたとは、逃げられていたら外歩けなかったな。
「シルヴィ! 白銀が! 魔王配下倒したぞ!」
お! ジルが変態仮面呼びをやめたか。
まぁ当然だな。
「えぇ、ハクさんがこんなに、凄い人だったなんて驚きだわ。ねリザ」
「そうだな。私の邪魔をした時は、後で捕まえねばと思っていたのだが。ここまで強い者だったとは驚きだ」
他の騎士団も喜んでいるな、当たり前だ魔王配下を倒したんだから。
む?
騎士団の歓声を打ち消すように、脳裏に音が鳴り響いた。
ピロンピロン! むむ?
俺の目の前には、聖なる光により全てを浄化しました、と書かれていた。
俺は、目を見開き、慌ててマジェスティが倒れていた場所を見たが、魔物の体内から手に入る結晶も、何も残っていなかった。
のォォォ! またか! ドロップアイテム消滅しやがった! イフリータの炎とおなじじゃねぇか!
なぁんてな! 今回は違うぜ! 何しろネコババを使ったからな! 結晶はないがアイテムは山のようだ!
アイテム回収は時間かかりそうだし、アイテムは! 逃げたりしない! 今すぐやるべきは!
歓喜に沸く美女達が光の服を着る前に! 裸を拝見しなくては! いざ!
白銀は、勢いよく振り向いた。
抱き合い喜ぶ騎士団は全員、黄金色に輝くゴールドの全身タイツを着ていた。
ぐ! 全員終わっているだと! なんて早技だ! 光のライザ!
美女の肌が……お! けど何人か、ゴールドの全身タイツが、ところどころ消えて肌が見えてる! これはこれでありだ!
む! あれは! 民家から、衣類盗んできてやがる! それでいいのか! 騎士団だろ!
お! 光のライザがクリス副団長を追っかけてる。
「みなさん! 何故服を着るのですか! 効果が薄まりますよ!」
「ケガ、魔力回復には、たいへん! 感謝していますが。体感効果は同じですから、服は着させていただきます」
「なぜですか! クリス!」
普通にクリス副団長、呼び捨てにしてるな。光のライザ。
「魔力消費したら消える服など! 着ていないのと同じだからですよ!」
「そんなことないですよ!」
「あります!」
なるほど、魔力を使った分だけ、着ているゴールドの全身タイツが、魔力回復のために、消えてしまうのか。
わかってるじゃないか! 光のライザ! さすが俺の願望の分身だな。
魔力消費で服消滅か。
だから、みんな着てるゴールドの全身タイツが欠けてるのか。
まぁ騎士団の裸は見逃したが、みんなが服を着るまでは、ゴールドの全身タイツ見てるかな。
「白銀さまぁ!」
俺に手を振りながら恥じらう姿、これも悪くない。
頑張った甲斐があったな。む!
(海のように、全てを飲み込んでしまいそうな程、青く輝く聖剣エクスカリバー。なんて美しいのですか……さわりたいものですね)
……ライザ団長は、俺から視線を外さないが……
俺じゃなく、青白く輝く聖剣に釘付けなんだろうな。
おかげで、俺もライザ団長を見放題だが。
やはり姫騎士様は、体も引き締まり、全身タイツの上からでもわかる! 磨き上げられた! 肉体美!
白銀が脳裏で、ライザ団長の体を力説していると声が聞こえてきた。
「あ! どこかで見たと思ったら、絵本に出てきた、ケットシーにそっくり!」
む! 図書館で本を読んでそうな子だが! さすが騎士団! 中々のスタイルだ! ミアを指さしてるみたいだな。
「みゃ? ミアは、ミア・ケットシーみゃ」
騎士団は、ざわついてミアを見ていた。
「ケットシーって、王都にも呼べる人いないんじゃないかしら?」
「そんなにレアなら、サインでも貰っとくかな。シルヴィもいらないか?」
「いや、欲しいけど……ケットシーは字書けないんじゃないかしら」
「む、そうなのか。高く売れそうなのにな」
「貰った物売らないのジル!」
ケットシー……確かゲームで、召喚獣だったな。
「ほう! では、俺は知らぬ間に、新たな召喚獣を手に入れていたのか?」
白銀が、みんなに聞こえない小声で、つぶやくと。
「すみませんにゃ、ご主人様。ミアは、自由を愛する旅猫ですにゃ。呼ばれたのは嬉しいのですがにゃ。ミアは、もう行かないといけませんにゃ」
「そうか。なら仕方ないな、助かったぞミア」
「さよならですにゃ! ご主人様! みんなも! さよならですにゃ!」
ミアは手を振り、路地裏に姿を消した。
普通に歩いて帰るのか? アイツ?
お! シルヴィさんの声が!
シルヴィに視線を移すと、胸元で握り拳を作り気合いを入れていた。
「次は白銀様と協力して! ゴブリンを倒すだけね! やるわよ! ジル!」
あぁ……そういやゴブリン……美女達見てたら忘れてた。
「えぇ……あんだけ強いんだからさぁ。白銀に聖剣でズバンと倒してもらえばいいじゃんかぁ。なぁリザ」
「そうだな。あれ程、強いのであれば、我らがいては、邪魔になるのではないか。シルヴィ」
「そうかもしれないけど……ライザ団長どう思いますか?」
「シルヴィ。それは、ライザ団長じゃなく光のライザ団長だぞ」
(くっ、ついにシルヴィさんにまで、間違えられましたか……)
本物のライザ団長は、聖剣を見つめながら、息を吐き下を向いた。
シルヴィの隣には、光のライザが立って笑っていた。
「すみません! わたし!」
「構いませんよ! ゴブリンでしたね。でしたらシルヴィさん、こちらに来て下さい」
「おいシルヴィ、光のライザ団長から、ご指名だぞ!」
「へ!……何かしたかしら、わたし」
シルヴィさん呼んで、何やる気だ? あいつ。
パンパン!
「はい皆さんはシルヴィさんより、後ろに下がって下さい」
「何かやるの?」
「さぁなんかシルヴィがやるみたいよ」
シルヴィは、団員達に見つめられ、不安そうに、おどおどと、周りを気にしていた。
「えと、私は何を……」
「ゴブリンの大群がいる方に、くらえ! と念じて、腰くらいの高さで蹴りを入れてください」
「蹴りですか? 光のライザさん」
「はい」
「やぁ!」
ズバン! バシュン! ズガガガガガ! ドゴォォン……
おぉ! シルヴィさんの爪先から、光線が放たれたぞ!
「は、はひ!」
シルヴィは、片足立ちのまま、目をパチパチさせ、自身から放たれた光を見つめていた。
「おぉ、私の親友シルヴィちゃんがいつの間にやら、外で裸体を晒す変質者になってしまったか」
「なにいってるのよジル!」
「それ」
ジルは、シルヴィの体を指さした!
「へ? きゃぁぁぁなんで裸に!」
シルヴィは、耳まで真っ赤にし、両手で胸を隠し、しゃがみ込んだ。
「今のはですね。ほとんどの力を放出する技なんですよ!」
「そんな大事なことは、さきに言ってください! 光のライザさん!」
むふ、我が天使シルヴィさんの柔肌を見てしまった。
光のライザ! お手柄ですよ!
シルヴィの、蹴り出した光線を見ていた騎士団は、驚きと不安に満ちていた。
「すごい……やまに風穴が……」
「わたしたちの着てる光の服、爆発しないよな……」
「光の服、触れないから脱ぐこともできないし……」
自分の体を見て心配する、騎士団に光のライザが話した。
「大丈夫ですよ。使った人間の側では爆発しませんから」
騎士団は、安心し笑顔になった。
お! ライザ団長が光のライザに話しかけてる!
「それで、光のライザさん。今のシルヴィの攻撃で。ゴブリンは、どれくらい倒せたか、わかりますか?」
「全部ですよ本体さん」
な!
「それは本当ですか!」
「はい。私の光には邪悪を打ち消す力がありますから、ゴブリンごときでしたら、光に触れただけで、おだぶつですよ!」
「さすが英雄様の光の化身ね」
「あぁ、私達が苦労して倒したゴブリンを、あんな一瞬で倒すなんて」
いや、騎士団が驚いてるが、俺も驚いてるよ!
光のライザおまえ! 明らかに俺より強いだろ!
「そうでしたか。光でゴブリンを消滅。そんな力があるのですね。騎士団を代表して感謝を」
ライザ団長が頭を下げようとすると、光のライザが止めた。
「あぁ! 感謝するならですね! みなさん、裸になって踊りましょう!」
「……みんな、服を着てください。服を着たら勝利の合図を打ち上げますから」
「はい! ライザ団長!」
「なぜですか! みなさん!」
……おれは、あそこまでじゃないと思うんだが……俺の願望なんだよな。あれ……
少し改めよう……
ユーリは、己の願望の塊、光のライザの姿を見て、心を入れ替える決心をした。
いつのひか……
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。




