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第51話 アッパーvsメテオストライク 腰抜けなマスターが悪いのです!


 白銀は、巨大な光の化身ライザのお尻を真下からニマニマと堪能していると、後頭部に強い衝撃をうけ倒れた。


 ズゴォォン! ドサッ!


 ぐっ頭がクラクラして、視界がボヤけて見えないぞ。


 何だったんだ……後頭部に強い衝撃が走ったけど……


 安全バケツかぶってるのにな……おかしい!! 背後には騎士団しかいないはず!


 まさか! ゴブリンがきたのか! じゃあ騎士団がやられた!


 お! 視界が開けてきたぞ? ん? これは鉄製のサンダル……


 倒れた白銀の目の前には、騎士団が、はいていたサンダルが地面に落ちていた。



 なんで、こんなとこに……サンダルが?


 白銀は、地面に座りサンダルを拾うと騎士団を見た。


「あの者だけは! 今すぐに、成敗せねば! 気が済みません! 離しなさい!」


「ライザ団長! 落ち着いてください!」


「そうですよ! 気持ちはわかりますが! あの人が死んだらやばいですよ!」


 ……なるほどライザ団長が怒ったのか。


 まぁ怒るかなとは思ったが。


 まさかサンダル投げられるとは……しかも鉄製だぞこれ……バケツかぶっててよかった。


 持ってても仕方ないし、リザにでも投げとくか。


「む!」


 ヒュン! パシ。


「ナイスキャッチよリザ」


「で、これを私にどうしろと」


「ライザ団長の怒りがおさまったら、渡すしかないんじゃね」


「はぁ、仕方がない。託された以上、後で返しておくか」



 ライザ団長の光の化身は、見た技だからイメージしやすかったんだけど。


 あそこまで怒るとは……けどなぁ。


 マジェスティのルーレット止まりそうだな。


 今更、他の魔法に変えれないし、今は気にしないでおこう。



「仲間われですかな白銀殿」


「そんなところだ」


「それにしても、ずいぶんと巨大な光の化身を作りましたな白銀殿。やはり老いても魔力は、底がしれませんな」


「まぁ魔力だけだがな」


(おかしいですね……これだけの物を召喚したにもかかわらず、白銀殿の魔力が減っていません。それどころか、増えていますね。こんなことがあるのですか。いえ、今は戦いに集中するといたしましょう)


「マジェスティも、変わった魔法を使っているじゃないか」


「ふふ、わかりますか。この、運命のマジシャンルーレットは、見ての通り針先が止まった魔法が発動するのですが。どの魔法かは選べない代わりに、威力は最強クラスなのですよ」


「そうか。それは楽しみだな」


 ぜんぜん! 楽しみじゃねぇよ! 最強クラスってなんだよ!


 俺の出した化身は、なにクラスなんだ! まだ動きもしないし! 生きてるのか! おーい! 光のライザさん!



「お! シルヴィ! ルーレットが止まるぞ!」


「ほんと、何がおこるのかしら?」


 ピロロロン!!


 コミカルな音と共に、運命の針先は止まり全員が声を揃えて言った。

「赤い岩?」



「これはこれは、滅多に出ない、災害さいがい、天変地異クラスを引き当てるとは」


 てんぺんちい、だと!


「白銀殿との再会を、わたくしの魔力も喜んでいるのでしょう」


 いや……魔力によろこばれても……げ! なんかマジェスティから出てるぞ!


 マジェスティの体から、紫のオーラみたいなのが、立ちのぼってる。


 あれが魔族の魔力か?


「魔力が減るのを感じるのは何年振りでしょうか。わたくしの魔力が全て奪われてしまうかもしれませんね」


 魔王配下の魔力全てって何がおこるんだ!



「ライザ団長! あれを!」


 クリス副団長の指差す方を、みんなが見た。


「あれは、空から赤い物が……まさか! あんな物が落ちれば、辺りは消し飛んでしまいますよ!」


 おいおい! あれってもしかしなくても! 隕石いんせきだぞ!


「シルヴィ! やばいぞ! 空のあれ! どう見ても巨大な岩だぞ!」


「ほんとだわ……真っ直ぐこっちに飛んできてる。リザ何とかならないかしら」


「空に岩を召喚する魔法があろうとは、あれでは例え魔法で撃ち落としても、周りの被害は増えるだけだろうな」


「そうよね……」



 岩を召喚? 多分隕石だと思うが。この世界では宇宙を知らないのか?


 それより、マジであれはやばいな。巨大なスタジアムくらいあるぞ。


 マジェスティは、満足そうに片膝ついてるし。


 マジで魔力殆ど使って『メテオストライク』しやがったのか。


 てかこれ、マジェスティも死ぬだろ! 何考えてんだ、あのやろう!



 マジェスティは立ち上がり、膝の汚れを、はたき落とすと。


 シルクハットを取り、お辞儀をして話した。


「では白銀殿。わたくしは、安全なシルクハットの中に避難させていただきますので」


 なぬ! そんなことができるのか!


「皆さま。とわのわかれを」


 シルクハットが、マジェスティの頭上でデカく。


 あの帽子で防げるのか、シルクハットの中は異空間か何かなのか。


「わたしも!」


「何言ってるのよ! ジル!」


「だが! シルヴィ! 他に助かる方法が!」


「魔王配下に助けてもらっても、殺されるだけでしょ!」


「あぅ! そうだが。これでは……」


「ジル……」


 騎士団のみんなも、怯えてる……


 クソ、どうしたら。全力で攻撃してみるか!


 けど、リザが言ったみたいに隕石が砕けたら、被害がデカくなるかもしれないし。


 どうする……


「マスターの防衛目標に支障があるので、ターゲットを破壊します」


 お! なんだ?


「この声は何ですか! 上から」


 突然聞こえた声に、マジェスティは、巨大化したシルクハットを元に戻し手に取ると、声のした方を見た。


「あれは、白銀殿の光の化身。何をする気ですか」


 え、いや、おれにも、さっぱり……


「マスターの、めいに従い、邪悪なるものから、美女達を! この命尽きるまで守り抜きます!!」


 ん? なんかセリフが変だな?


「おぉ! シルヴィ! 変態の出したライザ団長が動いてるぞ!」


「ほんとねジル! ライザ団長、何かやるのかしら? ねリザ」


「ふっ、ただ巨大なライザ団長を出しただけの、こけおどしではないようだな!」



「白銀様のライザ団長! 何やるのかな?」


「なんか、体制低くしてるし、殴りそうじゃないか?」


「殴るって、まだ距離あるのに、どうすんのよ」


「けど、片足後ろにして、体制低くしてるし殴りそうなんだけど」


「まぁ確かにね。けど……ライザ団長、あの格好で、あの体制、白銀様から色々見えてそうね」


(あのような格好で恥じらいもなく動く者を、私の名で呼ぶなと言いたいところですが! みなが喜んでいるならば! 今回は見逃すといたしましょう! 自分の姿を見るというのは、ここまで苦痛なのですか! 私に何か、うらみがあるのですか! 白銀様!)


 ライザ団長は、自分の腕を強く掴み、怒りを抑え込んでいた。


(ライザ団長、怒っていますね……副団長として側にいるべきですが……今だけは離れてようかしら)



 おぉ! 胸が! ぷるんぷるん揺れてるぞ!


 足もストレッチするみたいに爪先まで、ピンと伸びていて! まさにこれは! 右ストレートの構えですか?


「魔力集中! 充電完了! 一撃で消し飛ばします! 美女のためならば! 全力全開です! ジャッジメントスクューブロー!」


 だから! 美女のためってなに!


 光のライザは、隕石目掛け、低い体制からアッパーをする様に、右拳を振り抜くと。


 光り輝く竜巻が、拳から繰り出された。


 ブォン! ゴゴォォォ!


 おぉ! まさに光のスクリュー!


「シルヴィ! ライザ団長すごいぞ! 手から竜巻がどばんって出たぞ! どばんって!」


「ほんとねジル! 死ぬかと思ったけど、あれなら破壊できるわよ、きっと! ねリザ!」


「あぁ、あれだけ巨大な竜巻ならば、きっと大丈夫だ。ぶつかるぞ!」


 ズガガガガガ! ドゴォォン! パラパラ……


 巨大な隕石を飲み込むように、光の竜巻が隕石を包み込むと、隕石を粉砕しカケラも残さず粉々にした。


 おぉ! 隕石が全て消し飛んだ!



(この力は……なんですか……わたくしの手が震えている……これは……恐怖……)


 マジェスティは、手に掴んだシルクハットを胸に押し当て潰すと、初めて感じる恐怖に震えていた。


 マジェスティとは違い騎士団は、歓声に沸いた。


「すごいすごいよ! 巨大な岩が跡形も残ってない! ライザ団長すごいです!」


「マジで殴り壊しやがった! ライザ団長まじすげぇな!」


「あれを殴り壊したと言っていいかは謎だけど、ライザ団長が凄いのは間違いないわね」



(確かに大岩破壊は、喜ばしいですが! なぜあの者を団長と……いえ! みなは、わざとではありません。嬉しいあまり混乱しているのです! だから、今は許しましょう。いまは!)


(みんなお願いだから気づいて。あれは、団長じゃないわよ)



「シルヴィ! やったぞ! エロ化身のライザ団長が! 胸ポヨヨンアッパーで! 岩粉砕したぞ!」


「ジル。変な名前つけないの。けどよかったわ。ねリザ」


「あぁ、さすがライザ団長だ。だが、あんな格好。魔法でも私は遠慮したいものだがな。ふっやはり私は、パンストが良いな」


(わたしも遠慮したいのですよ! リザ! 光の化身は強力な魔法だけど、分厚い衣服まで作ると魔力消費が激しいのです。第一あの光の化身は、私が出したものではありません!)


(私副団長だけど、逃げていいのかしら。あら? ライザ団長が小さく……私も同類ね。ごめんなさいライザ団長)



 みんなにライザ団長と呼ばれていた、光の巨人ライザは。


 みるみる小さくなり、本物のライザ団長と同じ背格好にまで、ちぢんでしまった。


 お、おぉ? なっ、なんだなんだ、ちっちゃくなっちゃったぞ! 


 まさか魔力切れか! いや、けど賢者の石で魔力は無限のはずだが。



 白銀は、慌てて光のライザに近寄り、周りに聞こえないように、小声で話した。


「ど……どうしたんだ? えと、光のライザ! 魔力切れか?」


 光のライザは、小声で話すことを瞬時に理解し、白銀の安全バケツの耳元で話した。


 そよ風のような吐息に、俺に押し当てられた胸が!


 ムフ! 作り物とは思えぬ、だ・ん・りょ・く! たまりませんなぁ、な!


「なんだと!」



「お、珍しく変態仮面が、なんか騒いでるぞ、シルヴィ」


「そうね。ジル。ライザ団長が小さくなってから、コソコソしてるわね。何かあったのかしら?」



「ですからマスター。残念ですが、あの者に勝つすべは私にはありません」


「なぜだ! そんなに強いだろうが! お前!」


「マスターが私を召喚するさい。心の奥底で『魔王配下とか……勝てんのかな、やっぱり倒せないかな』と、弱気になったので、私はあの者に対しては攻撃自体ができません」


 そんなバカな……


「私には、マスターの死にたくないと強く願ったことで得た、最強の防御があるくらいです」


 な……なんてことだ! 俺の逃げ腰の願望が、願ってもいないのに、勝手に叶ってしまったのか……



 願ってもないのに、無意識に叶うなら。


 何しても、魔王配下には効かないんじゃ……



 白銀こと主人公ユーリは、自分のスキル願望の最大の欠点。


 願望は、考えたもの以外までも、叶えてしまうことだと気がつき。


 魔王配下マジェスティを殺せると、心の底から願うなんて無理なんじゃ、と絶望してしまった。

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