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第50話 シャドー消滅 光の巨人ライザ!

「さすがは古代の英雄白銀殿ですな『幻影の刀』の能力を瞬時に見極め防ぐとは。ですが、動きは見るに耐えませんでしたね」


 うるせぇ。こっちは生き残るのに必死なんだよ! 防げただけでも奇跡だぞ!


 白銀は、シャドーの持つ刀に視線を移した。


 あれが幻影の刀、今伸びた刀だよな。


 ぽとっ。ドシャッ!


 なんだ? シャドーが幻影の刀を落として膝から崩れ落ちた?


「それにしても、まさか初級魔法のファイアボールで、わたくしのシャドーを倒してしまうとは、やはりシャドーに任せ様子を見ておいて、正解でした」


 なに!


 魔王配下マジェスティは、シャドーの落とした幻影の刀を拾い白銀を見た。


「人族は肉体の老化から逃れられぬ悲しい定めを背負っていますが。精神という名の魔力は、老いる程に増すのですね。昔の魔力とは桁違いですな白銀殿」


「ジジイとしか言われていない気はするが、め言葉として受け取るとしよう。マジェスティ」


 なんか知らんが、シャドー倒したぞ?


 お! 騎士団が騒いでるな、解説するだろうから、盗み聞きして俺も理解するか。


「おいおいシルヴィ! 何がどうなってるんだよ!」


「私にだってわからないわよ! ジル! ライザ団長? 何かわかりませんか?」


「そうですね。推測でしかありませんが、シャドーのミラーヴェールに、聖剣で亀裂が入り、聖剣から出る炎を逆噴射した事で。ミラーヴェールの亀裂から炎が侵入し、シャドーを焼き殺した、といったところでしょうか?」



「ですがライザ団長! 見た目は変化してましたが、白銀様が使ったのは初級魔法ですよ!」


「私も信じられませんが。他に説明がつかないんですよシルヴィ」


「そうですね。英雄なだけありますね」



 なるほど。そうだったのか。


 ん? 拍手のおと?


 パチパチ。


「完璧な解説ですよ。団長殿」


 俺も心の中で、感謝の拍手をしておこう。


 解説をありがとう。ライザ団長。パチパチ。



「では、シャドーの死体から魔力を回収しておきましょう。惑わしの鎧を脱ぎ捨て、真実の姿となり、むくろにかえりなさいシャドー」


 マジェスティは、呪文を唱えると、パチンと指を鳴らした。


 マジェスティの分身シャドーは、バシャンと黒い液体になり。


 シャドーのいた地面には、人の死体が横たわっていた。


「な!」


 あれは! 人の死体!


「これは失礼白銀殿。お忘れでしたか。私のシャドーは、生贄を使う事で、わたくしの能力をコピーした分身を作り出せるのですよ。無論、力は弱いですが」


 分身するたびに、生贄がいるのか……


 うぷ! 骨見えてるし! 距離あるのに、風に乗って、腐敗臭がヤベェ!


 だが、今のキャラを崩す訳にはいかん! 耐えて話すか。


「そうだったな。ところで、死体は変わった服を着ているが、この町の人か?」


「町の人かはわかりませんが。この町にくる途中、襲われましたので、返り討ちにし、わたくしのマジックのタネに使わせていただきました」


「そうだったか」


 魔王配下襲うとか! どんな奴だよ! あぁあのホネか……


 まぁマジェスティは、見た目はマジシャンだからなぁ。

 魔王配下とは、わからないか。



 騎士団のみんなも、骨むき出しの死体を見て……引いてるだろ……あれ?


 クリス副団長、普通に双眼で死体を確認してる。


「ライザ団長。間違いありません、黒の装束に、骸骨の紋様です」


「そうですか、あの死体は、奴隷国家の住民で間違いありませんね」


 奴隷国家なんてあんのかよ! やべぇ世界だなここ。


(冒険者ギルドで眠らされた団員は、彼らにやられた可能性が高いですね。騎士に興味がないのなら、狙いは貴族だったのでしょう)


 ホネ見ても引かないんだなぁ、まぁ騎士団だしそんなもんか。


 今までの魔族が人を襲わない時代でも、人が人を殺す現場は見てるだろうから、慣れてるのかもな。


 まぁ、見学の2人は、俺の反応に近いから安心はしたが。



「おいおいまじかよシルヴィ! 人を生贄に魔法とかキモ! うわ! 半分ガイコツじゃないか! あれ! ん? シルヴィ?」


「みてない、みてない、骨なんて見てないわ」


「シルヴィちゃんは、なんで騎士団の見学してるんだ?」


「それはもちろん! 悪い人を導くためよ!」


「悪い人は、人殺すだろ」


「……そうならないように、みちびくのよ!」


「そりゃぁ、大変そうだな。がんばれよシルヴィ」


「ありがとうジル」



 さて、武器で戦うのは素人には無理だし、話をしながら、こっそり魔法を覚えるか。


「それが、勇者パーティーの武器かマジェスティ」


「えぇ、これはですね。勇者パーティー……名前は忘れてしまいましたが。細身の彼の武器が、わたくしにピッタリでしたので、死後貰うことにしたのですよ」


 勇者パーティーで名前を忘れるって! 暗殺者のアサシンくんか!


 ずっと戦ってきた奴らにも、名前忘れられてるのか! 悲しい奴だな。


「で、ピッタリとは?」


「この刀は『幻影の刀イリュージョンブレード』と言いましてね。魔力消費は激しいですが。ほらこの通り」


 げ! 刀身がウネウネと変化してハンマー、カマ、大剣、ゴブリン! 刀身が! 消えたのに、看板斬ったぞ! 刀身消して斬れるとか反則だろ……


 斬り合いで勝てる気はしないな。

 やはり魔法で戦うしかない!


「昔を思い出し剣を出したが。剣で戦うのは無茶だったようだ。ここからは、疲れはするが、体力の関係ない、魔法で戦うとしよう」


「構いませんよ。先程のファイアボールは流石の威力でしたからね。わたくしも、全力でお相手いたしましょう」


 ぜんりょく……いや、賢者の石の魔力なら勝てるはずだ! シャドーも倒せたんだし、やれるはずだ!



「でわ。こちらも魔法を使うといたしましょう。運命の歯車は、回り始め針先は私に、何を見せるのか『運命のマジシャンルーレット』」


 おぉ! なんかドラムロールが聞こえてきそうな、ルーレットが現れたぞ!


 絵柄は、岩? 稲妻? 悪魔? ガイコツ……いいのがないぞ。


「なんか楽しそうだぞシルヴィ!」


「ジル……あれは攻撃魔法なのよ。楽しいはずないでしょ」


「はぁ、そうだった。うぅ……」


 はっ! そうだった! ありがとうシルヴィさん!


 俺も早く魔法を使わないと!


 魔族なら光に弱いはずだ! 会話しながら、こっそり覚えた光魔法を使い。


 ライザ団長の魔法を真似て、形をイメージだ!


 俺の望む最高の肉体よ! あの素晴らしいボディを細部まで再現し! 降臨せよ! っぐ ジルがうるさくて集中できん。


「ぐごー、こんな事なら! 騎士団の見学なんかせずに、家のおけいこ、してればよかったぁ!」


「あんた、お稽古なんてしたことないでしょ」


「そうだったぁ!」


 ジル! そうだ、ジルのスキル効果付属も、真似できないかためそう。


 魔力と体力回復を付属して、傷ついた騎士団のみんなを回復し! 魔王配下倒せる強いやつを! 頼みます!


 最後は、魔力切れにならない様に、俺とは常に繋がってるイメージは必要だよな。


 よし! イメージは完璧だ! 俺の願望よ! 具現化せよ! 光の巨人! ライザ!


『ライティル』白銀の頭上には光の球体が現れた。


「明かり魔法ですか……こんどは、何をなさるのですか白銀殿」



「白銀様の魔法は、明かりを照らす魔法……ライザ団長どう思いますか?」


 クリス副団長に聞かれライザ団長は、腕を組み光を見つめ応えた。


「先程のファイアボールと同じように、違う魔法に変化するのでしょう」


「確かにそうですね。既にウネウネと動いて何やら人の形に近づきましたね」



「シルヴィ、なんかデカすぎじゃね。あの明かり魔法」


「そうね。ジル。白銀様の魔法は、形態を変化するみたいだから、何が発動するかわからないわね。リザ」


「ふっ。さすが英雄といったところか。だいぶ形が出来てきたぞ。あれは巨大な光の化身だな」


「おぉ! ほんとだなリザ。あの薄い服は、確かにエロい化身だな」


「変な言い方しないのジル。見た目ライザ団長なんだから……」



 ライザ団長は、体を震わせ、団員の前で怒りを爆発させないように。


 自身の姿をした、巨大な金の全身タイツ姿の光の化身ライザを見ていた。



 周りの団員は、コソコソと話していた。


「白銀様すごい……明かり魔法が、巨大なライザ団長に」


「しっ! 声でかいよ! ライザ団長に聞こえるだろ」


「あっ! ごめん」


 ぶちっ!


 ライザ団長の何かが切れた。



 白銀は、巨大な光の化身ライザのお尻の真下から、真上を眺めていた。


 さすが俺だ! 美女を具現化すれば細部まで完璧!! まぁライザ団長の下からのアングルなんて見たことないがな!


 グフフ。願望力の勝利だ! ズガン! グガハァ! バタン……


 白銀は、後頭部に強い衝撃をうけ、倒れた。

次は日曜日、更新予定です。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



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