第48話 泥酔イフリータ……zzz いでよ! ホネカリバー!
魔王配下ドクードを簡単に倒してたんだから、泥酔してても、呼べば倒せるだろ。
イフリータ召喚して、知り合いのユーリとバレるのは仕方ないが。
今すぐに、知り合いとバレて、騒がれても面倒だから、声は変えておくか。
「人の争いからは、距離を取ると決めていたですが。勇者が死んだ今、人の力では魔王に対抗できないでしょう。仕方がありません。自分が戦いましょう」
「では、あなたが、古代の英雄白銀様で間違いないのですか」
「マジェスティが言った通り、自分が白銀です。ライザ団長」
白銀と名乗った、ユーリの言葉に騎士団は、歓声を上げ喜びを爆発させた。
「本物の英雄さま! これでゴブリンの大群に集中できる!」
「そうだね。魔王配下と戦わなくていいなら、気持ち的にも楽だよ」
「うをぉぉぉ! シルヴィ! 助かったぞ!」
「安心するのは、まだ早いわよジル。けどよかったわ。ねリザ」
「ふん、私に任せておけば良いものを」
「何言ってんだよ。自慢の女王様スキル、魔王配下の帽子に防がれて、不発してたじゃないか!」
「……」
「はいはい、ジル。ケンカしないの」
……なんか皆盛り上がってるな。
別に、本物の白銀じゃないから罪悪感が、はんぱねぇんだが!
やべぇ、何だ! この無意味に上げられていく、プレッシャーは!
泥酔イフリータ負けたらどうしよう……
「では、白銀様」
「ん?」
「我らは、冒険者ギルド正面からくる、ゴブリンの大群を迎え撃つため、冒険者ギルド前に移動いたします」
「そうですか、ライザ団長気をつけてください」
「白銀様も、ご武運を、みな下がりますよ」
「はい!」
ライザ団長達は、冒険者ギルド前に移動し、戦いの準備をしながら。
白銀と魔王配下マジェスティの戦いを観戦する事にした。
当たり前だが……みんないっちゃった……
1人になると、途端に不安で押しつぶされそうになるなぁ。
「お話は、終わりましたか」
「あぁ、もう大丈夫だ」
「やはり白銀殿で間違いないようですね。白銀殿は、たまに仮面を変えていましたから、勘違いかとも思いましたが」
いや。だからって! バケツにガウンを白銀だと思うなよ!
お前のせいで、こうなってんだぞ!
一応それらしく、返事しとくか。
「そうでしたか。隠していたつもりでしたが。無意味だったようですな」
「隠していても、我ら魔族には、わかりますよ。体から滝のように、あふれ出る、その魔力! 見ているだけで、鳥肌が立ちますからね」
魔力! そんな物が、魔族には見えてるのか!
「ですが、昔ほど魔力の制御ができていませんね」
「実戦からは、退いていたのでね」
「そうでしたね」
魔族は魔力が見えるか。俺の魔力は、賢者の石だからなぁ。
そりゃぁ。英雄の魔力と間違えても仕方ないか。
それに、魔族は、人と交流がなかったからこそ、バケツを仮面と勘違いしたんだろうし。
まぁ仮面つけてる人なんて、珍しいだろうから、勘違いするのも無理ないか。
博識な副団長も、俺を白銀だと、どえらい間違いしやがったし。
ん? なんかジルが話してる?
「なぁ、シルヴィ、あの変態バケツとかいう、白銀さんは、どんな戦い方するんだ?」
「昔の戦いは記録が雑に残ってるだけだから、召喚獣で戦ったとか、魔法で戦ったくらいしか、知らないわよ」
「なんだよ、殆どわからないじゃんか」
「仕方ないでしょ! 最後の記録が500年前なんだから! 見てればわかるわよ!」
「へぇい」
なるほど、白銀の戦い方は、鮮明に残ってないのか。
まぁバケツ仮面を英雄と勘違いするほどだしな……
それなら人の姿した、召喚獣イフリータでも問題ない!
おっしゃぁ! ならば、イフリータ召喚して、魔王配下を瞬殺だぜ!
白銀は、名前を呼ぶだけで召喚してたと、副団長が話してたから、無詠唱で召喚しても問題ないみたいだが。
せっかく見せ場だし、それっぽいセリフは言いたいよなぁ。
まぁ俺じゃなくイフリータの見せ場だが。
イフリータは天界の青い炎が使えたんだから……
……これだ! 呪文は決まった!
前回と同じなら、名前を呼んだら空に魔法陣が現れて、頭上の魔法陣から、イフリータが召喚されて、俺を踏みつけるはずだ!
こんな大観衆の前で、メイドに踏み潰されるとか嫌だからな! 同じミスはしない! 召喚後は、素早く横に移動して回避だ!
魔王配下マジェスティは、白銀の表情の変化を見て話した。
「では、始めるといたしましょう白銀殿」
え! まだ召喚してないんだけど……
「白銀殿は、召喚が得意でしたね。わたくしも召喚には、自信がありますので、わたくしも召喚と致しましょう」
「マジェスティも召喚か」
てことは、召喚の邪魔はされないな! ラッキー!
「常闇《永久の暗闇》の城で、眠りし我が半身。目覚めなさい! シャドー!」
おぉ! マジェスティの影が、水溜りみたいになったら、伸びて、人の形になった!
影がマジェスティの姿に、あれはリザが倒した分身だな。
目の色が違う、本体は黒、シャドーはグレーか。
「あんな、まやかしに、私は騙されたのか……」
「まぁまぁリザ落ち込まないの、ライザ団長は助けたんだし! 大金星じゃないの!」
「ありがとうシルヴィ。今は落ち込んでいる場合ではないな! この怒りはゴブリンに、ぶつけるとしよう!」
「そのいきよ! リザ!」
「次はこちらの番だ」
いくぜ! イフリータ様召喚!!
「俺の魔力を食い、魔王をも灰とかす、天界の炎を、その身に宿し。太古の盟約に従い、深き眠り(泥酔)から目覚めよ! 炎神イフリート!」
頭上に魔法陣が出るから!
横に回避! そして上を見る!
「おぉ! シルヴィ! 召喚獣を自分の魔力で、炎の神にしたとか言ったぞ! すごくないか! 変態とかもう呼べないじゃんか!」
「そうね。白銀様じゃなくても、人に変態とか言ったらダメよジル。けど……おかしいわね。何も出ないみたいよ」
「なんだと! ほんとだな。どうなってるんだ?」
あれ……どこかな? 赤い魔法陣は? 空のどこにもないぞ? 地面にもない……
おいおいぃぃぃぃ!!! 何で呼べないんだよ!! イフリータ!!!
魔法陣どこだよ! うぅ、みんなの視線がいたい……
呪文なんて言わなきゃよかった……
「勇者様が現れてからは、白銀様の噂は消えてたから。もしかしたら、呪文で言ってた。太古の盟約が切れてるんじゃないかしら?」
いえ、シルヴィさん。適当言っただけなので、それは関係ないです。
今日イフリートと契約して、そこの宿屋で、ぐーすか寝てますから。
「おいおい、そんなんでよく、魔王配下と戦おうとしてるな」
「だから、あのような変質者! 信じる必要はないのだ!」
「リザ、私達は勝てないから、こっちにいるんだぞ」
「でわ! ジルは! あの者が、勝てるように見えるのか!」
「まぁ見えないですな」
ぐっ、小声で聞こえないように、召喚獣リスト出して確認するか。何かわかるかもしれない。
幸いマジェスティは、何も言わないし。
いや、白銀が召喚できないことに、驚いてるだけか……
「召喚獣リスト」お? なんか書いてる。
現在イフリータちゃんは泥酔、睡眠状態のため、受付はお休みしております。
御用の方は時間を改めて、召喚をお試し下さい。
コールセンターか!!
……やべぇよ! やべぇよ! まじやべぇよ!
イフリータ様、召喚できないとか殺されるだけじゃねぇか!
騎士団に泣きついても、騎士団も勝てないから俺が戦うわけだし! どうすんだよこれ!
ユーリの顔からは、バケツをひっくり返したような汗が、滝のように流れ出していた。
は! そうだ! 俺の召喚するのを、待てなくなってマジェスティが、攻撃してくるかもしれない!
抵抗するためにも、何か武器を出しとかないと!
先ずは手持ちで強い武器を出さないと。
冒険者ギルドで貰った、初期武器よりはホネになっても強いよな?
君に決めた! いでよ! ホネカリバーもとい。
「聖剣エクスカリバー!」
「なんですと!」
ふっマジェスティの驚いた顔、楽しみにしていたオヤツを、野良犬に盗まれた奴みたいに、間抜けな顔してるな。
まぁ当たり前だよなぁ聖剣だし。
おぉ、光の球体から黒い持ち手が出てる。
これを掴めばいいんだよなぁ。
震えるな俺! 先ずは武器を持つだけじゃないか。
ユーリが、汗ばむ手で、空中に浮かぶ、聖剣の持ち手を掴むと、白く輝きを失った聖剣が姿を表した。
ブンブン! ブォン!!
やはり! 羽より軽いから、軽々振り回せる! 重いだけの初期武器よりマシだ。
騎士団に顔がバレてる、イフリータを呼べなかったんだから、まだ俺がユーリだとはバレてないよな。
白銀として、クールに話すぜ!
「どうやら、ずっと召喚していなかった俺に、召喚獣が怒っているようだ。すまないが、召喚バトルは無理そうだ」
決まったぜ! 美女達の歓声がたまらない……ぜ……あれ?
「あれって、勇者様の白くなったエクスカリバーじゃ……」
「わかってたことだけど、勇者様は、本当に死んでしまったのね」
「あれが、全てを包み込む、青い海のように美しかった、聖剣の成れの果てですか……」
「ライザ団長……」
しまったぁぁぁ! とりあえず強い武器をって考えなしに出しちまった!
こんなの出したら、みんなの指揮が下がるだけじゃねぇか!
次は、土曜日なしで、日曜日 更新予定です。
1つの話を長々と読んでいただき、本当にありがとうございます。




