第47話 魔族の悲願 絶対的な力勇者一族からの解放 救世主古代の英雄白銀
勇者達の死にざまを見て、落ち込む騎士団に魔王配下のマジェスティは笑みを浮かべ話した。
「これにて、勇者達の幕は閉じられたのです。信じる信じないは好きにして構いませんが。勇者の死により勇者一族が受け継いできたスキル『勇者の宿命』は消え去ったのです」
勇者の宿命? そんなスキルがあるのか?
「魔族が人を襲い、貴方のような魔王配下までも、町に現れてしまってわ。勇者様の死、信じるしかありませんね」
「ライザ団長……」
「勇者様の死に涙されてるわ」
いや、あの涙は骨になったエクスカリバーを見たせいだろうな、たぶん。
「勇者一族が代々受け継ぐ勇者の宿命には、500年苦しめられましたからね。魔族、魔物は、スキル勇者の宿命を持つ者を殺さぬ限り、人族を決して攻撃できない。おぞましいスキルでした」
勇者カイザーそんなすげぇスキル受け継いでたのかよ!
それだけで英雄だったろうに、何で和解を断ったんだカイザー。
「けどさぁ。それっておかしくない? 勇者様は、私達人間にとって、すでに英雄だったと思うんだけど」
「それがどうしたのよジル?」
「だってさ、シルヴィ。さっきの勇者様が和解を断る時の話だと、和解されたら僕達が英雄になれないじゃないかって、言ってたけどさ。勇者様はずっと、私達人間の英雄だろ?」
ジル! 俺が言いたいことを代わりに、ありがとう!
「それもそうね」
「それは簡単な話ですよ、お嬢さん方」
「そうなのか?」
いや、ジルさん。あいて! 魔王配下だから! 友達と話すみたいに話すなよ!
「確かに本来ならば、存在だけで勇者一族は英雄だったでしょう」
ほんらいなら?
「ですが、500年という長い年月をかけ、勇者の存在に人々がなれてしまい。勇者は魔族、魔物から人々を守る存在ではなく。魔族、魔物を集める、自然現象のような、世界の常識になってしまったのですよ」
そうか。だからカイザーは、人々に自分を英雄と認めさせるために、魔王討伐を成し遂げようとしていたのか。
「人間が、勇者になれてしまったことで。勇者カイザーは、英雄に目が眩み、我ら魔族に殺され、死ぬことになったのです」
「そっか。確かに街で見かける勇者様は、人気はあったけど、英雄ってより、アイドルに近かったもんなシルヴィ」
「確かにそうねジル。騎士団のみんなも心当たりあるみたいだし」
「わたしサイン貰ったけど、そのせいかな」
「私は握手してもらった……」
確かにアイドルだな。
ん? ライザ団長が前に出てきた。
「それで、勇者様の死後、すぐに攻めてこなかったようですが。理由はあるのですか?」
「我々も、勇者カイザーを殺すまで、わかりませんでしたが。勇者のスキルは、勇者の死後1日は、効果が続くと、勇者を殺した時に、文字が浮かび上がりましてね。仕方ないので、次の日の夜を待つことになったのですよ」
「そうですか」
そうか。勇者カイザーが死んでも、スキルの効果が残ってたから。
俺が昼間、戦ったゴブリンや宝箱魔物は反撃してこなかったのか。
そして勇者カイザーが死んで、1日でスキルの効果が切れ、魔族達が人々を襲いだした。
魔族が、人を襲いだした姿から、騎士団は、知らないはずの勇者の死を、悟ったわけだな。
騎士団が勇者の死を知っていた謎が解けたな。
「確かに和解は、なくなりました。ですが、先に宣戦布告してきたのは魔族のはずです。なぜ、そうまでして我々と戦うのですか!」
ライザ団長? 勝ち目がないからか、魔王配下マジェスティを引かせようとでもしてるのかな?
まぁ、気持ちはわかるが、マジェスティ楽しそうにしてるから無理だろうな。
「確かに我々魔族が宣戦布告をしました。ですが、あなた方人間と違い、我々は抵抗する人間と戦いました」
「それがどうしたのです」
「勇者が現れ、我々魔族が人族を攻撃できないとわかると、血肉、皮、骨、体内の結晶、魔族の全てが金になるとわかると、人々は目の色を変え、我々魔族を一方的に虐殺してきました」
「それは……」
なんも言えないよな。
金目的で無抵抗の魔族を殺してたわけだし。
冒険者ギルドには、モンスター飯もあったからなぁ……食べてないが。
「ですから、魔王様は、仲間の死に心を痛め、人々との和解を我々に、呼びかけられたのです。そしてそれを勇者カイザーは断り死んだのですよ。人を殺せるとわかれば、和解に賛成していた魔族も、和解に反対して人を殺したいと言うのは、当然でしょう」
「くっ」
わかってたが、マジェスティを後退させるのは無理そうだな。
「まぁ私は、最初から人との和解など反対でしたので、和解を破談にしてくれた、勇者には感謝していますがね」
マジェスティがニタァと笑うと騎士団は構えた。
どうする! みんなやる気だ! てか話聞いてたら。
自然と騎士団の最前列にいるんだが!
何をすれば……
「おや、失礼いたしました。楽しみのあまり顔が緩んでしまいました。あなた方のお相手は、わたくしではございません」
「では、誰だと言うのです」
「まだ1時間はかかると思いますが。こちらに、ゴブリンの大群、1000体程が押し寄せておりますので」
「1000体!」
「おい! シルヴィ! 魔王配下だけでもやばいのに! 1000体もゴブリンとか、どうすんだよ!」
「ジル! 先ずは落ち着きましょう。スーハースーハー」
「で、どうするんだシルヴィ!」
「……何も思いつかないわ」
「だよな……」
みんな動揺してるな……
俺もどうしたもんか。
「戦意を失った者達を相手にしても、つまりませんからね。騎士団は、彼らにゆずるといたしましょう」
「言ってくれますね。でしたら、我らが奴らを倒すまで、マジェスティ。貴様は、手を出さぬというのか」
「そうですね。せっかくですから、ゲームをいたしましょう」
「ゲームだと……ふざけたことを」
「まぁまぁ簡単ですから。わたくしは、我ら魔族の宿敵、白銀殿と戦い。わたくしと白銀殿、勝った方が戦いに加勢するということで。さすれば加勢した方が勝つでしょう」
「白銀だと? 貴様、誰のことを言っている」
「おや、おかしいと思っていましたが。やはり名乗られていないのですか?『古代の英雄白銀殿』」
「古代の英雄白銀! そんな者どこに……」
ライザ団長は、辺りを見渡し、隣に立つ不思議な存在に目を見開いた。
(私を守るように隣に立つ、この者は確か。リザ達と共に、姿を表した者でしたね。では、あの時から我らを守っていたのですか。見た目はあれですが……)
おぉ! なんだなんだ。魔王配下マジェスティが気にするほどの奴がいるのか! どいつだ白銀! ん? んん???
なんか、視線が俺に集まってないか……
清楚な団員は、胸元で指を絡め、おがむように見渡し話した。
「この状況で、私達を勝利に導いてくださるお方。白銀様、どなたのことでしょうか?」
「あの人じゃないか? 白と銀の格好してるしさ。ライザ団長の隣で、私達を守るように先頭に立ってるし」
「いや、確かに気になってたけど、騎士団として……あれは捕まえるべき人でしょ。英雄とはとても……」
「頭にバケツ、白のガウン、変態さんですよね……」
……変態さん。騎士団の美少達の言葉と視線が刺すように痛いぜ。
てか、白銀じゃないですからね。
「古代の英雄白銀、白銀、はくぎん? はくぎんさん? ハクさん! あぁ!」
「何だよシルヴィ、大声で、変態バケツ仮面を指差したりしてぇ」
誰が変態仮面だジル!
「だ……だって英雄白銀さんってハクさんでしょ」
俺が……英雄白銀……シルヴィさん天使の困惑顔で何を言ってるのですか?
「いや、あれは、ただの変態バケツでしょ」
「けど白銀さんだから、ハクさんって名乗ったんでしょ?」
なぬ! シルヴィさん! 名前はガウンの色ですよ! あなたが言ったんですよ!
「まぁ、名前は一致するのかな? それに、それっぽい人は、どこにもいないし。けどさぁ……リザはどう思う?」
「あの者は、私の邪魔をした変態だ!」
「じゃま? は、よくわからないけど、普通は変態だよな」
何だこの展開は、これならまだ変態の方がマシなんだが……
どうなってんだよ! てか古代の英雄白銀って誰だよ!
「ちょっといいかしら?」
む! なんだ、クリス副団長が、疑いの眼差しで、舐め回すように俺を見てる?
そうか! 副会長風の知的な方だ! 俺が古代の英雄白銀じゃないと、わかったに違いない!
さぁ! どどんっと言って、やっちゃってください! 副会長さん! いや、クリス副団長様!
「確かに、私が読んだ英雄伝説シリーズに登場した方に、似ていますね」
あ、あれ? 博識な副団長様? なにを……
「勇者一族が現れるまで、全線で魔王軍と戦っていた英雄白銀様。白き衣をまとい、銀の仮面をつけ。名前を呼ぶだけで、全ての召喚獣を同時に召喚し」
名前を呼ぶだけで召喚獣を召喚!
「いくつもの災いから世界を救ったお方です。外見は一致しますし間違いないでしょう。書物の白銀様は、バケツではなかったですが、街中で仮面をつける方は滅多にいませんから」
のぉぉぉ! 何知的に的外れな解説してるのこの副団長は! なにドジっ子なのか!
確かに、街中でバケツ被ったり、仮面つける人は珍しいだろうけどさ!! だからって!
ジルの疑いの声が聞こえてきた。
「いやいや、そんな大昔の人が生きてるわけないじゃん。だろ? シルヴィ!」
「へ! まぁそうだけど、噂だと、英雄白銀様は、絶滅したはずの、長生きなハイエルフが実は生きていて。正体を隠して世界を守ってるんじゃないかって、言われてたから可能性は……リザはどう思う?」
「どう思うも何も、あれは、バケツを被った! ただの変質者であろう!」
「あなた達、今は、うたがっても仕方ないでしょう」
「ライザ団長」
ライザ団長が俺を見てる……この流れは、やばいやつだ!
「あなたが、何者かは存じません。ですが魔王配下マジェスティの言う白銀様ならば、我らに力をお貸しくださいませんか」
はぁ。やっぱりこうなるよな。
美女の真剣な表情! たまりません!
仕方ない。ドジっ子なクリス副団長の解説のおかげで!
イフリータの本当の名前! イフリートと呼べば、イフリータを召喚できるのを思い出せたからな!
泥酔イフリータでも強いはずだ!
それに、このままだと。どの道、殺されるだけだからな!
ここは、人肌脱いでやろうじゃねぇか! イフリータが!!
魔物が人間を襲わなかった理由書けました。
勇者のスキルは、勇者をなぜ魔物が狙うのか、魔物が町を襲わないのか、理由を作ってみたくて書きました。
これからの話は、勇者スキルないので、あんな無防備な町がなんで無事なんだよになりそうですが、お許しを。
やっと主人公の出番になりますが。今までより多分大雑把に書く事になると思います……
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。




