第46話 勇者達の死にざま 騎士団編
『今回の話は、勇者の死に様を一部コピーして使ってます』
げ! 魔王配下! 死んでねぇのかよ。
倒したのがシャドーってことは、影分身みたいなものか?
リザは、すぐさま目を紅く光らせ。
女王様スキルを発動し魔王配下の目を見た。
魔王配下マジシャンは、シルクハットを手で押さえ下に下げ目を隠した。
「申し訳ありませんが、貴方の目は見ませんよ。先程の戦いは、シャドーを通して見ていましたから」
「くっ」
「土を食べさせられたあげく、足を舐めるなどしたくありませんからね(シャドーは感覚もありましたから、やったもおなじですがね……それより彼を見ておきましょう)」
なんだ? 魔王配下が周りを見てるが何か探してるのか?
(シャドーが気にしていましたが。銀の仮面をかぶり、全身を白き羽で覆われた者。人族に、銀の仮面をかぶる者は彼以外いませんでしたし。白銀殿で間違いないでしょう。見た目は、昔と少々変わりましたが。あのあふれ出る魔力、昔より多くなっていますね)
白銀と呼ばれるユーリは、宿屋の影から、こそこそと見ていた。
な、なんか……眼があったんだが。こっちみんな!
クソォ。せっかく倒せたと思ったのに!
(白銀殿は、動きがないようですから、まずは、昔から厄介でした、チェンジスキルを封印しておきましょう)
マジシャンは、呪文を唱えた。
「惑わしの鏡よ、我を覆い隠し、弱き人間達の目を狂わせなさい」
『幻影の鏡ミラーヴェール』
なんだ? 魔王配下の周りの視界がゆがんだように見えたが?
何も変化がないぞ?
「何をしたかは、わかりませんが。すぐに退場願いますよ」
お! チートスキル、物々交換持ちの副会長こと、クリス副団長様! あのイカした帽子とファイアボールを交換して頭を燃やしてやってください!
チェンジスキルは触れているものも、一緒に移動してしまうことを、ユーリは知らなかった。
(辺りには、ジルの魔法で降り注がれた、光の粒が大量にありますから、チェンジする対象には困りません。まずは魔王配下の顔近くにある光の粒とチェンジしましょう)
クリス副団長は、騎士団の先頭に立ち、魔法を発動した。
『聖なる十字の鎖セイクリッドクロス・チェーン』
おぉ! クリス副団長の頭上に、十字に光輝く巨大な物体!
十字の物体には白い鎖が巻かれてる。
あれで拘束でもするのか?
他のみんなも準備してるし。大丈夫だ戦意は失ってない!
(この魔法は、かつて魔王配下を拘束したとも言われる魔法。強力ですが、欠点もあり。動きが遅いのに、直接ぶつける必要があります。ですが私のチェンジスキルならば、速度は問題ありません!「先ずは一撃! チェンジな! チェンジ……なぜ」)
クリス副団長の頭上にある魔法微動だにしないな? チェンジが物々交換だよな?
魔王配下は、笑ってる?
「不発のようですね」
「何をしたのですか」
「簡単なことですよ。チェンジスキルの特徴は、見た物を入れ替える厄介なスキルですが、欠点もあります。直接認識できなければ、発動すらできない。わたくしの周りには、先程発動した魔法で、鏡がありますが。人間には認識もできないでしょう」
「くっ、先程の戦いは、全て見ていたということですね」
「えぇ」
(これでは、ライザ団長との連携も使えませんね)
鏡? さっき視界がゆがんだのがそうか。
けど魔王配下の姿は見えてるから、ガラスに近いんだろうか?
げ! みんなの顔から戦意が失われてる! 出してた魔法も消滅してるし!
「そんな、クリス副団長のチェンジスキルを封印されるなんて」
「周りに鏡ってことは、直接攻撃も防がれるんじゃ……」
「おいおい! シルヴィ! 勝てる感じしないんだけど、どうすんだよ!」
「私家の洗濯物しまったかしら? ジル覚えてる?」
「なに! 現実逃避してんだよ! シルヴィ!」
ジルは、シルヴィの肩を持ち揺さぶっていた。
「まぁまぁ、みなさん落ち込まずとも、私は魔王様のしもべの中でも、紳士で通っておりますので、無闇に殺したりしませんよ」
「魔王配下の言うことなぞ。信用できるわけないであろう!」
クリス副団長と交代して、ライザ団長が大剣を持って先頭に立ったけど。
シャドーに、ライザ団長の大剣は防がれてたしダメだよな……
魔王配下は、特に警戒してないし……
イフリータ起こすために宿屋に戻ろうにも。
キッチリ宿屋のカギ閉めてんだよなぁ、宿屋のオーナー。
緊急時なんだからカギ閉め忘れろよ! オーナーのバカやろう!
「わたくしの分身シャドーは、不意打ちをされましたから、挨拶がまだでしたね。我が名は魔王様の忠実なるしもべ『マジェスティ・ロンリー』マジェスティとお呼び下さい」
「魔族に名乗るつもりはありませんでしたが。名乗られた以上、仕方ありません。私はセイクリッド・エヴァーガーデン団団長、ライザ・リューシアだ」
「これは、ご丁寧にライザ殿」
「でマジェスティとやらは、我らを殺しにきたのか」
「焦らずとも良いではないですか。せっかくですから、皆様が気になっているであろう。勇者達の最後でも、ご覧になられませんか」
「やはり! 勇者様は死んだのか!」
「そんなの信じない! きっとワナにはめられて、力を封印されたのよ」
「けど今までこんな事無かったし……」
「そうだけど……」
そりゃみんな騒ぐよな。
けど、やはりとか言ってるが。勇者が死んだの知ってたのか?
最初にあった魔王配下ドクードは、勇者達操って、王都の王様殺させるとか言ってたから。
みんな勇者達の死を知らないと思ってたんだが?
それに、勇者の力って何だ? 聖剣かな?
「力を封印ですか。勇者の力がそんな生易しいものなら、どんなに楽でしたか。あれほど強い者達の死、信じられないのも無理もありません。まぁ話すより見た方が早いでしょう」
魔王配下マジェスティは呪文を唱えた。
「『ダークミストメモリー』」
「黒い霧が集まって、光が消えてく」
「不気味な魔法……」
ドクードが使ったのと同じだな。
無数の黒い霧が上空に集まると巨大な固まりになり。
映像を映し出した。
「何あれ! 勇者様達が魔族に囲まれてるじゃん!」
「これじゃ勇者達でも無理だよね……」
「マジで死んだのかよ勇者達! シルヴィやばいよ!」
「け、けど勇者様は聖剣を持ってたから、数がいても問題ないと思うんだけど」
「そうだよなシルヴィ!」
「う、うん」
シルヴィさん……聖剣は使えないんですよ。
他と違って、ライザ団長、クリス副団長、リザは落ち着いて映像を見てるな。
映像はやっぱり、俺が見たのと同じだな。
マジェスティの視点だからか、角度が少し違うだけだな。
「わざわざ来てもらって、すまないな勇者達よ」
「いえ、構いませんよ。和解のお話でしたね」
「わかい! いまカイザー様わかいって言ったよね!」
「うん、和解だって」
「シルヴィ! 和解なら戦いが終わるぞ!」
「ジル……これは過去の記憶だから、和解は……たぶんできないわよ」
「がぁぁぁぁ! そうだったぁ! 飛んだぬか喜びじゃないか!」
「ジル静かにして、誰かが話すわ」
「ああ、反対する者も居たが、何とか説得できた。我々魔族も、やっと1つになれたのだ」
「そうですか。それはよかった」
「国々にも伝えてほしい。これからは人族と魔族、距離を取り、お互い干渉しないよう、契約を交わし和解をしたいと」
「なんだよシルヴィ。和解しそうじゃんか?」
「え、うん変ね? 和解するのかしら?」
「カイザー様がアップになったわ!」
「それは困るなぁ」
「カイザー様?」
「な! なぜだ! 勇者カイザー!」
「和解なんてされたらさぁ。僕達が英雄になれないじゃないかぁ」
「カイザー様……何言ってるの?」
「和解断るの勇者かよ! どうなってんだよシルヴィ!」
「私に聞かれても、わからないわよジル!」
「英雄ごっこですか、くだらん。若くして勇者になった代償ですね」
ライザ団長?
ライザ団長は、声を殺し近くにいた俺にしか聞こえないほどの声でつぶやいていた。
「そんなくだらん理由で」
「おい! カイザー! 何言ってるんだ!!! 和解は受けると言ってただろう」
「黙れ」
カイザーは隠し持っていた短剣で、召喚魔術師のユーリを刺した。
ザシュ
「ぐっ」
エクリアは動揺し動けなかった。
「何で……ウソよこんなの」
地面に倒れたユーリはカイザーの足を掴み。
「カイザー……やめろ……」
「うるさい! 血がつくだろうが!! 離せ!」
ザシュ! ザシュ!
「ガッ……」
倒れたユーリを刺し殺した。
「……ユーリなんで……カイザーこれで平和になるって喜んでたじゃない、なのに」
倒れたユーリに近づきエクリアは掠れた声で話していた。
「お前も邪魔だ。エクリア」
スパーン
「ぐっ……ユーリ……」
「おいおいシルヴィ、勇者様が仲間殺しまくってるんだが」
「え、うん。どうなってるのかな。はは」
「ありえない! 王都で見かけたら、毎回ぶつぶつ言ってて、練金街を、うろちょろと、気持ち悪かったユーリが、カイザー様に、かっこよく迫ったりしないはずよ!」
「そうだ、あの優しくカッコ良かった、勇者カイザー様が。ネクラで有名な召喚魔術師や美人なエクリア様を殺すなんて。ありえない!」
おぃ! 俺の体の持ち主だった! 召喚魔術師のユーリが! 評判すこぶる悪いんだが!
まぁ理由は、何となくわかるけどさ。仲間に殺される事や、ホムンクルス開発で頭の中いっぱいだったろうし。
「うそよ、こんなの! どうせあんたの、まやかしでしょ!」
「ゴブリンの襲撃、それにあなた方のケガを考えれば、まやかしでないのは、わかるでしょう。そうでしょう。団長さん」
「……今は、先を見ましょう」
「ライザ団長……」
「はい……ライザ団長」
「勇者カイザー貴様!!! 仲間をたやすく殺すのか!!」
周りの魔族達の声も聞こえてきた。
「あれで勇者かよ」
「ありえねぇよ」
「俺ら魔族より魔族じゃねぇか」
「ゴブゴブゴブブブ!」
「コボコボォ」
「黙れ!! ゴミども! もう話は終わりだ」
カイザーは、ユーリ、エクリアを殺した短剣を投げ捨てた。
「やばい! 聖剣の光に焼かれるぞ!!!」
「マズイ!!! 下級中級魔族は、避難だ急げ!!!」
「シルヴィ! 聖剣って言ったぞ! 私見るの初めてなんだが。一瞬にして魔族を灰に……」
ジルは、カイザーが仲間を殺したのを思い出したのか話すのを途中でやめた。
普通なら見せ場なんだがなぁ。
カイザー……
「あそこの岩の下だ!」
「コボボッ!」
「ゴブブゥ!!」
「コボォォ!!!」
コボルトが岩直前でコケると、ゴブリンが岩陰から飛び出し、コケたコボルトに肩を貸し急ぎ岩陰に避難した。
「カイザー様の顔が……あんなに優しかったのに」
「これが本当のカイザー様……」
みんな見たくないって感じだな。
少ししか話してない俺も同じだったから。当たり前だよな。
「今更逃げて何になる! 俺様が何のために、こんな芝居をしたと思ってんだ!」
「我々をまとめて殺すためか」
魔王は、可能性を考えていたように即答していた。
「さすが魔王様だ! 話が早くて助かるぜ。では『さようならだ、我が勇者一族の宿敵達よ』」
カイザーは和解のため『装備収納』に閉まっていた。
聖剣を取り出すため叫んだ。
「『聖剣エクスカリバー』」小さな光から剣の柄《持ち手》が現れ掴むと、身長程ある大剣が姿を見せた。
「な! なんだこれは」
「なぁシルヴィ。私、聖剣見た事ないんだけどさ。柄《持ちて》どす黒いし、剣身も聖剣ってよりさ。白いホネだよねあれ」
「私も直接は見た事は、ないんだけど、話では、青とか金だったはずよジル」
「やっぱり、まやかしよ!」
「でもそれなら、偽物にする必要なくない?」
「そうだよな……」
ライザ団長は、無言で涙を流し。
勇者カイザーの出した白骨化したエクスカリバーを見ていた。
「あれが聖剣……なんて姿に……」
ライザ団長が泣いてる……
聖剣が好きみたいだったからな。騎士団の宝武をエクスカリバーとか呼んでたくらいだし。
格闘家のエミリーは、への字口で慌てふためき、カイザーの肩を必死に揺さぶっていた。
「ど……どうなってんのよカイザー! 聖剣は聖剣はどうしたのよ」
「うるせぇ!!!」カイザーは肘でエミリーを突き飛ばし「きゃ」エミリーは地面に倒れ込んだ。
アサシンは全てを悟ったように腕を組み沈黙していた。
下級中級、魔族達が勇者達の喧嘩を聞き、隠れた場所から這い出てきて状況を理解した。
「あれが聖剣だとよ」
「勇者さまぁ! 早く終わりにしましょうよ!」
「『さようなら宿敵達よ!』聖剣にさよならされてんじゃねぇか!」
「聖剣は何処に忘れてきたのかなぁ? 勇者様ぁぁぁ」
「あの剣白い骨みてえだな」
「おいスケルトン、あれお前の骨じゃないか返してもらえよ」
「カコカコカコカコ」
「ゴブブゥゥゥ」
「コボッコボッ」
魔王は聖剣に変化がないか警戒をして話した。
「どうやら貴様の所業に、聖剣は愛想をつかしたようだな」
「だまれ! だまれ! だまれ! くそ聖剣さえあれば! こんな奴ら! 起きろよこの! 起きろ!!!」
カイザーは、子供のように怒鳴り散らしていた。
魔族達が勇者達を囲んだ。
「『勇者を殺せ! 勇者を殺せ! 勇者を殺せ! 勇者を殺せぇぇぇぇ!!!』」
エミリーは頭を抱え、座り込んでいた。
「いや、いやよ、死にたくない、死にたくない、こんなとこで死にたくない」
アサシンは沈黙のまま時が来るのを待っていた。
見えないところから、丁寧な口調の声が聞こえた。
「魔王様、この状況では和解は無理かと」
「ふぅ。そうだな」
「勇者を殺しても、よろしいですね」
「あぁ好きにするがよい。だがユーリとエクリアは、傷つけんようにな。2人は和解を望んでいたであろう」
「かしこまりました。魔王様」
「クソガァァァァァァ」
カイザーが雄叫びを上げ映像は終わった。
みんな肩を落としてるな、信頼していた勇者があれじゃぁ仕方ないけどさ。
にしても、やたらと魔王配下のマジェスティが俺を見てる気がするんだが、気のせいだよな。
次から前回のあらすじのみにします。
全体のあらすじは、活動報告に移動させます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。




