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第40話 不審な影 魔王配下マジシャン

 騎士団が、ゴブリンの群れを倒した頃。



 町の外には、マジシャンのような姿をした。

 細身の男が、町の様子を伺っていた。


「おやおや、今の時代の人間達も、捨てたものではありませんね。ゴブリンリーダーを容易く倒し。ゴブリンの群れまでも瞬殺ですか」


  高い所から、腕を組み笑顔で町を見ていたマジシャンは。

 顔を横に振り考えていた。



 ですが、昔の人間達の強さは、見る影もありませんね。

 まぁそれも仕方ありませんか。


 何しろ、この500年、勇者一族に頼りきり、安全安心な世界で、我ら魔族を一方的にぎゃくさつし!

 私服しふくやしてきたのですから。


 その報い、存分に味合わせて差し上げましょう。


「あの程度ならば、皆殺しにするのに、私1人でも問題はありませんからね」


 マジシャンは、組んでいた腕をやめると。

 両腕を、だらんと下ろし、ため息をつき。


 イフリータが殺した魔王配下、ドクードの事を考えていた。



 はぁ、それにしても。

 操るアサシンが死んだから、様子を見に行くと言うから、転移魔法の途中で下ろしてもらって。

 帰りに連れて帰ってもらう、つもりでしたが。


 まさか転移魔法を使えるドクードさんが、殺されるとは思いませんでしたね。


 ですが、勇者達が死んだというのに、いったい誰に殺されたというのですか……



 マジシャンは、ハっとした表情で空を見上げ。


 ! まさか、勇者達の誰かが生きていたというのですか!……



 マジシャンは、すぐに落ち着きを取り戻した。


 いえ、それは、ありえません。


 わたくし含め、みなで勇者達の死体は確認しましたから。


 まぁですが、ドクードさんを殺した犯人探しは、簡単な話です。


 われらに牙剥く者ならば、正義感強い者でしょうからね。

 人々を殺していれば、勝手に彼方あちらから、現れることでしょう!


 マジシャンは、ハンカチを取り出し額の汗を拭った。


「ふぅ。それにしても、歩いて移動することが、こんなにも大変だとは思いませんでしたね」


 マジシャンは、ハンカチをポケットに入れて。

 イフリータが殺した、魔王配下ドクードのことを思い出していた。


 ダミ声でうるさい、ドクードさんは嫌いでしたが。

 いないと、それはそれで困りますね。


 魔王軍で唯一、転移魔法が使えるドクードさんが死んで。

 魔王軍による、総攻撃ができなくなりましたからね。



 それにしてもですよ、ドクードさんが死んだと連絡を寄越しておいて。


 あの中級魔族風情のベルディアさんは! 何を考えているのですか!


 マジシャンは怒りをあらわにし、地面を踏みしめると。

 ドクードが死んだと、連絡が来た時のことを思い出していた。



 ドクードがアサシンの死を、確認しに行くついでに。

 ドクードに、山まで転移してもらい散策していたマジシャンの脳裏に音が鳴った。


 ピッピッピーピピン!


「おや? ベルディアさんから『リンク通信』とは珍しいですね」


 マジシャンは、受けると意識すると。

 目の前に、メイド服を着た黒髪ポニーテールの女性が映し出されると、メイドのベルディアはお辞儀をした。


「どうかされましたか、ベルディアさん?」


「えぇ、コホン。ドクード様が亡くなられました。魔王様より、みな様に命令です。ただちに帰還せよ! 帰還せよ! との事です」


 マジシャンは、な! とした表情で目、口を見開き硬直していた。


「どうかなされましたか? へんじがないようですが? 貴方も死んだのですか?」


 メイドのベルディアは、人差し指を頬に当て、首を傾げ、返事しろ! と、相手を見下す目をしていた。



 マジシャンは、ハッとした表情になり慌てて話した。


「いえ、生きていますよ。見えているでしょう。ところでベルディアさん。確認なのですが」


「なんでしょうか?」


「ドクードさんが死んだというのは、間違い無いのですか?」


「はい。間違いございません」



 ベルディアの返答に、マジシャンは、冷や汗を流していた。


「ドクードさんが死にましたか。うるさい方でしたが、いったい誰に」


「そちらは現在調査中になるため、わかりかねます」



「そうですか。それで……ドクードさんに連れて来てもらった、わたくしは、どうやって帰るのですか?」


「帰還アイテムは、貴重ですので。歩いて帰ってくるのが無難と考えますが? どうかなされましたか?」


 メイドのベルディアは、首を傾げ、考えたらわかるだろと、マジシャンを見つめていた。



 マジシャンは両手を開き、腰の高さで、両手を上下にブンブンと振り抗議をした。


「どうかもなにもですねベルディアさん! ここから、どれだけあると思って、おられるのですか!」



「それは、存じ上げておりますが。移動アイテムは貴重ですので。そちらに送る事は出来ません。それでは、お早いお帰りをお待ちしております」


 メイドのベルディアは、深々と頭を下げた。


 ぶちっ!



「ちょ! ベルディアさん! ベルディアさん!……あんのあまぁ!!! 魔王様以外に興味ないからって! 勝手に切るんじゃありませんよ!」


 リンク通信は一方的に切られていた。



 そして現在マジシャンは、帰還を諦め。

 人を殺しに、ユーリのいる町に来ていた。


 本当にムカつく女ですね。



 マジシャンは、高い所から町を見て、人属襲撃作戦を思い出していた。


 魔王様は、人間を甘く見てはいけないと、常々おっしゃられて、おられました。


 人属との和解を諦め、人属を殺すと決めた時も魔王様は。


 勇者達の死体を操り、勇者に王を殺させ。


 その混乱を合図に、我ら魔王軍が全ての国々を襲撃する作戦を考えておられました。


 その作戦も、ドクードさんの死で不可能になりました。


 ですが、今の弱りきった人間どもならば。


 魔王様の部隊を総動員しなくとも、わたくし1人で壊滅できるでしょう!!


 見ていてください、魔王様!

 勇者のせいで、人々に脅えてしまった貴方様に! この世界を捧げてみせましょう。



 マジシャンは、ユーリのいる町を見て、不敵な笑みを浮かべた。


 手始めはゴブリン達が、先陣を切ったあの町から、ほうむって差し上げましょう!


 悪いですね皆さん。私1人で皆殺しにしてしまって。



 マジシャンは、ユーリのいる町に向かい歩き始めた。

評価、ブックマーク、感想ありがとうございます。


最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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