第34話 ライザ団長の素顔、戦い。新米冒険者ユーリは安全装備で観察する
イフリータ、エクリアに、ベッドから蹴り落とされ起きた俺は。
起きたついでに、トイレに行き帰ってきた。
「ふぅ。スッキリしたぜ。さぁて、二度寝だ!(ん? カーテンから光が差し込んでる? 外がやたら明るいが? まだ朝じゃないよな?)」
俺は夜中にもかかわらず、カーテンの隙間から差し込む光に疑問を抱き。
恐る恐るカーテンに手を伸ばし開けた。
シャ!「まぶし!」
まぶしさに、体を仰け反りながらも。
目元を手で隠しながら空を見上げた。
(光の球体が大量に浮いてる。なんだ? まさか祭りじゃ無いよな。リザ達そんなこと言ってなかったしなぁ?)
俺は窓から下を見た。
あれは……ライザ団長? 宿屋前の道に、ど真ん中に立って何してるんだ? あれ?
俺は薄いピンクの壁があることに気がついた。
「何だこれ? 窓ガラスがピンクなのかと思ったが違うな。薄くて透き通った、ピンクの壁があるぞ。触れて大丈夫かな?」
部屋にあったボールペンを持ち。
ドアノブの静電気を怖がる指の様に、慎重にペン先をピンクの壁に突き刺したが何も起こらなかったので。
そのまま窓を開けて恐る恐る頭を出した。
異世界は、夜に響く虫達の演奏がない。
静かな世界なんだと思っていた俺の耳に。
冷静ながらも大声で呼びかける。
女性の声が聞こえてきた。
「誰かいませんか! だれかぁ! いたら返事や物で音を出してくださぁい!」
「避難所は! 丘の上にある屋敷ですよぉ!」
俺は、あまりの衝撃に言葉を失った。
……避難だと!!! どうなってんだ……ん?
閑散とした道にライザ団長、以外の人影を見つけた。
あれは団員に連れられて走ってる人がいる。
避難場所は冒険者ギルド横の道か。
この宿屋の反対側だな。
窓から出ていた頭を宿屋内に入れると、外の声は聞こえなくなった。
これは……どう見てもイフリータの魔法だな。
避難を呼びかける声がうるさいから『消音魔法』を使ったわけか。
おかげでぐっすり! て! おかげで避難しそこねたわ!
俺は冷静になるため、落ち着いて窓の外を見た。
火の手は見えないってことは……
火事じゃ無いよな?
じゃあ敵がくるのか? ライザ団長がここに陣取ってるなら……
ここが! 最前線ってことか! やべぇじゃねぇか!
けど何がきてるんだ? 山賊か何かか?
何かわかるかと、団長を観察したが普通に立ってるだけだな。
まぁとりあえず、イフリータの魔法は団長には見えてないみたいだからいいか。
それに最強召喚獣イフリータがいるんだし。
今から下手に避難するより、ここにいた方が安全だよな。
てか、寝てるの起こしたら何されるか……
バサァ!「ひゃい!」
「むにゃ、ご主人様。また私の足で潰されたいのかしらぁ。むふふ……」
何だ寝言か……ゴクリ。
俺は、布団からエロく飛び出したイフリータの脚を布団に押し込んだ。
ふぅむ。
一応防災しとくか確かここにあれが、汚いが無いよりマシだよなぁ。
お! あったあった。
俺は、掃除用ロッカーからバケツを手に入れた。
装備収納から短刀を取り出し。
俺を守ってくれよ! 頑丈な安全バケツくん! とバケツに目、口、耳に斬り込みをした。
ギィ! ギィ! ギギ!
「できた!『安全バケツ!』どうかなぁ」
カポ。
取手が首にきて固定ベルトみたいで、丁度いいじゃねぇか! 即席にしては中々だな。
さてイフリータは大丈夫だろうが。
一応2人には枕とか乗せとくか。
「ふが!」
新人冒険者1日目の俺は、騎士団様の見学でもしてるかな。
さて、何がくるんだ?
俺は音を聞くため、バケツ頭を窓から外に出し。
音を消しているイフリータの消音魔法障壁の外に頭を出した。
ライザ団長なんか言ってるぞ?
「私が弱気になってはいけません! そうです! こんな時こそ気合いを入れましょう!」
団長が気合いを入れる程の奴らが来るのか! 一体なんだ……
すげぇ真剣な顔なんだが、何やる気だ?
「人々を守りし聖なる光よ! 一つに束なり! 我と共に邪悪を討ち滅ぼし勝利をもたらせ!『エクスカリバー!!!』ふふ、やはり、これをすると気合いが入りますね」
なんだと!!
俺はライザ団長の言葉に耳を疑った。
なぜなら俺の装備収納には、勇者カイザーの形見。
本物の骨になったエクスカリバーがあるからだ!
まさかこの世界には複数聖剣エクスカリバーがあるのか?
確かに、ライザ団長が持って楽しそうに眺めてる剣。
見た目はエクスカリバーのイメージなんだよな。
握りは金だし剣身も青いしなぁ。
俺が悩んでいると。
剣を眺めるライザ団長のつぶやきが聞こえてきた。
「やはり身が引き締まりますね。まぁ本物じゃないのが残念ですが仕方ありません」
やはり本物じゃないのか?
けど、ライザ団長1人で剣舞をしてるみたいに笑顔でポーズ取ってるぞ。
ライザ団長は綺麗だし、体のラインがはっきりわかる軽装だから、見ていたいんだが……
俺は見てはいけない物を見てるんじゃないのか……
だが! 見たい! 爪先を上げると、スカートからチラリとのぞかせる!
太ももからお尻の引き締まったラインがたまらん!
「は! や! せい! ふふ。む!!?」
「げ!」
俺は、ライザ団長の剣舞を舞う美しい姿をよく見ようと、窓から体を乗り出していたが。
見つかりそうになり、すぐさま宿屋内に避難した。
「……気のせいですか? 人影が見えた気がしましたが……ありえませんね。宿屋方面は、真っ先に避難を開始したエリアですから。避難が終わってないとすれば、冒険者ギルド正面の大通りエリアでしょう。それに……こんな姿誰かに見られたら……生きていけませんよ。ふふ」
つい隠れてしまったが。
あんなの見たなんてバレたら、あとで何言われるか。
まぁバケツ被ってるから、バレないだろうが……
しばらく隠れとくか。
ユーリが隠れてから数分後。
ゴブリン10体がライザ団長正面に現れた。
「きましたか。ゴブリンが楽しそうに町中を歩いているとは、信じ難い光景ですが……やはり勇者様達は……今は考えても仕方ありません。先ずは敵発見の合図を出しましょう」
ライザ団長は、呪文を唱え魔法を発動した。
「青閃光魔法」
ボン! パァァァァ!
「ん? 青い光? 始まったのか見ないと」
ライザ団長から避難した俺は。
窓からバケツ頭を出すと信じられない光景が飛び込んできた!
な! あれは! ゴブリン!!!
なんでだ! 今まで逃げるしかしてなかったのに。
町中を楽しそうに歩いてるぞ!
「ゴブブ! ゴブブ! ゴッブゴブゥ! ゴブブ! ゴブブ! ゴッブゴブゥ!」
俺が混乱していると、ライザ団長が動きを止めた。
私の固有スキルは『聖騎士』
邪悪なる魔力は無に帰すはずです……
魔物や魔族の攻撃は……いまだかつて受けた事はないので! 本当かどうかわかりませんが!
今はスキル説明を信じるしかありません!
いえですが……はぁ。
皆のスキルみたいに実験できれば。
こんな時に悩まなくて済んだんですが……
何だ? ライザ団長立ち止まったと思ったら。
手を胸に当てて、目瞑ってるけど何か詠唱でもしてるのか?
俺はライザ団長、正面のゴブリン10体に視線を向けた。
ゴブリン3体がファイアボールを発動したんだが!
大丈夫だよな?
俺はライザ団長が何かやるのだろうと黙って。
ライザ団長にファイアボールが近づくのを見ていたが。
ライザ団長は目を瞑り続けていた。
俺はたまらず声を出した!
「危ない!!」
ゴゴゴ!!!
「へ?!! きゃ!」
シュ……
ライザ団長の体が光ると聖騎士のスキルにより。
ゴブリンの魔法は消滅した。
おぉ! ライザ団長に当たった魔法が吸収されるように、しゅって消えたぞ! しゅって!!
団長のスキルかな? やっぱり団長だしいいスキル持ってるんだな……
つい声が出たがライザ団長、俺に気づいてないな。
ゴブリンの魔法の音で俺の声は聞こえなかったのかな?
「ふぅ! 驚きました! 目を開けたらファイアボールが目の前にありました。今まで魔物に攻撃された事がありませんでしたからね、うっかりしていました」
え……
「ですが! 不意を突かれはしましたが! 結果オーライです! やはり私に悪しき者の魔力は効かないようです! 向かってくる魔物相手は、初の実戦でしたが。スキル説明通りですね!」
……なんかライザ団長が、握り拳作ってすごい事言ってるんだが!!
けどライザ団長が初の実戦て事はやっぱり。
ゴブリン達が町にいて。
人を攻撃してるのは普通じゃないんだよな……
もしかしてイフリータ起こした方がいいのか?
俺がイフリータを起こそうか悩んでいると。
お! ライザ団長が剣を構えたぞ!
やるのか……いや戦えるのか……ライザ団長。
それに所詮はゴブリン。
いくら本能に目覚めたとはいえ。
横1列に5体並ぶとは。
あれでは切ってくださいと言ってるみたいではありませんか!
これならいけます!
タッ!
おぉ大剣持ってるのに速いな。
「やはり動きも遅いですね。町中で好き勝手は許しません! 先ずは5体一撃でもらいます!」
ライザ団長はゴブリンを5体まとめて。
真っ二つにしようと一気に距離をつめ、大剣を横になぎはらった。
ズザザ……ブォーン……
が、ゴブリン達は、ジャンプしたりしゃがんだりして軽々避けてしまった。
ライザ団長を笑う様にゴブリン達は言った。
「ごぶぶぅぅ」
ゴブリンって、弱いんじゃないのかよ!
てか! 昼間逃げるしかしてなかったのに!
何あれ忍者みたいに素早かったんだが!
てかライザ団長、ゴブリンの群れに突っ込んだから。
囲まれたんだが大丈夫だよな……
ゴブゥ!
ゴブリン詠唱もしてるし、武器も出したぞ!
何で動かないんだライザ団長!
遠いからわからんが、体プルプルしてるか?
ライザ団長は切りかかったまま固まり。
眉をピクピクさせていた。
「ぐ、まさか狙った5体全てに避けられるとは屈辱ですね……ですが! これで終わりです! 吹き飛べ!!」
『「地面破壊《クラシャーソード!》」』
ザシュ! ぼごぉぉぉん!!!
ゴブブゥ!
おぉ! 両手で地面に剣を突き立てたら!
ライザ団長の周囲が爆発してゴブリンが上に飛ばされたぞ!
『「回転切断」』
ズババババー……ドサ……ゴ……ブゥ……
「早かろうが! 浮かせれば関係ありません!」
おぉ! 打ち上げからの回転切りで。
ゴブリン10体まとめて粉砕した!
さすが団長様! かっこいい。
ライザ団長は肩を落とし深いため息をついていた。
「はぁ倒せはしましたが。まさかゴブリンに不意打ちをされるだけではなく。最初の攻撃を5体全部に避けられてしまうとは……みながいたら動揺を与えるところでした。1人でよかったです。本当に」
ライザ団長を見ていると。
ゴブリンやライザ団長の立っている地面の異変に気がついた。
パリン! パリン!
ライザ団長の足元と切ったゴブリンの死体。
青い結晶みたいになってるな。
技の効果か? ん? 青い光が空に上がってく?
ボン! パァァァ!
「敵を知らせる閃光! 敵が避難誘導部隊と遭遇しましたか。遊撃頼みましたよ副団長」
冒険者ギルド正面の住宅地近くか?
評価、ブックマーク、感想ありがとうございます。
今回は主人公視点を強めに書いてみました。
読みにくかったら申し訳ありません。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。




