第26話 宝箱モンスターミミックは、お持ち帰りです。
その宝箱は、モンスターだと言っても、エクリアは信じなかった。
「ふっ、そんなあからさまなウソに、騙されませんよぉ、ふんふんふぅん。おかしいですねぇ。こんなにも広いのに、何も見当たりませんねぇ?」
「当たり前だ! それは、そいつの腹の中だろうが!!!」
「ユーリは、しつこいですねぇ」
エクリアは、全開に開けられた。
ダンジョン最下層にありそうな、豪華な宝箱の中に上半身を突っ込み、スカートの中をガッツリ見せていた。
(普段ならラッキースケベとして美味しい展開なんだが「目の前で真っ二つに噛み切られても困るぞ」)
イフリータが不思議そうに。
「けど、あの宝箱に、歯は無いわよ」
「それは、多分だが。開いた宝箱の淵には、本来なら歯があるんじゃないか? 猫の爪みたいに、収納して歯を隠して、宝箱の中を覗き込んだ所を、歯を出し噛み付くんじゃないかな?」
「なるほどねぇ」
「ただエクリアのちんまりボディが、宝箱の淵に、乗っかっていても、宝箱はカタカタと動くだけで、食らいつく様子はないな」
「そうねぇ。私も記憶が殆ど残ってないから、攻撃してこない理由なんて覚えてないわね」
「やっぱりイフリータは、覚えてないか」
「えぇ。それにしても、せっかく歯を隠して宝箱に化けてるのに、間抜けなモンスターね」
「そうだな。舌が丸見えだからな」
宝箱魔物の中をあさるエクリアを、ミミックは宝箱の口を全開にし、必死に噛まないようにしていた。
宝箱魔物は、口を全開にしているが、ベロはエクリアに当たらない様に、全力で空に向け、ちぎれんばかりに伸ばしていた。
「あそこまで、攻撃してこない理由は気になるが、先ずは倒さないとな。イフリータがやるとエクリアも燃えるかな?」
イフリータは、指を加えて考える様に話した。
「そうねぇ。あそこまで密着してると、魔物だけを燃やす様に指定して燃やしても、絶対に燃えないとは約束できないわね」
「せっかくだしやってみるか」
エクリアが突然立ち上がると危ないので、ベロのゼロ距離まで近づき。
竜巻玉を発動し、薄く丸いノコギリをイメージして、伸び切ったベロを切り落とした。
バシュン! ドサッ! バァン! ダン! ドン! ペチン、ピチ……
「おし! 成功だ!」
イフリータは、不安げに言った。
「なれたものね……ご主人様」
舌を切り落とすと、宝箱魔物は動きを止めた。
俺の目の前には『1000スキルポイント』獲得と表示された。
「なにぃぃぃ!!!」
「きゃ! なによ! 突然大声出して! びっくりするじゃない! ちょっと、どうかしたの? ご主人様? 返事くらいしなさいよ」
俺は画面を出し確認した。
ほんとにスキルポイントが1000増えてやがる。
イフリータは、返事をしない俺が気になり、画面を覗き込んだ。
「何見てるのよ。あら、凄い増え方してるわね」
「あぁ……」
この状況は、考えられるとすれば。
宝箱に擬態できる、宝箱魔物は、隠れるのが上手くて。
滅多に倒されないから、成長して。
多くスキルポイントを持ってた、てことか? にしてもだ!
未だに死骸となった宝箱を、あさる天使のお尻を見て。
俺は釈然としなかった。
あれでも天使だから、幸運に愛されてるんだろうか。
だが! 俺が血みどろになって、1時間ゴブリン退治で稼いだのは、スキルポイント50だったのに!
このやろうは何もせず、一瞬で1000ポイント稼ぎやがった! 納得いかん! はぁ……解体するか。
俺は解体するために、ミミックの死骸を見た、が。
(腹……どこかわからねぇ。それに、他の部位も切れそうにないな、逆様にしてみるか)
先ずはエクリアを退けないとな。
「エクリア! エクリア! 宝箱逆様にしたら、中身全部出るんじゃないか」
「おぉ! そうですねぇ」
(ふっ。ちょろいな)
エクリアとミミックの死骸を持ち、逆様にし、ブンブンと力一杯振った。
「でぇろ! でぇろ! おぉたぁかぁらぁ!」
カランカラン、ミミックの死骸から『紫の結晶』が落ちた。
「むぅ、金目の物には見えませんねぇ」
「まぁ価値があるかは、冒険者ギルドでわかるさ」
「そうですかぁ。他にはなさそうですねぇ、見掛け倒しでしたかぁ」
スキルポイント1000を考えたら、見掛け倒しの豪華な宝箱じゃないが。
コイツに感謝するのは……嫌だったので黙っておいた。
「ふん、ふん、ふぅん」
紫の結晶は俺が預かり。
宝箱魔物の中を覗いてみた。
宝箱の中、壁のない何処までも続く暗黒空間だな。
これが胃袋でいいんだよな?
カンカン! 体は硬くて解体もできないし。
普通の魔法だと、燃えそうもないな。
せっかくだし、回収しとくか。
『ミミックの死骸をアイテム収納した』
次に、地面に横たわったミミックのベロを見て。
これは燃えそうだけど、モンスター素材ならレアかも知れないよな。
よし! ベロもついでだ!
『ミミックのベロに触りアイテム収納した』
エクリアはユーリから逃げる様に離れ。
「うぇ汚いですねぇ」
「汚いって、エクリアお前……」
「何ですか、そんな真剣な顔して」
「テメェの頭にも、ベロから垂れた、ヨダレがべっチョリついてるぞ」
「はぁ?」
エクリアは、頭を触った。ペチャ!
「はぎゃぁぁぁ! ギトギトヌメヌメの液体がぁぁぁ!! 私の純白の髪を脅かすなんて、許されませんよぉ! 何で言ってくれなかったんですかぁ! ユーリ!」
「いやいや、宝箱をモンスターじゃないって、お前が言ったんだろ」
「そんなの! 記憶にありませんよぉ! のぉぉぉ! 聖なる羽にまでぇ!」
「をい! 仕方ないな(水が必要ならエクリアの......手柄で増えたスキルポイントで、水魔法覚えれば魔力無限の俺なら、飲水には困らないから使わせてもらうか)」
レスターが置いて行った。
水筒でエクリアの頭と翼を洗った。
ザバァ
「ふぅ、スッキリです。天使の復活ですよ! 助かりましたよ! ユーリ!」
「はいはいよかったな。さ、暗くなる前に帰るぞ」
町に帰る道中、魔物には遭遇しなかったが。
青と銀の甲冑を着た騎士達が、町の方角から、こちらに向かって歩いてきた。
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