第23話 魔物は逃げる? 冒険者の基本アイテム回収
魔物が隠れる森に到着した。
町から森までの道中、魔物には遭遇しなかった。
森の中腹辺りの開けた場所で、ゴブリン達を見つけたが。
ゴブリン達は、祭りの様に櫓を作り、櫓を囲む様に食べ物が並べてあった。
俺は普通の魔物を見るのは初めてだったから、魔物を見ただけで驚いて、怪しまれない様に、心の準備をしていたから、冷静に見れていた。
(あれがゴブリンか。見た目はイメージ通り、緑の肌に小人だな)
興味はないが、ついて来ていたエクリアは、身を乗り出していた。
「なんだか、楽しそうですねぇ」
格闘家のレインは、説明する様に話した。
「楽しそうでも、あれは人里から盗んだ物だから、ほっとけないのよ」
「そうでしたかぁ。盗みはいけませんねぇ」
「わかってくれれば良いのよ。それじゃ! やるわよ皆! レスターお願い!」
レインの合図で戦闘が開始された。
大剣使いのレスターは戦い方も、むさ苦しかった。
「むぅん、むぅん、ふん! ふぅん! さぁ! ユーリくんも、一緒にやろうじゃないか!」
レスターは、ニッコリスマイルでポーズをし、歯を光らせ。
俺に手を差し出していた。
「いえ、俺は、魔法に慣れながら、アイテム回収してるので遠慮します」
「そうかい? 楽しいのになぁ。ゴブリンに筋肉を見せるの! むふぅん!! さぁ! 僕の汗できらめく、美しい筋肉に飛び込んでおいで! ゴブリン達!
『筋肉挑発《シャインマッスルむん!》』
この技は! 美しい筋肉の虜にし、何人たりとも、筋肉を無視できなくする、僕の為に作られた技さ!! 皆の視線は筋肉の物! はぁははははは」
(技までウザいんだよなぁ。多分あれ勝手に読んでるだけで、他に技名あるんだろうな)
俺はクルセイダーの技リストを確認した。
『フォースオブヴェール』
広範囲挑発
全身から聖なる力を放出し、周囲の敵を自身に集める。
(全然違うじゃねぇか! あの筋肉!!! まぁゴブリン達は、ゴブゴブ泣きながら、レスターに近づいてるし、技は発動してるんだろうな)
ゴブリン達を見ていると、足が勝手に動くのを、木、櫓、岩などに、しがみ付き、レスターの挑発から逃れ用と必死に抵抗していたが。
スパン、スパァーン「ごぶぶぅ!!!」
暗殺者のアルクが、次々と、ゴブリンの腕を斬り、挑発に抵抗できない様にしていた。
アルクはレスターの方に、ゴブリンを誘導しながら、倒した死体などは、俺の近くに集めていた。
死骸を一箇所に集めているのは、アイテム回収もあるが、最後に死骸を燃やすからでもある。
レインは、櫓がある、開けた場所から森に逃げ込んだ、ゴブリン達を見つけては、開けた場所に蹴り飛ばし、レスターの挑発範囲に入れていた。
「は! やぁ! 逃げるしか脳がないんだから! 大人しく蹴られなさい!」
中々のチームワークだ。
そして俺は、無詠唱魔法が使える事がバレない様に、適当に呪文を言って、火炎球を敵に当てる練習をしながら。
冒険者になるなら、必須のアイテム回収をしていた。
ゴブリンの腹を切り裂き! ザク、ブシャ!!
「うぉえ! 気持ち悪いし、薄目でぇっと、お! 結晶はこれか」
魔物の体内から、血がベットリとへばり付いた、水色の結晶を回収した。
結晶は魔物の種類、強さ、で色の濃さや色が違う。
俺は受付嬢のクレアさんが、言っていた事を思い出していた。
水の結晶は、粉末にしたら緊急時の飲水にできる、だったかな?
魔物の体内から取り出した結晶を見て。
(これは、確かに結晶を砕いて、水の代わりに飲みたいとは思わないな)
水色の結晶からは、血みどろの鉄の匂いと、魔物の悪臭が混じり合い。
俺の鼻は、粉砕されたと錯覚してしまい、嗅覚が麻痺しそうな程だ。
俺は、新人の宿命だ! と自分に言い聞かせ。
新しいゴブリンの解体を開始しようとすると、森の中から慌ただしい、悲鳴が聞こえた。
「きゃぁぁ!!! ちょっとぉ! 何なのよこれぇ!!! ゴブリンのくせにぃぃぃぃ! ふざけんじゃないわよ!」
悲鳴の方に視線を向けた!
(おぉ! これはこれは絶景絶景)
視線の先には、森に逃げ込んだゴブリンをボール遊びでもするかの様に、蹴り飛ばしていた、格闘家のレインが。
足首にツルが巻き付き、空高く宙吊りになっていた。
どうやら、ゴブリンの罠に捕まった様だ。
だが焦る必要はない。
何故ならゴブリン達は、罠を使うが、攻撃はしてこない。
罠、以外は逃げるだけのザコだ。
反撃してこない敵を殺すのは、一方的な虐殺だが。
魔物だし、人の物は盗むから仕方がない。
ただ、ゴブリンが攻撃してこない理由は。
この世界の常識らしく、聞くに聞けなかったから、不明だ。
冒険者ギルドのクレアさんが言っていた。
接近職は逃げ回る魔物に、攻撃を当てるのに苦労するとか言ってたのは、この事だったんだろうな。
確かにゴブリンは、小さいし、すばしっこいから、短剣で攻撃を当てるのは難しそうだな。
「ん? 何か変な風切り音が聞こえる!!! まさか! ゴブリンの攻撃! けどそんなはず!」
ヒュンヒュンヒュン! コン!「いて!」カランカラン。
「テテェェェ、なんだぁ? 小枝?」
どうやら、俺の頭に小枝が当たったようだ。
だが誰がこんな物を?
「なに! 黄昏てんのよ! ユーリ!!! さっさと助けなさいよ!」
(この声は絶賛絶景の眺めの、レインから救助のご指名?)
ゴブリンの罠で、宙吊りにされたレインは。
両手で短いスカートを抑え、逆様でユラユラと揺れていた。
(どうやら、吊るされた近くの木の小枝を爪先で、へし折り、俺の頭めがけて蹴り投げた様だ、どんなコントロールしてるんだ!)
俺は周りを確認した。
(ふぅむ。レスターもアルクも、逃げるゴブリンを倒すのに忙しいのか、仕方ないな。レインが吊るされた、周りの木は、細いから登るのは無理だな。ならここは、練習の成果を見せる時だな!)
レインに、助け方を伝えた。
レインの足首を拘束し宙吊りにしている、細長いツタを狙い。
火炎球を発動し、難なく当て、ツタを燃やすとツタは切れた。
「おっし! 一回で命中した!」
逆様で、宙吊りになっていたレインは。
クルッと回転し、片膝をつき着地すると、お礼を言って、ゴブリンに怒りをぶつけていた。
「この! 抵抗もできないゴミどもが! 悪知恵使ってんじゃないわよ!!!」
『脳天脚』
ズバン!「ゴブゥゥ」ドサ!
レインの技は名前の通り、脳天に踵落としだ。
あの技を見てると自分が脳天に、コンビニ袋を直撃して死んだ事を思い出すな。
ゴブリン退治を開始してから1時間で、新人支援クエストが完了した。
クエスト完了すると。
俺はレインに蹴り飛ばされ、大の字で倒れ空を見上げていた。
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