第19話 格闘家 お嬢様と背比べ?
冒険者になった俺は練習の為に、ギルド裏庭に来ていた。
裏庭は指導員が1人、壁には10の的があった。
受付のクレアさんが、指導員らしき人と話すと俺を呼んだ。
「この人は指導してくれるメリッサさんよ」
互いに挨拶を終えるとクレアさんは、急いで受付に戻った。
メリッサさんは、裏庭の簡単な説明を始めた。
「的は自動で補充されるし、壁は魔法で強化してあるから、壊れないので気にしなくていいですよ」
最後に、言い訳じゃないけどと、下を向きながら話した。
「ここに、人が少ないのはですね。私が、嫌われてるとかじゃなくてですね。練習するのなんて、初心者さんか。魔物退治は危ないとか危険だとか言われる。貴族の子供達が遊び代わりに、来るだけなんですよ! わかりましたか! わかりましたね!」
「え、あ、はい」
満足したみたいだな。変わった人みたいだ。
「よろしい! では練習するために、魔法を覚えましょうか。まず『魔法リスト』と言って下さい」
「『魔法リスト』」
ブゥン
空中に魔法の一覧とスキルポイントが表示された。
「おお、いろいろありますね。けど、殆ど黒字で覚えれませんよ」
「そうですよ。敵を倒して、スキルポイントを集める必要がありますから」
「ですよね」
「ですが。今は新人冒険者支援中なので、スキルポイント5貰えてるでしょ」
「本当だ。右上に5ってありました」
「これも支援中で、5ポイントで覚えられる、ファイアボールがありますから、覚えちゃってください」
俺はスキルポイント5で、ファイアボールを覚えた。
「これで、魔法が使えるんですか?」
「えぇ、これだけよ。簡単でしょ」
(おし! これで魔法が使えるんだな。あとで召喚獣リストも確認しないと)
ガチャ キィィ。
む? ドアが開いた! あれは!!
ドアを開けたのは、見惚れるほど綺麗な人で、彼女の肩までの金髪は、太陽の光で金色に輝いていた。
顔は男ぽさもあるが、上品な感じで美形だ!
だが、美しい容姿とは違い。
服は、あふれんばかりの、メロンおっぱいを隠すのみ、スカートは膝までで両サイドには、太ももまでのスリットがあり、足は裸足だ!
俺は、何となくだがわかっていた、彼女は格闘家なんだろう。
だか! わかっていてもエロく見えてしまう!
彼女は、メリッサさんに手を振り挨拶をした。
「メリッサさん、おはよう」
メリッサさんは、深々とお辞儀をし挨拶した。
「おはようございます。ルナフィリア様」
俺は、その光景に違和感を覚え見ていた。
「もぉ、やめてってばぁ、メリッサさん。私が貴族だからってぇ」
「そうですね。つい」
俺は、悲鳴のような大声をあげてしまった!
「ききききぞくぅぅぅ!!! あ! 様ですか。はは」
当たり前だが、酒場での貴族ごっことは訳が違う!
この人は、マジモンだ!!! 失礼な事したら、殺されたりするんじゃないだろうな。
とか考えていると、自然と体は凍えるように震えていた。
ルナフィリアは、俺の反応に嬉しそうしていた。
「なになに? あなた新人さん?」
俺は、体を震わせながら、深々とお辞儀をした。
「ははい、きょきょうから、冒険者しゃに、にゃりました。ユーリ・ディザアです、よろすくお願いいたします。ルナフィリアしゃま」
盛大に噛んでしまった。
俺は、お辞儀をしたまま、目線をルナに向けた。
ルナのほっぺたは、風船のように、ふくらんでいた。
終わった。これから拷問され、首を斬られるんだろうな。
「はぁ。私、貴族だからって、距離取られるの嫌いなのよねぇ」
俺は、地獄の底から生き返った様に、貴族様に嫌われないため! 力を振り絞り、全力で普通の挨拶をした。
「今日から冒険者になった、ユーリ・ディザアだ! よろしくな! ルナフィリア」
ルナフィリアは、体を揺らし満面の笑みで喜んでくれた。
「そうそう。これよこれ」
「はは(助かったぜ! 納得したようだな。エロい、とか見てたのバレてないよな。は!)
俺は、安心して気がついた。
ルナが喜ぶ度に、胸がバインバインとバウンドし、挑発してる様に揺れていた。
いかん! 目で追うんじゃない! バレたら殺される! 音や風の振動で、胸を感じるんだ! いや無理だな、ツッコんだら冷静になれた。
ルナは胸に手を当て話した。
「じゃあ、次は私ね。私はルナフィリア・クロノシアス。長いからルナでいいわよ」
「俺もユーリで構わない」
挨拶が終わるとルナは、俺の体を品定めをする様に見ていた。
「さっそく質問なんだけど、ユーリって身長、私と同じくらいよね?」
確かに背格好は似ているが。
「いくつかな? 何となくしかわからないな」
ご先祖様から貰ったフェイスチェンジポーションで、顔を作った時に全身は見たが、身長は書いてなかったからな。
「わからないのぉ? 仕方ないわねぇ、ちょっとまってね、えっとぉ」
(いやいやいやいや!!! ちょっとまてぇ!!!)
ルナは、ユーリに顔を近づけた。
顔が近い! 暖かな吐息が、口元を優しく撫でる様に、あたる!!! これはまずいだろ!
ルナの吐息、ほのかに香る、香水らしきフローラルの香りが、無抵抗の鼻を魅力してやがる!
そして! 押し当てられた暴力的な、む! ね! 挑発か、これは、挑発してるんだろ! そうなんだろ! ルナ!
ルナは、無邪気に身長を確認していた。
「とどかないなぁ」
俺達は正面向き合ってんだ! そりゃあ、あなたの胸が邪魔で背比べなんて、どう考えても無理だろ!
「ダメねぇ、わからないわ。これならどうかしら?」
ルナは、ユーリに抱き付いた。
むねが! 胸が俺の体に、押し当てられて! メロンおっぱいがメロンおっぱいが! ホットサンドみたいに潰れてやがる!
楽園だ! 楽園だよ! ありがとう神様ありがとう!
「あのルナ」
「なぁに、メリッサさん? 今忙しいんだけどぉ」
「えぇとですね。身長を調べるなら、背中合わせにした方がいいですよ」
「あぁなるほどぉ、さすがね。メリッサさん」
く、俺のパラダイスが短い楽園だったぜ。
俺の身長は、ルナとまったく同じだった。
「やっぱり! そうだと思ってたのよぉ、じゃあ私と同じで160cmよ。じゃぁ歳は13歳?」
「あぁ13歳だ」
歳は冒険者ギルドでわかっている。
「じゃあ同い年ね!」
な! に! 13歳であの胸なのか! いや、いなくはないか。
「貴族は、14歳までずっと屋敷で勉強やお稽古でしょ、だから同い年の友達って初めてなのよ」
「そうなのか」
「来年は14歳で、お父さんの許可も貰えたから、来年から学校に通えるのよ!」
「よかったな、ルナ」
「うん!」
ルナは、無邪気な表情で、はしゃいでいたが。
俺は友達と言われても、今日を過ぎたらルナとは、二度と会う機会はないだろうと考えていた。
何故なら町で聞いた話では、平民に学校はなく、家族や自分の為に働き、金を稼ぐ事になるからだ。
同い年でも、俺は貴族ではないし、この世界の人間でもなくホムンクルスだ、だから学校に行くことはない。
貴族のルナは理解していないのだろう。
平民と貴族の違いに、異世界人の俺も、全部は理解していないがな。
学校に行かないであろう俺に、気を遣ったのか。会話の途中で、メリッサさんが咳払いをした。
「ゴホン! ルナフィリア。喜ぶのはいいんだけど。そろそろユーリくんに、魔法の使い方を教えたいんだけど」
ルナは、頭に手をやり慌てていた。かわいい。
「へ? あ! ごめんなさい、私邪魔しちゃって。はは」
「それは別にいいんだけど、せっかくだから私の代わりに、ユーリくんに魔法を使うところを見せてくれるかしら? 私より体格が近い、ルナの方が参考になるだろうから」
ルナは、胸を揺らし気合いを入れた。
「わかったわ! 任せてメリッサさん!」
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