第18話 職業鑑定スライムフェアリー2
(何してんの! あなた達! てか! イフリータさん! あんた召喚獣でしょうが! 登録できるわけ!!!)
俺は、手を伸ばし止めようとしたが。
仕事が早いクレアさんは、イフリータが声を上げるなり、受付台に冒険者登録用の石板を置き、イフリータの手は石板の上に置かれていた。
イフリータの個人情報が表示された。
(なんで登録できるんだよ!)
イフリータ個人情報
出身地
アルムネ村
名前
イフリータ・アスール
年齢20歳
出身地が俺と同じ? じゃあこれは、ご先祖様のじゃなく、神様が決めた出身地ってことか?
それより! なんで、イフリータが年上なんだよ! どう見てもガキだろうが! つっても召喚獣だから、むしろ若すぎるんだが。
イフリータの固有スキルが表示された。
ギルガメッシュ
全ての武器を使いこなし、技の習得も不要! 全ての武技を極めた者。
クレアさんは、緊張したように話した。
「凄いの出たわね。ギルガメッシュって」
「凄すぎて酔いが覚めちまったよ」
「そく、騎士団長になれますよ。メイドさん」
(あんなに、うるさかった酔っ払い共が、敬意を払ってやがる、なんて力だギルガメッシュ!!)
「てか! スキル説明、凄すぎませんか! イフリータ! 俺にくれよ!!(このスキルがあれば! 俺の前衛職業がすぐに最強になる!)」
イフリータは小悪魔の様に笑い言った。
「ふふ、心配しなくても、私の全ては、ご主人様の物よ」
「いや、そんな事を誘う様に言われても、冗談だからな」
クレアさんは、笑顔で口に手を当て。
「やけちゃうわね」
「いえ、そんなんじゃないんで」
「ヒューヒュー」
「うるさいぞ! 酔っ払いども!!!」
「はいはい、次の人の邪魔になりますから、痴話喧嘩は外でお願いしますぅ」
「な! エクリア」
エクリアは、俺を押し除け、石板に手を置き個人情報情報が表示された。
出身地
アルムネ村
名前
エクリア・ニクス
年齢20歳
(お前も年上かよ!)
エクリアは、年上なのを自慢げに俺に視線を送り。
「ふ、お子ちゃまにはわからぬ、美酒を思う存分楽しめる証明ができたわけですねぇ」
「おめぇは酒が飲みたいだけだろ」
「ふ、お子ちゃまには、早いですからねぇ」
「ぐっ」
エクリアの固有スキルが表示された。
大天使
全ての回復魔法を習得。
回復魔法の威力が限界まで引き上げられ。
回復魔法では、魔力消費を必要としない。
「大天使ですかぁ。悪くないじゃないですか」
(こいつ、出るスキル自分で操作したんじゃないだろうな。いや、このダメダメな天使に、そんな事できないか)
立て続けに、激レアスキルを出しているからか、クレアさんも、酔っ払いも引いてるじゃねぇか!
「大天使、すごいわね。エクリアちゃん」
「ふふ、どうもです。良い響きですねぇ、大天使!!」
「これ、水飲んでんだっけ?」
「そうだぞ、味しないだろ」
「ほんとだぁ」
(なんだよあれ、酔っ払い壊れてるじゃねぇか! 病院行け!)
エクリアの結果が出たのを確認して。
イフリータは、スライムフェアリーの前で咳払いをした。
「コホン! ん、ん、ん! コホン」
「おや? イフリータさん、風邪ですか?」
「違うわよ!」
イフリータは、俺に見てもらいたいのか、チラチラと、こちらを見ているな。
俺が近づくと「なぁに、ご主人様見たいのかしら?」と話した。
「え、あぁ、うん(お前が呼んだんだろ! はここでは、禁句だな)」
イフリータが鑑定人形に触れると、崩れ落ち、人の姿になると、手に武器を大量に抱え、服はバニーガール看板には回復職業以外全部と書かれていた。
「おぉ、ほぼ全部か。けど回復系は、ダメなんだな(イフリータが攻撃の召喚獣だからかな?)よかったなイフリータ! おい?」
イフリータは、なぜか返事がなく体を震わせていた。
クレアさんは、声を震わせながら興奮していた。
「はは、立て続けにこれってやべえなおい!」
酔っ払いは、無言で壁見てるし、酒場のマスターのヒゲも興奮のしすぎで、疲れはて垂れ下がってるじゃねぇか!
イフリータは、まだ体を震わせてるな? ん? うごいた!
「あなた! なんで巨乳なのよ! 私に、この胸よこしなさいよ!!!」
なに、スライムフェアリーの胸、鷲掴みにしてんだ! イフリータ!
むにゅう!!!
俺の職業鑑定の時は板胸だった鑑定人形が、今は何故か、メロンおっぱいになってるから、気持ちはわかるが。
イフリータの指は胸に埋もれると、鑑定人形は砕け散った!!!
ボン! ビチャァ!! ビチャ ボタボタ。
「な! 何してんだ! イフリータ!」
鑑定人形は銀の液体になり店中に爆散した。
イフリータは両手で自分の胸を隠し、胸を気にしながら、俺に訴えるように言った。
「だ……だって、あいつが悪いのよ! わたしの、むねあんなに……私は、別に悪くないんだから!」
(こんな高そうなの弁償できねぇだろ。ここは、逃げるか!)
俺が心配そうに地面に落ちた、銀の残骸を見ていると。
優しい声でクレアさんが話した。
「心配しなくても大丈夫よ、簡単には壊れないから(つっても普通握って壊せるもんじゃねぇんだがなぁ。なんつぅ、馬鹿力だよあの子、さすがギルガメッシュだな)」
「そうですか。助かった」
「ふぅん、そうなの」
イフリータの頭を撫でておいた。
「むう、別に心配なんてしてないんだから!」
クレアさんの言う通り、スライムフェアリーは元通りになった。
エクリアが「私も、全部ですかねぇ」と鑑定人形に触れると。
フード付きローブに杖を持った姿になった。
他の職業に変化するんじゃないかと、様子を見ていたが、特に変化はなかった。
「なんでなんすかぁ! 納得いきませんよぉ!」
店中が安堵の声に包まれた。
「ひゅう、白魔道士だけかぁ」
「全部と回復職以外のあとだから、落ち着くなぁ」
「スキル! 大天使様は、こんな気配りもできるのかねぇ、さすがだ」
クレアさんは、エクリアに気を使い話した。
「えとだな、回復職は、病気も治せるから、本来なら騎士や貴族達が欲しいと騒ぐほど凄いんだぞ?」
エクリアに、クレアさんの声は聞こえていなかった。
「なんか、納得いきませんね。大天使の気分が台無しです! ホンアルで、飲み直しますかぁ!」
(ただのやけ酒だろ。ん?)
俺は時計に気がつき、まだ昼の10時だったので、この後の事を考えて、エクリアにノンアルにしておけと伝えた。
エクリアは、お年玉を親に奪われた子供の様に「どぅふぇぇぇ」と項垂れていたが。
俺がドスの利いた声で「おごらんぞ」と言うとエクリアは、何事もなかったかのように、酒場のカウンターに歩き出した。
「仕方ないですねぇ。ここは主催者様の言う事を聞きますかねぇ。マスター、ノンアルを!」
「まったく」
「じゃあ私も、ご主人様。またあとで」
2人がノンアルを飲みだしたので、クレアさんに練習する場所はないのか聞くと、ギルドの裏庭に案内された。
評価ありがとうございます。
イフリータスキル悩んだ結果ギルガメッシュにしました。
スキルにありなのかなぁと思いながら、武器複数使えるイメージだったのでギルガメッシュにしました。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。