第143話 団長招集命令!!
国王様は、平和的だったが。この数日後には、女狼族は、他領に侵攻する事になるからな。
平和的な解決は難しいか。
ん? 視界がゆがみだした。場面が切り替わるのか? ん? ちょっとまて! このまま夜まで見れるんじゃないのか! 期待してた夜のお風呂がみれないじゃないか!!!
ギィィィ……
ん、城を出たら、人が集まってる。な! 男を見ないと思っていたのに、なんだあの美女に囲まれた、金ピカ鎧の、イケメンベビーフェイスは!!!
「悪いね君たち話はこれで」
【はい、またお話しして下さい】
コツコツコツコツ。
「これは、ジャンヌ団長。任務お疲れ様でした」
「クライヴ団長も、任務お疲れ様です」
「いやいや、君ほどの任務はしていないさ。何しろ、失われた召喚獣フェンリルを、全世界に取り戻したのだからね。まさに英雄様だ」
「いえ、みなの協力のおかげです。わたしはなにも」
クソ、視界が、なんで最後に見るのが男の顔なんだよ! 風呂見たかったのに!!
ザァァァァ、ガチャガチャ、ゴト!
お? 切り替わった。ここは、ふろばか! まさか願望が!
「お? なんだよ新入り、団の集まりで、なに隠しながら脱いでやがんだ?」
ギュ!
「ちょ! グリードさん! やめてくださいよ! タオルを引っ張らないでください!!」
「こんなもんで、隠してんのがわりぃんだろうが!!」
ギュギュギュゥゥゥ!!
「ちょ! だれか! あ、だんちょう! 助けて下さい!!」
「ん、興味ないな。自分でなんとかしろ」
「そんなぁぁぁぁ」
「かんねんしろ!!」バサァァァ。
「うわぁぁぁぁ!!」
なんでいつも男湯なんだよ! 最後にイケメンベビーフェイスを見たせいかよ!!! あんのやろぉぉぉ。
シュウゥゥ、シュン!
カァン! カァン! カァン!【緊急事態、緊急事態、ただちに王都にいる全、団長は、集まって下さい! 繰り返します……
な、なんだ!! 場面が変わったと思ったら、鐘の音に、緊急事態!!
「団長の招集命令、いったい何が。とりあえず城に向かうとしましょう」
タッタッタッタッ
このタイミングで団長の招集命令って言ったら、女狼族の国からの侵略しかないよな。
「みな集まったか」
ん? これで全員? 団長は純白の騎士ジャンヌ、金の騎士イケメンベビーフェイス、黒と赤の服を着て、黒光りする黒タイツにショートパンツのクールクノイチを入れて3人だけか。
あのじいさんは団長じゃなく仕切ってる感じだからな。
他の団長は留守なのか?
ダァン!!!
「どうなっておるのだ! 女狼族の国王は、平和を望んでいたのではないのか! ジャンヌ団長!!」
「いえ、わたしにも、あの方がそのような」
「なにがそのようなだ!! げんに我が領地が侵略をうけたのだぞ!!」
「…………」
う、俺のせいでジャンヌ……
「そんなに、女性をせめるものではないよ。参謀殿」
「ですが。クライヴ団長、我々はジャンヌ団長の報告を信じ、殆どの部隊を、凶暴化したモンスターから街を守るため、討伐にあてているのです。この状況はあまりにも……うつてが……」
「だからだろ」
「それはどういう意味ですかな? クライヴ団長」
「相手の白銀は、うそかまことか、魔王の配下を殺した存在だ。もし本当ならば、嘘の記憶を、さも体験したように思わすくらい、簡単にできるだろうさ」
「では、我々はだまされたと」
「ジャンヌ団長。そんなものは、わからない。わかるのは平和を望むと言った者が、侵略した事実だけだ」
「そうですね。クライヴ団長。わたしが、見たものは、まぼろしだったのかもしれませんね。けど、本当に消えた者も【悪魔ガヴリエル】」
「ん? すまない。何か言ったかいジャンヌ団長? 最後声が小さくて聞こえなかったんだが」
「あ、いえ、何でもありません。クライヴ団長」
クソ、ジャンヌに嘘つきだと思われたじゃないか。クライヴとかいう、イケメンベビーフェイスめ! まぁ、今の状況では仕方ないよな。
「つまり、クライヴ団長が言いたいのは、こういう事ですかな? 報告を信じず、モンスターに襲われている街を見捨て、各地に散った部隊を、この王都に全て集結させなかった。国の責任であると」
「そうは言わないさ参謀殿。村はともかく、この国の街が失われ、国民が減れば、どの道、国は滅ぶのだからな」
「ピィピィとうるさいねあんた達」
「ネル団長」
クノイチ風の美人は、ネルというのか。
「簡単な話だろ。どんな相手だろうと、親玉を倒せば、戦いは終わるんだよ。なぁに、わたしが行ってきて、そんな奴の首切り落としてやるよ」
……足を机に乗せてる姿が、荒々しいが、見惚れていだんだが。なかなかに、キツイ人みたいだな。ネルは。
「そんな簡単な話ではないが。ネル団長の言う通り、身内でもめても仕方ありません」
「だろ、クライヴ」
「ですが。どうするのですか。数少ない部隊で」
「参謀殿の言う通り、数が少ない。しかも今回の作戦では、ジャンヌ団長は、使えません」
ん?
「なぜですか! クライヴ団長! 私も戦います!」
「理由は、簡単。ジャンヌ団長の報告と、相手の行動は完全に違う」
「なにが言いたいのです」
「あやつられてるとは、思ってはいません。あやつられているなら、国王はすでに殺されているでしょうから」
「……」
「ですが。白銀との戦いで、白銀に味方し、こちらに攻撃してこないとは、言いきれません」
ジャンヌに背中を任せるほどは、信じられないと言うことか。
「そうですね。仕方ありません」
「で、クライヴ団長。どうするのです」
「そうですね。資源を失うのは辛いですが、さいわい相手のすみかは、森に囲まれていますし、あぶらをまき、焼き殺すべきでしょう。数でせめるのは好きではないですが。贅沢は言えませんからね」
「森から逃げ出す者たちは、兵士達で、残らず殺すですか。相手の力が未知数ですから数を減らすのは問題ないとして、あとは大将の白銀をどうするかですな」
「えぇ、白銀だけは確実に仕留めたいですからね。私がやるしかありませんね」
「しかたないねぇ。クライヴが、親玉なら、私は、森を焼きながら、部下を殺す役かい」
「えぇ、森の中の方が、ネル団長は、戦いやすいでしょ」
「まぁ、あたしゃ、どっちでもいいけどさ、国を守るためならね」
「頼みましたよ。ネル団長」
「話は決まりですな。クライヴ団長が、白銀をおびき出し、その隙に、ネル団長が森を焼きながらの、殲滅作戦。数ではこちらが圧倒しているのです。必ず成功させますぞ!」
聞いてたとおり、火炙り、できたか。
クライヴ団長が、俺の相手になるんだよな。
金ピカで、この国ではめずらしい、男の団長か。
次は、水曜日、予定に変更します。
更新遅いのに、ブクマ、読んでくれて、ありがとうございます。