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第142話 玉座の間

 ギィィィ、ズシィィィン……


 おぉ、これが玉座の間か。


 イスに座ってるのが、この国の国王様だよな。ん、思ったより若いかな? 40歳とかだろうか? ダンディーな顔、体つきは普通だな。


 コツコツコツコツコツコツ、スッ。


 ん、視線が下がった。あぁ、ジャンヌが、国王様に、ひざまずいたのか。


「ジャンヌ。任務ご苦労だった。原因不明で召喚できなくなっていた、召喚獣フェンリルをよくぞ我が国に取り戻してくれた」


「いえ、国王陛下、我が部隊は何もできておりません。先行した部隊がすでに報告したとおり、女狼族の里を国にした、国王白銀殿が、不思議な力を使い、フェンリル神像しんぞうを、よみがえらせたのです」


「そんな事は陛下は、わかっているに決まっているでしょう。真面目もそこまでいくと、無能ですよ。ジャンヌ隊長」


「ウリエナさま……」


 お! タイトスカートが似合いそうな、メガネ美人!!


「あなたは陛下に、我が国の部隊が何もできないまま王都に帰ってきたのに、突然現れた小国があっさり問題を解決しましたと、国民に説明させるおつもりですか。そんな事もわからないほど無能ではないでしょう」


「それは……」


「あなたの手柄にしろと言っているのですよ。ジャンヌ隊長!」


「ですが。フェンリルを復活させたのは、白銀様です」


「はぁ、勇者が消えた今、国には数多くの英雄が必要なのですよ。それがたとえ、祭り上げられた、ただの飾り物だとしても、国民は冷静さを、たもてるのですよ」


「王都に着いた時、国民が異様なまでに、活気付かっきづいていたのは……」


「えぇ、あなたの活躍は、盛大せいだいに広めましたからね。うれしかったでしょう。他人の功績こうせきでも、英雄になった気分を味わえたのは。ふふふふふ」


「……………………」


 なんて女だ。



「ウリエナよ。その辺で良いではないか。真面目なのはジャンヌの良い所だ」


「かしこまりました。陛下が、そうおっしゃるのでしたら、わたくしは何もいいません」


 お、陛下は話が分かりそうだな。


「ジャンヌの言いたい事もわかる。だが、この国に、英雄が必要なのも事実なのだ。それはわかるなジャンヌ」


「はい、わかっております。陛下」


「それでだ。国王白銀殿の、てがらを貰う代わりに、我が国としては、女狼族の国の事は問題とはしない。それではどうかな。むろん、この事は、女狼族、国王、白銀殿にも、了解をとるつもりだ」


「たしかにそれでしたら、交換条件としては、申し分ないかと」


 なんだと!! じゃあぁ!! 侵略してなければ、国を作った事は、まるくおさまってたのか……なんて事だ。この話の数日後には侵略しちゃってるんだよ。


「まぁ本音の所はわからんが。ジャンヌの報告を聞いたかぎりでは、女狼族の者達は、戦うつもりはないとの報告であったからな。戦うつもりがないのであれば、わざわざ、戦闘民族の女郎族と事を構える必要はないだろう」


「はい、わたしもそう思います」


「それに、情報からして、国王白銀殿は、ライザ団長がそうぐうした、魔王の配下を殺した、古代の英雄白銀だろうからな。そんな化け物と、戦う意味がない」



「はい、わたしも国王様に同意いたします。あれほどの存在、敵意がないのであれば、手を出さない方が、よいと考えます」


「ふむ、ジャンヌならば、そういうと思っていた。例の物をこちらへ」


「はっ!」ガラガラ。


「陛下その純白の鎧は」


「フェンリル神像の調査を遂行し、誰の血も流さず、フェンリル神像の修復を完了。失われた召喚獣フェンリルを取り戻し、フェンリルを召喚できるようにした功績こうせきにより、ジャンヌダルクを団長に任命する。国民には無血の英雄と表向きは国民に発表する事になっている」


 なに!


「なっ! わたしが団長! いえ、それより無血もなにも、わたしたちはなにも」


「ジャンヌ団長その話は先程しましたよ。国民は英雄を、もとめているのです」


「くっ……承知いたしました」


「ありがとうジャンヌ団長。後の話は、こちらで進めるとしよう。ジャンヌ団長、任務本当にご苦労であった。下がってよいぞ」


「はっ! 了解いたしました」


 ギィィィ、ズシィィィン。


 えぇと、これって、やっぱり、話が問題なく進んでたのに、侵略した事で全部無かったことになるんだよな!! なぁぁぁぁ、せっかくの平和なくらしがぁぁぁぁぁ!!!

次は来週金曜日、予定です。


ブックマークありがとうございます。

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