第135話 話し合いはただ、したてにでるだけでは、うまくいかない。あめとムチが大事!
「さて、隣の領主と和解するためにも、全力でもてなさないとな」
「それで、マスター、ジェリーは何をすればいいでチィ?」
「そうだな。女狼族の里で、酒蔵を守ってる、光の化身のクーニャに連絡して、女狼族に酒と食料を、ネズミ族の村まで持って来てくれって、頼んでくれるか」
「わかりましたでチィ」
ほわんほわん!!
この世界には、テレビ電話みたいな魔法があるから便利だな。まぁ条件もあるから、誰でも使えるわけじゃないがな。
「すぐに持ってくるそうでチィ」
「そうか。じゃぁ次は、あの辺りの木を切ってくれ」
「わかったでチィ」ダダダ! ズダァァァァァァァァァァン、ドゴォォォォン! バキバキ……
「他のみんなは、手分けしてテーブル、イス、料理を大量に作るぞ」
【はぁぁぁい!!!】
「くる、こない、くる、こない、くる、こない!!」
「エクリア、聞きたい事があるんだけど」
「なんですかイフリータさん」
「会場の準備ができてから、ご主人様は、何をしているのかしら?」
「あぁ、あれはですねぇ。花占いと言ってですね。花びらをちぎって、未来を占うんですよ」
「へ! あれで、そんな事がわかるの!!」
「いえ、何の意味もない、おまじないですよ。花びらの数なんて、見た時から変わりませんからね」
「けど、あの花、花びらをちぎった、ところから、何度も花びらが、はえてきてるわよ」
「へ! ほんとうですね。気持ち悪いですね。たぶんあれは、花びらが、『領主はこない』で、終わるのがわかって、白銀の力で花びらが、はえてきて、無限花占いになったんでしょうね」
「なによそれ! とんだ力の無駄使いね」
「まったくです。あんな事ができるなら、お酒を無限にしてくれればいいんですよ」
「いいわね、それ。あら? なんか走ってくるわね」
「本当ですね、イフリータさん」
「チィ! チィ! チィ!」
「どうかしましたか」
ん、ジェリーが、あわてて走ってきたネズミ族と話してるな。
「マスター、どうやら願いが、かなったようです。この地の領主が、こちらに向かっているとの報告がありました」
「おぉ、本当かジェリー! 花占いも捨てたもんじゃないな!」
「おめでとうございます、マスター」
「あんなイカサマ占いで、あたったも何もあるわけないじゃないですか。まったく? おや? イフリータさん、花を持って何してるんですか」
「へ! いやねぇ、お昼からお酒が飲めないかなんて、占ってないわよ!」
「いえ、別にそんな事は、うたがってませんでしたが。パーティーですし、飲めるんじゃないですか」
「は! そうよね。そうだと思ったのよね」
まぁ、確かに酒は飲むが、暴れられても困るから、イフリータには、あまり飲まさないようにしないとな。
「さぁ! みんなお出迎えの準備をしろ!」
【はぁい!】
ガラガラガラガラ、ザザザザザァァァ、パカパカ。
「村まで来た馬車は2台か」
「みたいね。私が魔法で確認した千人の部隊は、遠くで待機したままね」
「そうか。ひとまずは、戦わなくてすみそうだが、そのままイフリータは、監視を続けてくれ」
「わかったけど、私が千人の部隊をボコボコにした方が早いんじゃないの? 相手も簡単に言いなり間違いなしよ!」
「いや、それだと戦争に、まっしぐらだから! 絶対やるなよ!」
「はぁ、わがままなご主人様なんだから、仕方ないわね」
どっちがだ。わがままで戦争されてたまるか。
お! 馬車の扉が開く。
ギィィィ、コツコツ。
おぉ、長い黒髪に、長い脚! 館の女主人って感じの美人さんだ!
隣の人はスーツが似合いそうな、ボーイッシュな女性。護衛といったところか。
「ルージュ様、少しお待ち下さい」
「仕方ないわね。好きになさい、リンク」
ん? 護衛のリンクが俺を見てる?
「ありがとうございます。ルージュ様。国王白銀様、我々は話し合いをするため、丸腰ではありませんが、できるかぎり無防備な姿できました」
「えぇ、領主ルージュ殿の配慮に感謝いたします」
「では! なぜそちらは『自慢のほこ』である! ドラゴンを下げないのですか!」
ん? ドラゴン? あぁ、普通にブルードラゴンと話してて、気が回らなかったな。
そうだよな、ドラゴンは俺が使役してると思われてるんだよな。そりゃみんな怖がるか。
けど、他の護衛も、おびえてるみたいだし、したてにですぎるのも、よくないよな。せっかくだ少し挑発しておくか。
「これは申し訳ありません。護衛殿を怖がらせるつもりはなかったのですが」
「きさま! だれが!」
「リンク。おやめなさい」
「申し訳ありません。ルージュ様」
「こちらも、言葉が悪かったですね。無礼をお許し下さい。ルージュ殿」
「いえ、問題はありませんよ。白銀様」
「ありがとうございます。ブルードラゴンは、すぐに下げましょう」
「助かります」
ブルードラゴンに下がってもらい、食事をしながら話し合いを始めた。
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