第130話 国をでかくすると、ご近所付き合いも必要になります!
さて、女狼族の里を支える資源集めは、クイーンとタヌヌに任せる事にしたし、次は里の出入り口を見に行くかな。
ザッザッザ。
ん、里の出入り口に居るのはエルザか?
「エルザ、こんな所に立って、何してるんだ?」
「おぉ、これはこれは、白銀殿、いい所に来るじゃないか!」
「ん? いいところ?」
なんだ、エルザの奴、妙に楽しそうだが。
「あぁ、ちょうど白銀殿を呼びに行こうと思っていたんだ」
「何があったんだエルザ?」
「それがだな、白銀殿。あちらの方角から、無数の人の憎悪を感じたのだ」
「ぞうおだと!! それは確かなのかエルザ!」
「あぁ間違いない。わたしは魔王の娘だからな。邪悪なものには、敏感なのだよ」
「そうだったな。けど、いったい何が」
ズガーン! ドゴーン!!
「なんだ! エルザの言っていた方角で、巨大な土煙が!」
「どうやら、はじまったようだな」
「なにがだエルザ!」
「戦いがだよ。白銀殿」
「たたかい! えぇと、あの辺りは確か、ネズミ族が居た村か! けど、それだと、うちの領地じゃないから、隣の領地で何かあったのか」
んん、隣の領地なら、助けに行った方がいいよな。
ご近所領主として、挨拶もしておきたいし、そうと決まったら、急いだ方がいいな。
戦いがあるかもしれないし、連れて行くのは、強くて移動能力が高いイフリータがいいか。
幸い今日は酔ってないはずだからな。
「エルザ、俺はイフリータと戦いの様子を見てくるから、エルザは念のため里のみんなに、警戒を強めるように伝えてくれ」
「わかった。任せてくれ白銀殿」ザッザッザ。
さて、早くしないと、死者が何人出るかわからないからな。
イフリータを探してる時間も勿体無し、仕方ないイフリータを召喚するか。
「我の従順なはずの! 紅蓮のメイドイフリート召喚!」
ブゥン!
やはり頭上に魔法陣、俺はまた乱暴なメイドに踏まれるのか。
「だれが、ちんちくりんな奴隷メイドですって! ご主人様!」
ドガ!「グガァ!」ズダァァン!
「いや、イフリータさん。誰もそんな事言ってないから」
「あら、へんね。ご主人様に呼ばれた時に、不快な魔力が流れてきたのだけど、気のせいだったのかしら?」
やばい、ちんちくりんとは思ってないのに……いや、考えた事はあるが。
今回は考えてないんだから、理不尽な理由でお仕置きされてたまるか!
「そうそう気のせいだよ、イフリータ。まだ昨日のお酒が残ってるんじゃないか?」
「お酒ねぇ。確かに昨日のお酒は美味しかったけど」
「いえ、イフリータさん! 騙されてはいけませんよ! わたしも確かに感じましたよ! ユーリの下心に満ちた、汚れたものを!!」
「あら、エクリアあなたも、いたの?」
「えぇ、なにやらイフリータさんと一緒に、光に巻き込まれたようでして、邪悪なる魔力に導かれ、気がついたら、ここに居ました」
「邪悪なる魔力って、召喚獣じゃない、お前にわかるのかよ。エクリア」
「とうぜんですよ! 見ての通りわたしは、天使ですから! 人の悪しき心を感じ取るなぞ、お祈りするより簡単ですよ!」
「そうだったな。お前は天使だもんな」
「ですです」
「それで、ご主人様が、悪しき魔力を使ってまで、私を呼んだのは、あれが原因かしら?」
ドゴォォォォン!!!
「あぁ、そうだ。隣の領地にある村が戦いになってるみたいなんだ」
「すごい、土煙に爆発ですねぇ。それに無数の人の憎悪や憎しみが、入り乱れていますよ」
天使だけあって、エクリアには、色々わかるみたいだな。
「ふぅ、モンスターが暴れる、こんな状況でも人は争わないといけないなんて、変わった生き物よね」
「まぁ、同感だが。隣の領地だからな、ほっておくわけにもいかないんだ! 頼めるかイフリータ」
「仕方ないわね。里にいてもお酒も飲めないんだし、ここは一つ! うさばらしと行きますか!」
「いや、あの、イフリータさん、ころしはだめだよ」
「ふふん、いったいどんな、おばかさんがいるのか今から楽しみで仕方ないわね!」
きいてねぇ! 酔ってなくてもダメなのかイフリータは。
「3人で行くなら、まずは足を呼ばないとダメよね」
【あし?】
「いえね。私が、この国を襲いそうなモンスターを適当に、殺してるのは話したでしょ」
「あぁ、そんな話してたな「襲われてから呼ばれると面倒だから、倒しといていいかしら、ご主人様」だったか?」
それは、国を守る意味では助かってるが、それがどうしたんだ?
「それが昨日、めずらしいのをみつけて、ちょうどペットにしたところなのよ」
【ペット?】
「ブルーいらっしゃい」
ズシィィィン!
「なんだ! このゆれは!」
「おぅふ! わたしのお胸もゆれましたよ!」
いや、今胸の話はいいから。
ズシィィィン!
「きたわねブルー」
「へ……」
「ほう。なかなかのイケメンモンスターですね」
「ブルーじゃねぇよ! ドラゴンじゃねぇか!」
「ふふ、なかなかでしょ、こんな所に居るなんてめずらしかったから、捕まえたのよ」
何してんだよこのメイドは、それより捕まえていいものなのか? ドラゴンって。
来週の水曜日予定です。
ブクマありがとうございます。
無事、スマホを新しくしました。
データもなんとか復元できたので、続きも書いていきますので、また読みに来てください。