第125話 ご近所さんの領民が平和ならば、わが領地の安定につながる!
あらすじ124話
女狼族の国王になった俺は、領地の村に、挨拶回りをする事になった。
フェンリルに乗り、村を見て回ることになり、最初に到着した村には、ウサギ耳の種族、ラヴィット族が住んでいた。
村には、モンスターが侵入していたが、ラヴィット族が力を合わせて撃退した。
村を出発しようとすると、ラヴィーナから、友達の村も助けてほしいと頼まれた。
ラヴィーナから話を聞くと、元々行く予定の村もあったが、他の領地の村もあった。
自分の領地の村を回るついでに、他の領地の村は、他の領主に恩を売るため、ついでに回る事にしたが。
護衛のクロエから、他の領地を回るのはかまわないが、余分に村を回るなら、村を守る警備部隊が足りなくなると言われてしまった。
フェンリルの速さなら、里に戻って、部隊の増援は、すぐに、できるとクロエが話していたが。
モンスターが人を襲い出してから、時間はたっているが、ラヴィーナの村がモンスターに襲われていたことを考えると。
他の村も、危ないと思って、他の手を使うことにした。
俺の体内にある賢者の石の力がスキル化した。願望スキルを使い、光の化身を作り出すことで、警備の人数を増やすことにした。
完璧にイメージを具現化するため、妄想をふくらませた。
警備をする女性ならば、やはり、りりしく、クール! だが、胸が大きいのがお悩みのクールガール! 腰は細く、脚はスラリと長く美しい!!
服装はやはり、婦警
《ふけい》さんをイメージしたはずだったが。
姿を表したのは、りりしい表情で、こちらをすんだ眼差しでみつめる、クールビューティーなバニーガールだった。
原因はすぐにわかった。辺りのラヴィット族のウサミミが、チラチラと見えていたから、ウサミミバニーガールを、無意識に願望してしまったようだ。
おのれのが願望が、おそろしくもあったが、ハイレグバニーガールに、よろこんでもいた。願望バンザイ。
だが、そんなバニーガールは、元々真面目な婦警さんをイメージしていたせいで、バニーガールの姿にお怒りのようで、創造主の俺に大剣をふりかざした!
真面目なクールガールだったので、適当な理由を言って、納得させた。
おぞましいほどの、まじめっ子で、助かった。
村の警備に、バニーガールのアウラを追加し、他の村に出発した。
俺は、女狼族の国王として、里の周囲の村に、挨拶回りをしていた。
最初に、ラヴィット族の村に向かい、村を守る警備部隊を残した。
ラヴィット族リーダー、ラヴィに頼まれ、他の領地にある、ラヴィの友達の村も、ついでに回る事にした。
ラヴィット族の村から近い事もあり、他の領地の村を次に回る事にした。
「白銀さん! 村が見えてきましたよ」
フェンリの見ている方を見ると、ラヴィット族の村と似た村が見えた。
「お、クロエの言ったとおり、ほんとに近いんだな」
「はい。ですが主人様。ここからは、他の領主の領地ですので、村とはいえ、油断は禁物です」
「そうだったな。クロエ」
数分後、村に到着したが。今回も誰も、村から出てこないな。
「フェンリ、ニオイで何かわからないか?」
「クンクン、クンクン! これは!」
「何かわかったのか。フェンリ!」
「そうですね。村の獣人のニオイで、ごまかしているようですが! わたしの鼻はごまかせませんよ!」
「主人様、ウルフの臭いが村中からいたします。戦いの準備をした方がよろしいかと」
「なに!」
「なぁぁぁぁ! クロエさん、それは、わたしのセリフですよ!」
「フェンリさん。申し訳ありません。時間がかかりそうでしたので。つい」
「はぁ、仕方ないですね。それで、白銀さん、これからどうしますか?」
「そうだな。このまま待っていても仕方ない。クロエ。村に入る準備をしてくれ」
「すでに、できております、主人様」
「へ?」
【いつでも突入できますよ! 白銀様】
いつの間にか、フェンリルの背中から、女狼族たちは降りて、隊列を作ってるな。
「まさか、わたしが鼻で探査をしている間に、準備をすませるとは、やりますね。クロエさん」
「これも、お仕事ですので」
「ふむ。準備ができているならば、村の調査を開始するとしよう」
【了解いたしました! 白銀様!】
村を調査すると、ウルフの、群れを見つけた。
「ウルフは、全部で30ですね。これならば問題はありません。主人様」
「そうか。ならよかった。だが、ウルフは何をしているんだ。家の壁に空いた小さな穴に、足を突っ込んでいるが。何かわかるかクロエ?」
「そうですね。おそらく家の中には、逃げ込んだ村人がいるのだと思うのですが、壁の小さい穴は、わかりませんね」
ぐるるるる。ガリガリ、ガリガリ。
「うぅぅぅぅぅぅ」
「どうしたフェンリ。体をゆらして、変な物でも食べたのか?」召喚獣でも、お腹悪くするのか?
「なんだか、わかんないけど、見てたら、わたしも、やりたくなりました!」
「ん、フェンリ? どこに行くんだ!」
ダッダッダ!
「みなさん! 何があるんですか! わたしにも、穴掘りさせてください!」
ガヴ? ワゥ! ワゥワゥワゥ! ワゥゥゥン! ダダダダダダ!!!
【おぉ、さすがは我らの神様。近づくだけでウルフを追い払うとは! 我らの出番はなくなりましたね】
「巨大なフェンリル様に、おびえてウルフは逃げ出しましたが……フェンリル様、残念ですが。あなたの巨大な足は、家の壁にあいた、小さな穴には、入りませんよ!」
「クロエ! ゆうちょうに話してる場合か! ここは、よその領地だぞ! あの家に村人が逃げ込んでるならやばいだろ!」
「はっ! 主人様の言う通りですね。ですがどうすれば。あ、言ってるそばから、壁の穴から、人影が」
「なに!」
「家壊さないでチー! 中には子供達もいるんだチー」
あ、ほんとだ。家の小さい穴から、小人が出てきた……けど。
「へ! ひと! ちょ! 急に止まれと言われても! 止まれませんってば! こなくそぉぉぉ!! ヒップブレーキ!」
ズザザー「わち! わちち! おしりが燃えてますってば!」
【チー! チーチー!】
フェンリは、正気に戻ったか。しかたない。村人を殺すわけにはいかん!
「フェンリル召喚!」
永久召喚しているフェンリルを召喚すれば、俺の真上に、再召喚することができる。
家のサイズまで巨大化した。フェンリルをだがな。
ヒュン!
【フェンリル様が消えた!】
成功したな。
シュパン。ズガァァン! プチン。
【白銀様!】
「あれ? へんですね? 止まれないと思ってたのに、突然空を飛んでた?」
「フェンリル様! はやく、小さくなってください! お尻の下に主人様が」
「へっ? わたしの下に、白銀さんが?」フェンリルは、小さくなった。
「あ、わたしの、しりタク《じめんのあな》に白銀さんが、いやぁ、あのぉ、大丈夫ですか?」
「う、ぐぅ」
【白銀様! ご無事ですか!】
「死んだと思ったが。フェンリルが、もふもふの毛玉で助かったみたいだな」
「いやぁ、どうもすみませんでした!」
「はぁ、もう暴走するなよ。フェンリ」
「ははは、どりょくはします」
しんようできんが。あきらめるしかないか。
みんなで巨大なフェンリルのあけた穴をうめ。
落ち着いたところで、村の代表の、モコナと話すことにした。
自分達が、隣村のラヴィット族から、友達の村を、見てきてほしいと頼まれてきた事を話した。
「そうでしたか。ラヴィには、感謝ですチー。みなさん。危ないところを助けていただき、ありがとう、でチー」
「いや、気にする事はない。こちらも、仲間の暴走で、驚かせてしまい申し訳ありません」
「はは、驚きはしましたが。助けてもらったし、気にしないチー」
ふむ。ハムスターのハムース族かと思ったが。どうやらこの村は、ネズミの村みたいだな。
「それで、モコナさん。気になっていたのだが」
「なんだチー?」
「家の大きさが、我ら人、向けに見えるのだが。モコナさん達の家でいいのだろうか?」
「そんなことでチか。この辺りの領主様は、人間なんだチー。だから村には、人間もくるんだチー」
「なるほど、それで、家は、人も入れるようにしてるんですね」
「そうなんだチー」
「主人様、準備ができました」
「ありがとう。クロエ」
「もう行く、でチか?」
「えぇ、我らには、役目がありますので」
「そうでチか……」
「一応、この村の領主殿が、村を守るため、動くまでは、我らの警備部隊を村に残しておきますので、安心してください」
「いいんでチか!」
「えぇ、隣の領主殿とは、仲良くしたいですからね」
「ありがとう、でチ!」
あとは、このままだと警備が足りないからな。この村にも光の化身を残しておくか。
村人と話しやすい方がいいから、今回は大人しく、褐色肌のネズミ族にしとくか。
「人の姿となり、村を守りし、番人となれ! ライティル」
「光の玉が……人になったチー。ふしぎですチー」
ふむ、今回は邪念がなかったからか。普通に成功したな。
「君の名は、ジェリーだ。この村を守ってもらいたい」
「かしこまりました。マスター」
素直すぎて怖いが、今までの光の化身の中では、性格から見た目まで全てイメージ通りに、具現化できたな。
「お見事です。主人様」
「世界には不思議な力が、あるもん、ですチー」
「それでは、我々はこれで失礼いたします」
【ありがとう、ですチー」
「マスター、かならずや、村をお守りします」
「あぁ、頼んだぞ。ジェリー」本当に素直な光の化身だな。
更新は来週、水曜日予定です。
更新遅いのに、ブクマありがとう。
領地の挨拶回りは、次で終わる予定です。
その次からは、女狼族の里の話になります。