第123話 周辺地域の安全第一!
あらすじ122話
女狼族の国王になった俺は、周辺の村に挨拶回りをする事になった。
フェンリルが速かったおかげで、村にはすぐに到着したが。
俺の護衛、クノイチメイド、クロエが村の異変に気がついた。
巨大なフェンリルが現れても、村から人が出てこず、村には変わったニオイに、いたるところに、黒いシミがあった。
村をしばらく歩くと、クロエがブラウンベアーを見つけて、身を隠した。
他に、ブラウンベアーの仲間はいないようだったが。
ブラウンベアーの周囲には、ウサミミの人が複数倒れていた。
村には、騎士団も冒険者ギルドも来ていない。
そんな状況では、村人が殺されるのも、当然だろう。
国王としての初仕事は、墓を作る事になりそうだ。
そんな事を考えていると、クロエの奇襲の準備ができていた。
クロエが奇襲をしようとすると、死んでいたウサミミの人が全員立ち上がり、ブラウンベアーを蹴り殺してしまった。
落ち着いたところで、姿を表し、話しかけると。
村に入る際に、小さくはなったものの、それでも巨大なフェンリルをみて、ラヴィット族は、全員気絶してしまった。
巨大なフェンリルを見て、気絶してしまったラヴィット族を、5分ほどして起こす事にした。
「ふむ、仕方ないが。他の村も心配だからな、起こすしかないか。クロエ頼めるか」
「かしこまりました。主人様」
サッ! ヒュンヒュン!
「……何してるんだ、ラヴィット族の鼻先にニンジン近づけて」
「いえ、声をかけるよりこの方が早いので」
ひょい!「バリバリ、カリカリカリ!」
「おぉ、本当におきたな」
「やっぱり寝起きは、ニンジンにかぎるラヴィ! あれ? けど、いつねたラヴィか? たしかブラウンベアーをみんなでたおして……キュイ?」
「コホン。時間があまりないので、起きたのならば、話をしたいのだが。よろしいかな。うさぎさん」
「ラヴィ! 人が増えてるラヴィ? はっ! 思い出したラヴィ! 巨大なオオカミは! あれ? いないラヴィね?」
「驚かせてもうしわけない。先程の巨大なオオカミは、わたしの連れだったのですが。誤解をまねいては困るので、さがらせました」
「そうだったラヴィか。それならよかったラヴィ。ところで、そんなオオカミを使役してる、あなたは、なにものラヴィ? 周りには女狼族の人もいるラヴィが?」
「こちらに、おられる、お方は。この辺り一体の領地を収める事になりました。女狼族、国王、白銀様でございます」
クロエが領地関係の書類を出して説明したが。やっぱりラヴィット族が騒ぎ出したな。
「キュイ? 女狼族に国王様ができたことも、おどろきラヴィが。この村が女狼族の領地になったラヴィか?」
「ラヴィヴィ! 私達は、領主様に捨てられたラヴィか!」
「そんなわけないラヴィ! 私達は頑張って、町にお野菜を献上してたんラヴィよ! 絶対うそラヴィ!」
【ラヴィィィィィ!】
あれ、なんかまずい雰囲気なんだが。
「まつラヴィ」
「なんだラヴィ! みんなで泣いてるラヴィよ!」
「いや、思い出してたんラヴィが、私達の村に領主様なんてきた事ないラヴィよ」
【ラヴィ!!】
「え、けど、おヒゲの人が挨拶に来たラヴィよ」
「あの人は、領主様の息子ラヴィよ」
「あれ? じゃあ、領主様には、会ったことないラヴィか?」
「キュイキュイ」
「コホン」ん、クロエ?
「我々の国王様は、皆様の暮らしを確認するために、自ら挨拶回りの最中になります!」
【ラヴィ!】
「それに、今の荒れた村を見てください」
【キュイ!】
「モンスターに、家は壊され、作物は食い荒らされ、夜な夜な徘徊するモンスターにおびえる日々に、前の領主、そして人間の国が何をしてくれたのですか!!!」
なんだ! クロエが、待ち合わせに、寝坊してきた子とは思えないほどの力説をしてるぞ!
「ラヴィ……たしかに、ずっと待ってたラヴィが。誰もこなかったラヴィ」
「どうするラヴィか?」
「ラヴィたちは、売られたラヴィよ。だからしたがったほうが、いいラヴィ」
まぁ確かに買ったようなものだが……
「見るのです! 我らの国王様を、前線に出向き、現場の状況を見て、警備が必要かを自らの目で確認しているのです!」
【ラヴィヴィ!】
いや、そんな事は俺はしてないんだが。全部ヴィルディースが決めたことだろ。
【ラヴィたちは、平和な暮らしをのぞみます! 新たなる国王、クロエ様!】
いや、国王クロエって。
「国王! い、いえ、わたしは国王でわ」
【クロエ様クロエ様クロエ様! ラヴィヴィヴィ!」
「あ、あの。ですから。主人様!」
「ふむ、問題はないでしょうし、ラヴィたちが、気がつくまで、そのままでかまいませんよ」
「主人様がそういうのでしたら。コホン! それでは、ラヴィット族の了解をとれましたので、ただいまより、我らが村の安全を約束します」
【ラヴィヴィ! クロエ様!】
「クロエ様……なにやら、ここちよいですね。はっ! いけません。私は主人様の警護のお役目があるのです。この様な誘惑には負けたりいたしません!」
全部、声に出てるぞクロエ。
「コホン。それでは、警護の者は、配置について下さい」
【了解いたしました!】
「これで安心ラヴィ」
落ち着いたみたいだし、リーダーのラヴィット族に話を聞いておくかな。
「私は白銀という者なのだが。聞きたい事があるのですが。よろしいかな?」
「白銀さん。私はラヴィット族の、ラヴィーナ。ラヴィでいいラヴィよ」
「ラヴィですね。わかりました」名前もラヴィなのか。
「聞きたいのは、村のあちこちに、黒いシミが地面に、あるのですが。これは血ではないのですか?」
「これは、香りの強い。果実ラヴィよ」
「果実。くだものだったんですね」
「そうラヴィ。モンスターは、鼻がいいラヴィから、村を果実の香りでいっぱいにして、ラヴィたちのニオイを消して、死んでるふりをしてたラヴィ」
「死んでるふりだと、狙われないのですか?」
「死体は、他のモンスターの獲物や罠だと思って、簡単には、食べないラヴィ」
「なるほど。死体の腐敗臭がしないのをごまかすために、果実のニオイを使ったんですね」
「そうラヴィよ」
なるほど、村は村で、モンスター相手に頑張ってるみたいだな。
けど他の村も無事とは限らないし、この村は、警護部隊に任せて、次に急ぐとするか。
「クロエ、フェンリ、次に行くぞ」
【はい!】
「待ってほしいラヴィ。国王様に、お願いがあるラヴィ」
「なんだ。ラヴィ?」って! クロエに話してんじゃないか!
「え、えと、なんでしょうか」
「国王様たちの話を聞いていたら、ラヴィたちの村だけじゃなく、他の村も人の国から、見捨てられていると思ったラヴィ」
「そうですね」
「間違いないだろうな」
「だからラヴィの友達が住む村も、助けてほしいラヴィ」
「どこの村ですか?」
クロエは、地図を出し、ラヴィから話を聞いた。
「これから行く村もありますが。他の領地も混ざっていますね。これ全てにお友達がいるのですか?」
「そうラヴィ! モンスターがあばれる前は、全てに、お野菜を売りに行っていたラヴィ」
「なるほど」
クロエが俺を見てるな。
他の領地の村も見捨てられて、騎士も冒険者ギルドも、助けに行ってないだろうから、確かに村は危ない状態だろうな。
行く村は、里の周囲を囲むようにある。
そして、他の領地の村は、里の左右に位置している。
女狼族、領地の村からも近いな。
ふむ、どうせなら、他の領地の村も助けて、他の領主に恩を売るのも悪くないか。
「ついでに助けるなら、いいんじゃないか」
「わかりました。主人様。ラヴィさん、約束はできませんが。他の村も見回りをいたしましょう」
「クロエ様! 白銀様。ありがとうラヴィ!」
来週の金曜日予定です。
他の村は、一つの村をのぞいて、話は長くない予定です。
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