第122話 人の国から見捨てられた村
あらすじ121話は、下に書いてます。
119話修正しました。
119話ラストに下の内容を書いていましたが。
話を変更してから、消すのを忘れていました。申し訳ありません。
ん? なんか人が二台を引いて、走ってくるな」
「そうだね。あの頭でブンブン動いてるのは、耳みたいだ」
「おぉ、あれはウサミミだな」さっき畑で話してた。ラヴィット族か。やっぱりウサギだったんだな。
あらすじ本文
女狼族の王の挨拶回りで、村を回るのに、一緒に行く奴を探したが、フェンリルのフェンリ以外は、一緒に行ってくれそうになかった。
あいつらは本当に仲間なんだろうか……と思いながら、里の出口に向かった。
里の出口では、村の警護部隊と合流し、馬車を里に残すため。
フェンリには、フェンリルになってもらい、村までフェンリルで、向かう事にした。
食料、日用品などを馬車で運ぶ者と馬車の護衛、以外は全員がフェンリルに乗り出発しようとすると、俺の護衛がまだ来ていないとヴィルディースに止められた。
待っていると、褐色肌で黒髪に、オオカミのような鋭い、ひとみ、クノイチ風のメイド服の、黒の豆柴みたいな子が歩いてきた。
彼女の名はクロエ、クロエの事をヴィルディースは、優秀だと言っているが、クロエが遅れた理由は、ただの寝坊だったようだ。
不安はあるが、フェンリルもいるし、とりあえず、新たな領地の村に、挨拶回りに行く事にした。
フェンリルになったフェンリに揺られながら、俺の護衛役クロエと話していた。
「それで、目的の村は近いのですか。クロエ」
「そうですね。馬車ならば、半日はかかる距離ですが、フェンリさんが速いので、もう見えていますよ。主人様」
「なに!」
ほんとだ、クロエが指差した先に、小さな村がある。
あれが俺の領地か。半日馬車は辛いし、フェンリルを連れてきて正解だったな。
ダッダッダ、ザザザザ!!
「到着しましたよ! みなさん!」
「ご苦労だったな。フェンリ」
「いえいえ、これくらいちょろいですよ」
【ありがとうございます! フェンリさん!】
「どういたしまして!」
「さて、挨拶回りを開始するかな」
「お待ちください、主人様」
「どうしたんだクロエ?」
「ようすが変です」
「なにがだ?」
「これだけ、騒いでいるのに、誰も出てきません」
「たしかにな」
「それになにやら、辺りが、何かのニオイにみちています」
「ニオイ? クンクン! 俺の鼻だとわからないな」
【私達も、ニオイを感じました!】
「そうか。何かあるのかもしれないが。このまま帰るわけにもいかないからな、とりあえず慎重に、村に入るとしよう」
【はい!】
フェンリは、体を小さくしフェンリルの姿のまま、みんなで村に入った。
タッタッタッタ。
「クロエ、さっきから気になってるんだが」
「なんでしょうか主人様」
「地面がところどころ、黒いんだが、何かの、おまじない、なのか?」
「いえ、主人様。そんなおまじないは、私も聞いたことがありません」
「そうか。教えてくれて、ありがとうクロエ」
「いえ、お役に立てず申し訳ありません。主人様」
クロエも知らない黒いシミか……なにかあるのか?
グルルル!
「主人様! 隠れてください。ブラウンベアーです!」
「ベアー? ベアー! ベア? クマか! なんで村の中にクマが!」
「わかりませんが。ブラウンベアーはこちらに、気づいていないようです」
「そうか。なら奇襲ができそうだな」
「はい、凶暴な魔物ですが問題はないでしょう。まずは他に仲間がいないか。辺りを……あれは……」
「クロエ?」
あれは、クマのそばで、ウサミミの人が、沢山倒れてる。
地面も黒く見えるな、村についてから見た地面のシミは、血の跡だったのか……
俺が来るのが遅かったのか……
いや、モンスターが人を襲い出して、すでに1週間だから、守る者のいない村は、すぐにモンスターに襲われたのかもしれない。
騎士団も冒険者ギルドも、人の多く住む町や都市部を優先していたからな。
町から遠い村は後回しにしたんだろうが、結果がこれか……大勢を助けるために、少数を犠牲にした形だな。
まぁ元の世界でも、災害の時に上級国民を優先するのと同じか。
はぁ、墓くらいは作ってやるか。
それにしても、まさか、国王としての最初の仕事が、墓作りになるとは……この後の村も同じかもしれないと思うと……気が重いな。はぁぁぁぁ。
「主人様、奇襲の準備がととのいました」
「わかった。クロエ頼んだぞ」
「お任せ下さい主人様」
あれ、クロエ達が、やる気出してるから、忘れてたけど、フェンリがいるんだし、フェンリに任せてもよかったのか。
まぁ、フェンリがやったら、村が消し飛びそうだし、このままクロエ達に任せるか。
「それでクロエどうするんだ」
「先ずは可哀想ですが。死んでいるラヴィット族に、ブラウンベアーが食らいつく瞬間を狙って、攻撃を開始します」
「なるほど、獲物を狙う瞬間は、警戒が薄いだろうからな」
「はい、言ってるそばから、ブラウンベアーが、ラヴィット族にゆっくり近づいて行きました」
ブラウンベアーは、警戒しながら、ラヴィット族のニオイを嗅いでるな。
ンガァ。ブラウンベアーが大口を開けたぞ!
「いきます!」
ズバシュン! グガァァァァ!
【なっ! 死体が動いた!】
「みんな! 起きるラヴィ!」
【ラヴィヴィ!】
「この! よくも作物を食べ荒らしたラヴィな!」
ズガガガガガ! グガァァァァ!!
「貴様がうるさかったから、夜も寝れなかったラヴィ!」
ズドゴン! グゴブ!
「私の足を舐め回しやがって! 私の足はダイコンじゃないラヴィ!」
ズバババ! グギャァァァ!
「出るタイミングを完全に失ってしまいました。主人様」
「そうだなクロエ。ラヴィット族は、全員死んだふりをしていたみたいだな」
「はい、とりあえず、無事でよかったです」
ラヴィット族は、鬼の形相で、ブラウンベアーを蹴っていたので、蹴り終わって、落ち着くまで待つ事にした。
ズガン! バシュン! ダダダダダ! ズドォン! グガァ……ズドォォォン……
「ふん、我らの勝利ラヴィ!」
【ラヴィヴィ!】
「主人様。終わったようです」
「そうだな。行くとするか」
ザッザッ。
「いやぁ、見事な狩でしたね。本当に死んでいるかと思いましたよ」
「ラヴィヴィ。あなた達は、女狼族に、かめんの人、それに巨大なオオカミ!!!」
「こんなの、不意打ちでも勝てないラヴィよ!」
バタタタタ……
「巨大なオオカミですか! いったいどこに! 今度は私が頑張りますよ!」
「いや、フェンリ、巨大なオオカミは、お前のことだ」
「なぁんだ、そうだったんですね。ってひどくないですか! 人の顔見て気絶するなんて!」
その巨大じゃ仕方ないだろ。
「えと、主人様」
「死んだふりをしてしまったのか?」
「いえ、普通に気絶かと」
「はぁ……」
来週、水曜日予定。
普通に村くらい回ろうかと思ったのですが、やはりイベントを入れたくて、今回の話にしました。
更新遅いのに、ブクマありがとうございます。