第121話 フェンリが変身すれば、馬車いらず。護衛はクノイチメイド
あらすじ120話
俺は、女狼族の王になる事を決心し、女狼族の長であるヴィルディースに、その事をつたえに来ていた。
が、俺は衝撃の事実を聞かされていた。
「えっとヴィルディース今なんて言ったんだ」
「ですから、白銀様は、すでに我らの王である契約を交わしていますので、とくに儀式はありませんし、手続きも終わっています」
書類を見たが、名前は汚く俺の字ではなかった。名前の横には、親指の指紋が赤くつけられていた。
親指を見ると、俺の親指は、赤く染まっていた。
その謎は、話を聞いてわかった。
俺が寝ている時に、ヴィルディースは、エクリアから、悪知恵を授かり、親指の指紋をつけたようだ。
あいつは本当に天使なんだろうか。まぁ今回に限って言えば、ヴィルディースにとっては、天使なんだろう。
俺には、悪魔だがな。
どの道、王になるつもりだったので、俺は気持ちを切り替えて、王がやるべき事を聞いた。
領地を守る事、とヴィルディースは話たが。今は平和になったから、領地の村に挨拶回りをしてほしいと言われた。
挨拶回りには、俺の護衛の他に、村に配備する警備の者達も、同行するようだ。
俺は、女狼族の領地を束ねる王になり、領地にある村に挨拶回りをする事になった。
何人か仲間を連れて行こうと里を回ったが。
イフリータは、泥酔していて、他の仲間には、興味ない、疲れるわ、と言われた……こいつら仲間なんだろうか。
聖剣のエクスは来てくれると思ったが、エクスは真顔で「無駄な殺生はしないので、僕は居ても役にたたぬが、よろしいですか? マスター」
と言われて、なんとなく、やめておいた。
タヌヌは、遊んでいたので声をかけるのをやめた。
俺の誘いを楽しそうに聴いてくれた、フェンリだけ連れて、村に挨拶回りをするため、里の出口に向かった。
「なんだか大勢いますね白銀さん」
「そうだな。全部で30人くらいか? お、ヴィルディースがいるな」
「あ、白銀様、同行されるのはフェンリさんだけですか?」
他にも連れて行きたかったが、断られたからな。
「あぁ、そうだが。もしかして多い方がよかっただろうか?」
「いえ、問題はありません。食料を多めに用意していただけですので、問題はありません」
「そうか。ありがとうヴィルディース」
「いえ、お役目ですから」
あれ、馬車これだけか? 人数にたいして、少ないな。
「ヴィルディース、馬車が少ないが、ここの女狼族、全員が行くんじゃないのか?」
「私以外は全員になります」
「ん?」
「馬車は、数にかぎりがありますので、村の護衛をする者は、里に帰ってきませんから、徒歩で向かう事になります」
「そうか、なら仕方ないな」
「我々は、鍛えてありますので、問題はありませんし、白銀様とフェンリさんの馬車はちゃんとありますから、ご安心ください」
「そう言う事でしたら、わたしの馬車も里に残した方がいいでしょう」
「それはかまいませんが。白銀様も歩かれるのですか?」
「いえ、さすがに、わたしの体力では無理でしょうから、フェンリに乗って行く事にしましょう」
「フェンリさんですか? 確かにフェンリさんは力持ちですが、フェンリさんに乗るのはちょっとむずかしいのでは?」
「まぁ見ていればわかりますよ。フェンリ頼めるか」
「がってんしょうちです!」
【がってん?】
……その言葉は、エクリアから教わってるのか?
「擬ウルフ! へぇんしぃん。トウ!」むくむくむく!
【こ、これは! フェンリさんが、本物のフェンリル神像に!】
「白銀様これは!」
「フェンリは、フェンリルの姿にもなれるのですよ。ヴィルディース」
「な、なんと、人の姿になられたと思っていたのですが。フェンリル様にもなれたのですね」
「お、フェンリ! 大きさは、そのくらいでいいんじゃないか!」
「わかりました。でわ皆さん、私の背中に乗ってください」
【!! 我々も神様の背中にですか!】
「はい、そのために、デカくなったんですから」
「えと、白銀様」
「気にせずどうぞ。乗ってください」
【でわ。失礼します】
モフンモフン。
女狼族たちは、フェンリを、ていねいに登ってるな。まぁフェンリは、神様だもんな。
「がぁぁぁぁ、フェンリル様を、ふみつけるなんて、わたしにはぁぁぁ!」
「大丈夫ですよ。私が許してるんですから」
「は、はい! フェンリル様!」
フェンリに、落ち着かされながら、村を警備する女狼族全員、フェンリルになったフェンリの背中に乗った。
「はわはわ。神様に乗る日が来るとは思いませんでしたよ」
「みんなに自慢ができるな」
「いえ。神様をネタに自慢などダメですよ!」
「そ、そうだな」
とりあえず、問題は、なさそうだな。俺も乗るか。
「あ! お待ちください白銀様」
「ん? どうしたんだヴィルディース。大声出して?」
「驚かせてすみません。実は白銀様の護衛を担当する者が、まだ来ていないのです」
「そういえば、護衛をつけるとか言ってたな」
「はい、申し訳ありませんが、今しばらくお待ちください」
「わかったよ」
フェンリがいるし、必要ないとは思うが。道案内は、いた方がいいか。
お? あの子か? 褐色肌で黒髪に、オオカミのような鋭い、ひとみ、クノイチ風のメイド服かあれは? 犬で言うと黒の豆柴だな。
「お待たせしました。この子が白銀様の護衛と身の回りのお世話をする者で、クロエといいます」
「主人様、お待たせし申し訳ありません」
「別に構わないよ」なかなかに従順なクノイチメイドじゃないか。
「それでクロエ、何して遅れたんだ」
「ヴィルディースさん。それがですね。太陽の陽射しが気持ちよくてですね。気がつけば、3度寝していたのですよ」
「……聞くべきでわありませんでした」
なんだろうか。一気に頼りなくなったな。
「白銀様、こんな感じですが。実力は確かですので、安心してください」
「あぁ、頼りにするよ。クロエよろしく頼むよ」
「はい、お任せください主人様……それで、気になっていたのですが、我らは、あの大きなワンちゃんに乗るのですか?」
「あぁ、あれはフェンリが犬の姿になってるんだ」
「そんな事ができるのですね。それでは、遠慮なく」
俺も乗るか。モフンモフン。
「全員乗りましたね。でわ! 出発しますよ」
【はい! お願いします! フェンリさん!】
【お気をつけて!】
再来週の月曜日予定です。
話のペースが遅くすみません。今回村には行く予定で書いてましたが。話が長くなり、村に到着しませんでした。
移動の話は、短いので、次の話は村到着から始まります。
更新遅いのに、評価、ブクマしてくれて、ありがとうございます。